【リアル給与明細】58歳、事務職。定年後は働きたくない。年金の繰り上げ受給で暮らせる?【FPが解説】
読者から寄せられたリアルな給与明細を大公開。質問内容から、改善できるポイントがあるのか、ファイナンシャルプランナーが解説します。【58歳 事務職】
【リアル給与明細】58歳、事務職の場合
プロフィール
58歳、男性
重機機械メーカーの事務職
▼現状
仕事内容は、総務事務、人事事務、企画管理。
労働時間は月160時間、残業は11時間程度。
ボーナスは110万円程度。
【相談内容】定年後はあまり働きたくありません。年金の繰り上げ受給を考えていますが、いつから受給すればよいでしょうか?
解説するのは……
◆sino
ファイナンシャル・プランニング技能検定3級 日商簿記検定3級
資産形成や節約に関するアドバイスを得意とし、普段はライターとして活動しています。
現在のお給料は全国平均と比べると高い?低い?
質問者さんの現在の収入を年収換算すると約580万円になります。
一方、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、質問者さんと同年代の人事事務員の平均年収は約597万円*です。
*……参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
このことから、質問者さんのお給料は、平均よりもやや低めではあるもののほぼ標準的な水準と言えそうですね。
年金を最大化するための受給タイミングとは
質問者さんは、定年後はあまり働きたくなく、年金の受給開始をいつにするかを検討しているとのこと。
年金の受給開始時期は、長期的な生活設計に大きな影響を与える重要な選択です。
以下のポイントをもとにアドバイスをお伝えします。
年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給とは?
年金は、65歳を基準に早める「繰り上げ受給」と遅らせる「繰り下げ受給」が選べます。
繰り上げ受給は60歳から可能で、1カ月早めるごとに年金額が0.5%減額され、60歳で始めると最大30%の減額に。
繰り下げ受給は75歳まで可能で、1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%増加し、最大で84%増加します。
一番多く年金がもらえる受給開始年齢は?
日本人の平均寿命は約84歳*です。
この寿命をもとに将来のお金の価値が今と比べてどのくらい変わるかを考えた「割引率」を考慮すると、年金を受け取り始めるのに一番良い年齢は次のようになります。
・割引率が2%(将来のお金が少しだけ価値を落とす)の場合:68歳が最適
・割引率が0%(将来のお金の価値が今と同じ)の場合:69歳が最適
つまり、84歳まで生きると仮定すると、68歳から69歳の間に受給開始すると、もらえる年金の総額が一番多くなるでしょう。
*……参考:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
まとめ
・質問者さんのお給料額は、ほぼ標準的な水準です。
・平均寿命まで生きると仮定すると、68歳から69歳の間で開始するともらえる年金の総額が一番多くなります。
※この記事では媒体で募集した情報を掲載しています。