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究極の楽しさを追求:マクラーレン「アルトゥーラ スパイダー」

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究極の楽しさを追求:マクラーレン「アルトゥーラ スパイダー」

マクラーレンの最新作「アルトゥーラ スパイダー」は、ハイブリッド・スーパーカーとして、パフォーマンスと実用性を絶妙に融合させたモデルだ。700馬力のパワーを誇る一方、完全電動モードでは静かで環境に優しい走行を可能としている。このスーパーカーは、さまざまなシーンで活躍する「万能選手」なのである。

author charlie thomas

「700馬力」が爆音のハイパーカーや、映画『ワイルド・スピード』に出てくる日産スカイラインのチューンドモデルに限定されていた時代は、もう過去の話だ。2024年、マクラーレンの最新コンバーチブル「アルトゥーラ スパイダー」は、このパワーを「静かに」手に入れた。

 アルトゥーラ スパイダーは、より落ち着いた走行を目指す「GTS」と、究極のスーパーカー「750S」の間に位置するモデルだが、「ミッドレンジ」と表現するのは控えめすぎるかもしれない。GTSは洗練され、実用性を重視したパッケージングだ。一方の750Sは、ドラマチックなデザインと驚異的なスピードを備えたエクストリーム・モデルである。その間に位置するアルトゥーラは、スーパーカーの性能と快適性、さらにマクラーレン初となるハイブリッドパワートレインを組み合わせた新時代のクルマと言えるだろう。

「万能を目指す」ことが難しい挑戦であるにもかかわらず、アルトゥーラ スパイダーはそのミッションを見事に達成している。このクルマは、日常使いできるスーパーカーなのである。

 しかし、実車を目にすると、その「日常」のイメージはすぐに覆される。アルトゥーラ スパイダーは鋭いエッジと流れるようなダクトやインレットを持ち、その造形は「非日常的」である。

「マンティスグリーン」に塗られたテスト車両をロンドンの街中で走らせていると、多くの人々から注目を集めた。皆、笑顔で手を振ってくれて、さらには拍手してくれる人々もいた。この鮮やかなグリーンとブラックホイール、カーボンアクセントの組み合わせは、まるでゲーム『グランド・セフト・オート』のガレージから飛び出してきたようだ。

 アルトゥーラ スパイダーは、スーパーカーの圧倒的な性能を持ちながらも、快適性と使い勝手を兼ね備えた一台だ。見た目も中身も妥協のない設計で、マクラーレンの新時代を象徴するモデルと言えるだろう。

 アルトゥーラ スパイダーのリアエンドは特に目を引くデザインとなっている。コンバーチブル仕様とする際、3.0リッターV6エンジンは折りたたみハードトップに覆われる形となり、エンジニアリングチームは「冷却」という問題に直面した。これに対処するため、一連のダクトとベントが新設計され、熱い空気を効率的に排出する仕組みが取り入れられた。

 これはフォーミュラ1からのインスピレーションを受けており、エンジンを冷却しながら空力性能を向上させるという一石二鳥の成果を生み出している。非常に複雑なシステムで、マクラーレンはこれを「公道仕様で最も高度なソリューションのひとつ」と語っている。また、巨大なリアディフューザーとむき出しのギアボックスも特徴的である。

 エキゾースト音も、クーペ版から大幅に改良されている。605PSを発生するV6エンジンは、8,500rpmまで回転数を上げることが可能で、95PSの電気モーターとツインターボチャージャーが組み合わさり、レッドラインまで力強い加速を実現している。

「V8ではなくV6では、物足りないのでは?」という懸念は無用だ。このエンジンは生々しくキャラクターに富んだサウンドを生み出し、特に5,000rpmを超えるあたりからキャビン内に素晴らしい咆哮が響きわたる。

 このサウンドはマクラーレンの特徴である可動式のリアウィンドウを下げることで、いっそう車内に入ってくる。ルーフを完全に下げた状態では、そのドラマチックな音を最大限に楽しむことができる。

 ロンドンを離れる際、走行モードは最も落ち着いた「コンフォートモード」に設定されていた。このモードでは低速時に純電動走行となるため、「スタート/ストップ」ボタンを押しても一切の音はおきない。静音モードでマクラーレンを運転するのは新鮮な体験だが、実用的である。

 派手なエキゾースト・ノートが近所迷惑になる心配がなく、ギアチェンジのないスムーズな加速と減速で街中を快適に走ることができる。電動モードの航続距離は33kmと限られているが、エンジンを始動させることなく都市部を抜けることは十分可能だ。

 ロンドンの都市部を抜けケント州へと向かう途中、アートゥーラ スパイダーが優れたツアラーであることに気付かされる。コンフォートモードでのサスペンションは柔らかく、M20モーターウェイをゆうゆうと走ることができる。エンジンが作動しても快適性を妨げるような不快な音は発生しない。しかし、高速道路を離れ、カーブの多い道に入ると、このクルマの本領が発揮された。

 フォークストンへ向かう曲がりくねったロードA20は、その性能を試すのに最適だった。スイープする高速コーナーや起伏のある路面で、トランスミッションをマニュアルモードに切り替え、パワートレインとハンドリングを「トラックモード」に設定すると、アートゥーラ スパイダーはその実力を見せつけた。

 油圧式ステアリングは、電動ステアリングでは味わえない道路との一体感が得られる。スポーティなダンピングモードは路面の凹凸を鮮明に感じさせてくれる。

 アルトゥーラ スパイダーの真の力を引き出すには、やはりサーキットが理想的だろう。多くのスーパーカーと同じく、英国の一般道ではそのスピードを十分に楽しむことはできない。しかし公道においても、その楽しさは「驚異的」である。

 ドライブの締めくくりとして、ケント州のダンジネスに向かった。英国唯一の砂利地帯で、古びた漁師小屋や何百万ポンドもする別荘、そして現在も稼働中の発電所が、独特な風景を作り出している。

 その中で、アルトゥーラ スパイダーは一際目を引き、住民や観光客から多くの注目を集めた。「日常使いのスーパーカー」と呼ぶには特別すぎる存在だ。所有するだけで気分が高揚するだろう。静かに移動しているときも、ワインディング・ロードを疾走しているときも、ただ眺めているときも、その魅力に心を奪われるのである。

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