【神が降り立つ地】美しすぎる山々に囲まれた上高地に行ってきた / 憧れの上高地帝国ホテルに宿泊! 長野県松本市
長野県松本市にある標高約1500メートルの山岳リゾート地、上高地。飛騨山脈(北アルプス)の南側にあり、国の文化財にも指定されている。「神が降り立つ地=『神降地』」とも呼ばれており、観光地として絶大な人気を誇っている。
恥ずかしながら筆者は今年になるまで上高地の地名さえ知らなかったのだが、家族の強い要望により10月上旬、上高地帝国ホテルに泊まりにいくことになった。結果……、めちゃめちゃ良かった! 上高地の美しさといったら! 大自然に心洗われた一泊二日の上高地の旅をご紹介したい。
【動画】クマベルはこんな音がする
・6時間かけて電車で上高地へ
上高地の基本データは先に述べた通りだが、地名さえ知らなかった私は上高地を軽井沢のような避暑地とばかり思っていた。軽井沢までは東京駅から1時間15分ほどで行けるため、そんなとこだろうと思っていたのだがとんでもない! 調べてみると、なんと自宅がある横浜から片道約6時間かかるのだ。
私が選んだルートはこれ。横浜線で八王子まで行き、あずさで松本まで2時間20分。松本電鉄上高地線に乗り換え、30分ほどで新島々へ。そこからはアルピコ交通上高地線というバスに乗り、目的地の帝国ホテル前まで揺られること1時間ほど。7時に家を出発し、12時半に到着予定。青森の恐山へ行った時とほぼ同じ所要時間だ。
松本駅で改札を出ずに乗り換えた松本電鉄上高地線は、Suicaが使えないということで切符はどうすればいいか分からず、車内でそわそわしていたが、新島々駅の改札にて清算してくれた。その際に、帰りに松本駅にてSuicaの清算をする証明書みたいなものを渡された。
ここで驚いたのが松本電鉄上高地線の萌え度! 「渕東(えんどう)なぎさ」という可愛らしい女性のイメージキャラクターが前面におしだされている。
公式プロフィールは152cm(私とほぼ同じ!)で、好きな食べ物はりんごとスイカ、お菓子も大好きでよく自分で作るという。
そんな松本電鉄上高地線には海外の観光客もたくさん乗っていて、おそらく皆、登山するであろう荷物と服装だった。上高地は穂高連峰や槍ヶ岳への登山基地にもなっているので、そこを目指しているのかもしれない。
ちなみに上高地へはマイカーでの乗入れを規制しているので、沢渡駐車場または平湯のあかんだな駐車場に停めてバスかタクシーに乗り換えなければならない。私よりも2週間前に行った友人たちは、東京から自家用車で行き、途中乗り換えたという。
・あちらこちらが絶景ポイント
バスは梓川を沿って登っていき、奈川渡ダム(ながわどダム)などいくつかのダムを通るのだが、その景色だけでも見惚れてしまう。撮影チャンスがいくつもあるので、始終カメラを構えておくのがおすすめ。
帝国ホテル前のバス停から上高地帝国ホテルは徒歩2分。フロントに荷物を預け、ランチはホテル内のラウンジでサンドイッチ。お客さんはみな歩きやすそうな格好が多く、帝国ホテルといえおしゃれしている人は少ない。13時半に食事を終え、まずバスから見えた大正池を目指すことにした。
上高地帝国ホテルの裏側にある道を行く。天気がよく、薄手のカーディガンでちょうどいい。いや、ちょっと暑いくらいだ。田代橋に着き、さっそくその眺めに息をのむ。なんて澄んだ景色!
更に進んでいくと、日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師ウェストンのレリーフ「ウェストン碑」に行き着く。
ここで地図を確認すると、ん? 大正池と逆方向を進んでいる! どうやら道を間違えたらしい。引き返すか悩んだ末、この日はそのまま進んで河童橋を目指すことにした。
道すがら絶景ポイントがちらほら。こんなにも水や緑が美しいなんて。心が洗われるようだ。
・ここは渋谷? 大混雑の河童橋
しばらく歩いて、どうやら河童橋だろうと思われる橋が見えてきた。近づくにつれホテルやカフェなども増えるが、人も増える。気づくとものすごい人だ。店の付近は渋谷並みに混んでいる。海外の観光客もめちゃめちゃ多い。
どうやら観光バスやアルピコバスが乗りいれられるのがここ河童橋近くにある上高地駐車場までのため、ツアー客などで溢れかえっているようだ。軽装の若者なども多い。気になるビールスタンドもあり、トイレと体力に心配がなければ飲みたかった。
目当ての河童橋も人、人、人! 河童橋は上高地のシンボルともいわれる吊り橋で、渡ると揺れるのでちょっと怖い。芥川龍之介の小説「河童」の舞台にもなっている。
そしてなにより橋から見える穂高連峰の雄大なこと!! この混雑ぶりも頷ける。
・明神池を目指すがリタイア
この時点で15時。まだ時間があるので少し先にある岳沢湿原(だけさわしつげん)を目指すことに。湿原やら湿地帯という言葉はワクワクする。
道には常設の大きいクマベルがいくつもあり、通りかかる人は皆、鳴らして通る。クマベルを持っている人も多い。ちなみにクマが出現したという注意喚起の看板もちょこちょこあり、身が引き締まる思いだった。
岳沢湿原は木々に囲まれた小さな湿原。こちらも絶景スポット。
せっかくなら2,7km先の明神池まで行ってみようと頑張って歩きはじめたが、15分ほど経ったところでまだ2kmもあると知り、日が暮れてしまうことを危惧して断念した。
引き返した帰り道ではなんとサルに遭遇! 最初は「サルの毛づくろい!」とはしゃいでいたのだが、見渡せば10匹以上の大群だったので、途中から怖くなってしまう。
あとでホテルの人に聞いたところ、木の実を求めてだんだん山から下りてくるという。写真を撮る分には大丈夫だが、目を合わせてはいけないとのこと。合わせないでよかったー!
