「裏金事件は終わってない」裏金議員や斎藤知事ら告発の上脇教授に大竹まことが聞く
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組、『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 12月9日の放送では、『自民党〝裏金〟事件 刑事告発は続く 民主主義をあきらめない』を著した、神戸学院大学法学部教授の上脇博之氏が出演。本の内容や兵庫県知事選について伺った。
大竹「今回はどんな御本ですか?」
上脇「自民党の派閥の政治団体が、毎年「億」という裏金を作っていて、これをどんな形で告発してきたのかということが前半部分に書かれています。あまり報道されてないので皆さんご存じないんですが、裏金議員ってだいたい90人ぐらいいたと言われてるんですね。そのうち、35人を告発してるんです。つまり、まだ1/3をちょっと超えた程度なんですよ」
大竹「なるほど」
上脇「裏金告発はまだ続いていて、今月もあと1人か2人はやる予定なので、だから裏金事件は僕にとってまだ終わってないんですね」
大竹「そういうことですか」
上脇「この本の前半にはその中間報告みたいなものを書いていて、後半では、裏金を作らせないための法律改正をしないとダメだと。泥棒にちゃんと法令を守ってと言っても守らないわけですから。そうなると、もう裏金が簡単に作れないような法律改正をしない限り、裏金事件は今後も続くと思いますので、私なりの法律改正の提言みたいなものを思い切ってまとめました」
大竹「上脇さんの告発がなければ、今の裏金議員を表面にあぶり出すことができなくて、政権もそのまま続いていたところ、この告発をきっかけに自民党の特に安倍派が衰退して、与党の逆転が起こりましたよね」
上脇「そうですね。特捜部がその点ではがんばってくれました。もともとは僕ひとりがやったというよりも、ご承知のように、日本共産党の機関紙である『しんぶん赤旗』日曜版の記者さんが地道に調べて。僕は、その結果を知ったのを見過ごすことができない。これを生かしたいという思いがあったので、刑事告発をして、当初はまだ裏金だと断定ができなかったんですね。だけど、20万円を超える明細を書いていなかったということを見落とすはずがないと。だから裏金が作られているということを、告発状の最後のほうに書いたので、東京地検特捜部がそれを読んでくれて捜査に踏み切ってくれたので、今では裏金事件と当たり前にのようになってますけど、22年の11月の頃はまだ裏金事件だと断定はできなかったので、報道もあまりなかったんですね」
大竹「さて、上脇先生は兵庫県にお住まいで、今回の兵庫県知事選は、辞任してもう一回出てきて、また当選したりしております。私としては、告発された方が、ちゃんと守られてないんじゃないかな、というところがとても気になったんですが、この一連の騒動を上脇さんはどんなふうにご覧になってますか?」
上脇「これの発端は、当時、局長級の仕事をされていた男性が、知事の言動に問題があるということで報道機関に告発文を送られたんです。これがきっかけだったんですね。ところが、告発を受けた人がその調査に乗り出しちゃった。だいたい告発を受けた人が調べちゃったら、もみ消しに走る危険性があるわけですから、本来は告発を受けた人以外の方がちゃんと調べないといけないのに、当時の斎藤知事が自分でも調べて、とんでもないことが書いてあると、嘘八百だと言って、その方を処分してしまった。
これが大きな事件になって、今度は兵庫県議会が動くわけです。兵庫県議会が百条委員会を作って真相解明を始めるんですね。そこでいろんなことがわかったんですが、結論を出す前に不信任決議をしてしまったがゆえに、選挙をやり直すと斎藤知事は判断して、知事選に突入というふうになったわけです。そこでさらに当選を目的にしない人まで立候補して、その人が斎藤候補を応援する形になったので、従来とは全く違う選挙になってしまったということですね」