山口財務事務所の企業景気予測調査 景況判断はマイナスのまま横ばい
財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果を、このほどまとめた。調査時点は8月15日で、今期(7~9月)の現状、翌期(10~12月)の見通し、翌々期(2025年1~3月)の見通しについて山口県内114社に聞き、109社から回答が寄せられた。業種別内訳は、製造業が44社(40.4%)で、非製造業が65社(59.6%)。規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が27社(24.8%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が30社(27.5%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が52社(47.7%)だ。
まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は8.3%で、「下降」と回答したのは13.8%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス5.5ポイントで、前期(4~6月)のマイナス5.3ポイントからほぼ横ばいだった。
業種別に見ると、製造業はマイナス11.4ポイント(前期比マイナス13.7)と悪化し、非製造業はマイナス1.5ポイント(同プラス8.5)とマイナス幅が縮小した。規模別では、大企業は7.4ポイント(同プラス22.2)とプラスに転じたが、中堅企業はマイナス10.0ポイント(同マイナス20.0)にマイナス幅が拡大。中小企業はマイナス9.6ポイント(同マイナス0.8)でほぼ横ばいだった。
全体の先行きは、翌期は2.8ポイント、翌々期はマイナス0.9ポイントの見通しだ。
次に、2024年度の「売上高」(回答78社)は、前年度比5.1%の増収見込み。製造業は、自動車向け製品の販売数が増加(化学)し、原材料価格上昇分の価格転嫁が図られた(パルプ・紙等)ため、5.0%の増収見込み。一方非製造業は、自動車販売台数の増加(小売り)や仕入価格上昇に伴う商品価格の引き上げ(卸売り)により、5.3%の増収見込みとなっている。
2024年度の「経常利益」(同78社)は、前年度比11.5%の減益見込みだ。製造業は、電気自動車の需要減に伴う関連製品の販売減(電気機械)やグループ会社からの配当収入の減(化学)などから、12.7%の減益見込み。非製造業は、人件費等の負担増(建設、その他のサービス)などにより、2.5%の減益と見込まれた。
そして、2024年度の「設備投資」(同90社)計画は、前年度比28.5%の増加見込み。製造業は、カーボンニュートラル関連投資(化学)や、電気自動車向けの需要増加を見通した生産能力増強投資(電気機械)などから、47.0%の増加見込み。非製造業は、前年度の大型投資の反動減(宿泊・飲食サービス、小売り)などにより、26.5%の減少見込みだ。規模別に見ると、大企業(32.7%)と中堅企業(23.5%)は増加だが、中小企業(マイナス31.3%)は減少する見込みだ。
「雇用」の現状BSI(同108社)は32.4ポイントで、44期連続での「不足気味」超。翌期(26.9ポイント)、翌々期(22.2ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。
回答企業からの声
回答企業からは「一部の自動車メーカーによる生産・出荷停止の影響から自動車生産台数が回復していることを受け、自動車向けの需要が持ち直している」(鉄鋼)、「人件費や原材料価格が上昇しているものの、一部しか販売価格へと転嫁することができていない」(化学)、「物価高の影響により消費者の購買意欲が落ち込んでいることから、企業からの広告等の注文が例年になく減少している(その他製造)、「原材料価格の上昇や人手不足により経営が難しくなり、退去を予定しているテナントが出てきており、家賃収入の減少が見込まれている」(不動産)、「自動車整備工場を新設し、作業能力の向上を図ったところ、現在の人員では対応できないほど受注が増えている」(その他のサービス)、「記念日やイベントなどのハレの日には旺盛な需要が見られており、グループや家族連れでの来店客も多く、うなぎや寿司など高価格帯の商品の売り上げも好調」(宿泊・飲食サービス)などの声が聞かれた。