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「こんな町抜け出してやる」と思っていたのに…故郷・帯広の老舗の喫茶店を復活させた21歳の女性 娘の挑戦を家族も応援

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「こんな町抜け出してやる」と思っていたのに…故郷・帯広の老舗の喫茶店を復活させた21歳の女性 娘の挑戦を家族も応援

どこか懐かしさを感じるメニューにBGMはビートルズのレコード。レトロな雰囲気が漂う店内にはゆったりとした時間が流れています。

帯広駅から車で15分、帯広市大空町にある軽食喫茶「イエローストーン」。

切り盛りするのは伊藤瑠花さん21歳です。店の経営をはじめ、調理から配膳まで全て1人で行っています。

看板メニューは昔ながらのナポリタン。一般的なものより太い麺を使い、隠し味でコクを足したケチャップソースがポイントです。

1日10個限定のプリンは毎晩手作り。固めの食感で濃厚な味わいはコーヒーともよく合います。

■客「ティックトックで流れてきて/レトロな雰囲気がすごい好きなので、あんまりないよね帯広にねレトロっぽいなにか。それで気になって」「知人がイエローストーンさんのナポリタンがおいしいって言ってて一度来てみたくてきょう来ました/おいしいです熱々で」「頑張ってるなー頑張ってほしいなーと思って。20歳くらいなんでしょ。すごいよね度胸っていうか」

オープンは今年1月。SNSや口コミで話題となり、初日には開店前から10人以上の列ができました。市内だけでなく広く十勝管内から多くの人が訪れています。

小学校から帯広市大空町で過ごした伊藤さん。当時は地元にあまり良い印象がなかったといいます。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「本当に何もなくて町のほうに住んでいる同級生は町で遊べるじゃないですか。こんな町から早く抜け出してやるって思ってましたね」

伊藤さんが料理を好きになったきっかけは夕食作りを担当していた父の隆朗さんのお手伝いでした。

小学校の文集にはこんな言葉が。

■文集「私の将来の夢は調理師になることです。それは家で料理をしているととても楽しいからです」

市内の調理師専門学校を卒業し、19歳で調理師免許を取得した伊藤さん。就職先に選んだのは東京都内中心部の人気イタリアンレストランでした。憧れの東京での生活は、逆に地元に思いを馳せるきっかけになったと言います。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「帯広にないものがいっぱいあるので人も違くて話してても楽しいですし良かったんですけど、でも人が多い分こっちと比べものにならないくらい量の人と毎日すれ違うのでその分疲れちゃったりはしましたね」

就職して1年半。将来は地元に戻り、カフェを開きたいと考えていた矢先、伊藤さんに転機が訪れます。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「帯広で間借りできる店舗を探したりお母さんに聞いたりしてて、そしたら地元大空のイエローストーンが空いてるんだよねーっていうのを聞いて、やらせてくれるんだったらやりたいなって」

大空地区で46年続いた老舗喫茶店のイエローストーンがオーナーの体調不良によりおととし閉店。空き店舗になっていました。そこでダメ元で大家さんに店を再開できないかと相談しました。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「『(老朽化で)取り壊す予定だから2年だし大空だよできるの』みたいな感じではあったのでそれでもやらしてくださいっていうのは伝えて」

畳む店が増える一方の大空地区で新たに商売を始めることに加え、営業は店舗取り壊しまでの2年限定。逆風ばかりの環境ですが伊藤さんはむしろラッキーに感じたと言います。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「自分が過ごした町で最近は大空がちょっとさみしい町になっちゃったのでそこを盛り上げられたらいいなとは思ってて/自分の経験のためにお店を開きたかったので/ちょうど2年でいいなってやりたいことも今後できるし」

当時20歳の伊藤さん。その若さから、周囲からは不安の声が聞こえてくることもありました。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)
「働いて1年半だったので実力も知識も全くない中戻ってきてお店をオープンさせるみたいな話をするとそんなことできるの?みたいな」

それでも気持ちが折れることは一切なかったといいます。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「自分のためにやろうと思ったのでそうだったとしてもそれも経験かと思ってやるしかないと」

去年10月に、東京を離れ地元帯広に戻った伊藤さん。お店の立ち上げを支えたのは家族の存在でした。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「家族とか親戚とかが手伝ってくれたので業者さんを呼んでいなくて、自分でDIYしたから節約しながら」

東京時代の貯金を使い、お金はすべて自分で工面。塗装業の祖父と店内の壁を塗り直し、電気設備は親族の力を借りるなど、お店の完成に3か月かかりました。

配置にこだわったランプシェードは、ステンドグラス職人の叔母から譲り受けたものです。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「ひとりじゃたぶんできあがらなくて/本当に人に恵まれているなって思っていて、みんなにその感謝を返していかなきゃって思っています」

店名は親しまれている名前「イエローストーン」をそのまま使うことにしました。この日は母のしのぶさんが手伝いに。娘の挑戦に反対する気持ちはなかったといいます。

■母・しのぶさん「2年後まだ23歳なので失敗しても取り返しがつくかなっていうのはありましたね」Q戻ってくると聞いたときは?「嬉しかったですね」

机や椅子、カウンターなどは当時のままで、昔ながらの雰囲気を残した店内。前の店を知る客からの評判も上々です。

■前の店を知る客「建物だけ残して食事は今テイストなのかなとか思ったんだけどそのままの雰囲気でやってくれてるから/すごく良いなと思う」「(前の店に比べて)ちょっと明るくなったね/頑張ってるから良いよね」

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)
「喫茶店に来る意味って仕事じゃなくて心ゆったりできる時間のためだと思っているんで/色んな人にゆっくりして楽しんでいってくれたらいいなと思っています」

新生イエローストーンのコンセプトは「時々、ドキドキ」。ランチだけでなく様々なことに挑戦できる店にしていきたいといいます。イエローストーンと伊藤さんの2年間はまだ始まったばかりです。

■イエローストーン店主・伊藤瑠花さん(21)「モーニングもしたいしバー営業もしたいしここで何かしらのライブとか演劇とかもできたらいいなって思ってて本当に何にでも移り変わる面白い場所にしたいと思っています」

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