・憧れの上高地帝国ホテルでの一夜
16時半にホテルに到着しチェックイン。いよいよ待ちに待った上高地帝国ホテルに宿泊! 日本初の本格的山岳リゾートホテルとして1933年開業した上高地帝国ホテル。現在の建物は1977年に建て替えられたそう。赤い三角屋根が特徴的。
毎年4月下旬~11月上旬までの営業で、今年の予約開始は2月1日からだったけれど、気づいたら予約でいっぱい。日々キャンセル情報をチェックし、この度、念願の宿泊となった。
私が泊まったツインルームは最上階にあり、山小屋のような、屋根裏のような可愛いらしい部屋。窓から覗く深緑に心癒される。
ディナーはカジュアルレストラン「アルペンローゼ」で上高地帝国ホテルの野菜カレーとシェフ特製パスタをいただく。野菜たっぷりのカレーは見た目もおしゃれ。
ランチを食べたロビーラウンジ「グリンデルワルト」には、ホテルのシンボルとも言えるマントルピースがあり、火を囲んで珈琲やお酒を楽しむこともできる。
寝る前に窓から夜空を見上げると、満天の星空を拝むことができた。
翌朝のモーニングはフランス料理「ダイニングルーム」にてアメリカンブレックファストを堪能。信州産ハムと安曇野産飲むヨーグルトが絶品だった。
実は上高地帝国ホテルは家族だけでなく、同僚や友人たちにも全力でおすすめされていた。なのでクラシックホテル好きとしてもいつしか憧れとなっていたので、こうして泊まることができて感無量。素晴らしい建物と、木とスタッフのぬくもりに溢れた、伝統あるこのホテルに是非また泊まりたい。
・小雨の中、大正池へ
2日目に目指すは初日に行くはずだった大正池。上高地帝国ホテルからは下ることになる。小雨だったが、傘をさすほどではなかったのでウインドブレーカーを羽織り10時に出発。ちょっとだけ肌寒い。
まず途中にある田代湿原と田代池に到着。水の透明度が半端なく、霧の向こうに霞沢岳や穂高連峰がうっすらと見える。
曇っててよく見えなかったのだが、焼岳(やけだけ)は上高地から日帰りで登れる人気の山で、日本百名山にも選ばれている。
20分ほど歩いて大正池に到着! 残念ながら初日にバスから見た、晴れた日の山々を見渡せる眺めはなかったものの、霧がかかった幻想的な風景が広がっていた。
隣にいたツアーガイドさんの説明がチラッと聞こえたのだが、雨や曇りの日は霧によって刻々と表情が変わるので、それはそれで楽しめるとのこと。確かに!
大正池を堪能した後、ホテルに戻り、ロビーラウンジ「グリンデルワルト」でケーキセットをいただく。
上高地帝国ホテルオリジナルのケーキで、長野パープルとシャインマスカットのショートケーキと信州産栗のモンブラン。上高地の湧き水で入れたコーヒーと紅茶はおかわり自由。そして13時過ぎに帰途に着いた。
・素晴らしき上高地!
行くまで上高地についてほぼ何も知らなかったが、あんなに美しい景色が広がっているなんて思いもしなかった。
一泊二日で大自然を思う存分堪能でき、歩く距離はあれど、激しい山道というわけでもないので、気軽にトレッキングを楽しめる。そして何よりリフレッシュできた。
今回の反省点をあげるならば靴。登山用の服や装備を持ってないので、持ち服の中でも比較的スポーティな格好で行ったのだが、特に困ることはなかった。
ただお気に入りの日清食品コラボ、シーフードヌードルコンバースが泥だらけになってしまったことだけが悔やまれる。
とにかく大満足の旅だったが、次回は汚れてもいいスニーカーを履き、そして辿り着けなかった明神池や明神橋、穂高神社奥宮を目指したい。あと温泉にも入りたい。
上高地は例年4月中旬から11月15日が開山期間。東京や渋谷、大阪などからは直通バスも出ているので、気になる方は是非足を運んで欲しい。
執筆:千絵ノムラ
Photo:RocketNews24.