小田原の魚の魅力を公開 セリ見学ツアーが好評
小田原の豊富な魚や美味しさを堪能してください―。通常は関係者以外立ち入ることができない小田原漁港内の水産市場を見学して朝どれ地魚を味わう「セリ市見学と漁港の朝メシツアー」が好評だ。
県西部の水産物流通拠点「小田原市公設水産地方卸売市場」(市水産市場)は、相模湾でとれたばかりの地魚に加え全国から水産物が集まる。ツアーは地魚の消費拡大に取り組む若手水産関係者らによる「小田原地魚大作戦協議会」が2022年度に実施したクラウドファンディングの返礼品として初開催。好評だったため24年度、市水産海浜課が市観光協会に委託して定期開催している。
朝どれ地魚に舌鼓
1月下旬、息が白く染まる夜明け前にツアーは開始。この日のガイドは同協議会副会長で老舗魚商の18代目、市川将史さん。定員いっぱいのツアー参加者を案内し、水揚げされた魚の種類やセリの駆け引きなどを説明。この日落札した鮮魚を紹介し、「これから皆さんの朝食で提供されます」と話すと参加者から歓声が上がった。
朝食の準備中は小田原まち歩き実行委員会にバトンタッチ。平井丈夫委員長が漁港周辺の見どころを案内した。仲買人や鮮魚店などの”目利き”から「味が良い」と評価される小田原の魚の理由に触れたほか、偶然会った鮮魚店の社長から話を聞くなど、その場限りの特別感も魅力のひとつだった。散策後は、待ちに待った朝食タイム。この日は水揚げされたばかりのイシダイなどが振舞われた。
藤沢市から参加した夫婦は「こんなに早い時間から元気に働いている人たちがいることを知り驚いた。プロから話を聞けて良かった。魚を食べるときに皆さんの顔が思い浮かぶと思う」と笑顔で話した。
魚離れの歯止めに
ツアーは24年度に計11回実施。同課によると各回すぐに定員に達し、10回までのアンケートで参加者の約6割が市内在住者で、満足度は平均4・79点(5点満点)だった。「ネットには載っていない生の声を聞けて面白い」「地元の魅力を再発見できた」などの感想があった。同課は「日本全国で魚離れが進んでいる。ツアーを通して魚の美味しさや魅力を知ってもらえたら」と期待を寄せた。
来年度は4月から月2回程度実施予定。各回定員12人で、参加費6000円。詳細、申し込みは小田原まち歩き実行委員会のHP「あるってこ」から。