【町田市】町田定時制 高大連携し日本語指導 新しい形として注目
外国にルーツのある生徒が増加するなか、都立町田高校(中町)の定時制で特別教育課程として日本語指導が行われている。桜美林大学(常盤町)と連携し実施しているもので新たな定時制の形として注目を集めている。
「これは日本語でなんと読みますか」「発音がいいね」――。夜間に行われている町田高定時制の日本語指導。進路相談にも乗り、フィリピンやタイ、ネパールなど、外国にルーツのある生徒が桜美林大から駆け付けた講師の授業に耳を傾ける。
町田高定時制で日本語指導が始まったのは2021年。同年赴任した教員の角田仁さんが外国にルーツのある生徒が日本語をほとんど話すことができず勉強についていけないだけでなく、孤立してしまう様子を見て、「何とかしなければ」と考えたことが始まりだった。
角田さんが周囲に相談すると桜美林大で日本語教育学を専門とする准教授、川田麻記さんの紹介を受け、「言語の壁に当たり、弱い立場に置かれる子どもたちの状況を変えたい」と賛同を得ると一緒に日本語指導の環境を整えていくことに。学びからの離脱を防ぐことを目的に補習として対話的な交流を中心に指導を進めていったという。
23年度からは特別教育課程として授業が実施されることとなり、川田さんは「子どもの個人的な能力の問題として矮小化されることもある問題。協力してくれる当大学の学生たちがウェルカムな雰囲気をつくってくれている」と話し、角田さんは「この日本語指導を受けた生徒のなかには大学に合格し進学を果たした子もいる。うれしかった」と成果を喜ぶ。
2千年以降に
定時制高校は勤労青少年のために1948年に発足した高等学校過程で、かつては働きながら学ぶ生徒たちが通う場所だった。しかし、角田さんによると、2000年代に入るころには外国にルーツのある子どもたちが通うことが増えていったといい、「桜美林さんは外国にルーツのある子どもたちのための居場所づくりにも取り組んでくれている。このような高大連携が広がっていければと思う」と話している。
先日行われた東京都議会では町田高定時制の日本語指導が紹介され、都は定時制高校での地域の力の活用について進めていくとした。