身近な魚<サバ>の豆知識をどこまで知ってる? 特徴的な「鯖柄」の秘密とは
鯖は日本の食卓でなじみ深い魚ですが、実は詳しく知らないという人も多いようです。
特徴的な「鯖柄」の秘密や名前の由来など豆知識を知ると、食材としての鯖だけでなく、生きものとしての面白い発見がありますよ。
食卓の定番 実は奥が深い「鯖」の世界
鯖の味噌煮や鯖缶など、食卓に並ぶことが多い鯖。日本では、マサバとゴマサバの2種類を「鯖」と呼び、統計上もまとめて管理されています。
ほかにも、タイセイヨウサバ(ノルウェーサバ)という鯖が輸入されており、年間を通じて高品質な身質で規定のサイズが確保できることから外食産業には欠かせない食材として、こちらも国内で広く食されている鯖となっています。
マサバは脂がのる秋から冬の旬にかけて漁獲量が増える魚で、生食はもちろん、さまざまな加工品にも使われています。
ゴマサバはマサバと分布域が似ており、よく一緒に漁獲されます。そのため、こちらも食用として広く流通している魚です。
マサバとゴマサバはよく似ており、見た目で判別がつきづらいものの、お腹をみれば簡単に見分けることができます。
お腹が白いのが「マサバ」、ゴマを散らしたようなグレーの斑点があるのが「ゴマサバ」です。
意外と知らない? 鯖に関する豆知識
鯖は縄文時代から食されていたという記録もあり、日本人にとって馴染み深い魚です。
しかし、鯖の由来や特徴的な縞模様の理由を、知らない方も多いのではないでしょうか。
歯が小さいから「鯖」? 名前の由来
鯖は最大で50センチ前後に成長する魚です。大きな口を持ちながらも、口の中には小さな歯がびっしりと生えています。
その特徴から、他の魚よりも歯が小さいという意味を持つ、「小歯(さば)」や「狭歯(さば)」が名前の由来という説があります。
ほかにも、鯖は群をつくって泳いでいることから、日本古語大辞典では「多く集まった状態」を意味する「さば(さは)」や、「多数」を意味する「しば(しばしば)」などの古語に由来しているという説もあるようです。
鯖柄に隠された生きる知恵
鯖の大きな特徴である「鯖柄」は、なぜあの模様なのでしょうか。
青色の背中と縞模様は、海上から見たときに、波の模様に紛れやすくなります。空から鯖を狙っている海鳥から身を守るために、擬態をしているんですね。
お腹の白い色は、海面を見上げた際の太陽光に隠れやすくなり、他の魚から捕食されにくくなる効果があります。
美しい「鯖柄」は、天敵から身を守るためのすべとして役立っているんですね。
「サバを読む」の語源の理由は「腐りやすさ」にあった
「サバを読む」とは、自分の都合に合わせて数を増やしたり減らしたりしてごまかすことです。
昔の魚屋は桶に1匹ずつ魚を入れて売る数を数えていましたが、サバは痛みやすい魚であるため、急いで売りさばくために大雑把に数えていた、というのが由来という説があるようです。
そのほかにも、早口で小魚を数える魚市読み(いさばよみ)が転じたという説もあります。
「天狗」と「鯖」の不思議な関係
鯖にまつわる奇妙な豆知識をひとつご紹介しましょう。
山に出る妖怪として有名な天狗は、実は鯖が嫌いという話があります。
迦葉山の天狗面(提供:PhotoAC)
天狗が鯖を嫌う理由は不明ですが、人がさらわれたときは、「鯖食った◯◯はおらんか」や「鯖くさ◯◯へ」と声をかけながら探すと、天狗が人を置いていくそうです。
強そうに見える天狗ですが、鯖という身近なものを苦手とするとは、意外な一面がありますね。
知れば知るほど面白い身近な魚
相撲の決め手の1つに「鯖折り」というものがあります。これは鯖の鮮度を保つために首の骨を折って血抜きをしていた様子になぞらえ、名付けられたそうです。
ほかにも、鮮度に由来するものとして「鯖の生き腐れ」などがあります。
鯖は古くから日本人に食べられてきたこともあり、調べると多くの言葉の語源や、生活の知識が見つかる魚です。
鯖の由来から模様の秘密、意外な豆知識を紹介しました。古くから日本人の暮らしに関わってきた鯖は、様々な言葉や知識に関わっているんですね。
鯖以外にもアジやイワシなど、身近な魚のことを調べてみると、面白い発見があるかもしれません。
(サカナトライター:秋津)
参考
データベース「テング」ー国際日本文化研究センター