【初体験】かた〜い武蔵野うどんで育った東京人の私が、やわらか福岡ソウルフード「牧のうどん」に行ってみた!
世の中で最も美味しいうどんは、今は亡きじーちゃん (祖父)がよく作ってくれた手打ちうどんだと思っている。かた〜い、唯一無二のうどん……と思っていたのだが!
このところ、かた〜い「武蔵野うどん」が流行っている。ウチの近所にも数軒の武蔵野うどん店が開店しており、どんなもんかと食べてみたところ「じーちゃんのうどんだ!」となった。
じーちゃんは埼玉県鴻巣市出身で、10人以上のきょうだい含む家族全員、それぞれが手打ちうどんを作れたという。うどんは家で作るもの、そんな感じだったらしい。
これを私は「羽鳥家のうどん」だと思い込んでいたのだが、どうやらそれは武蔵野うどんをルーツとする、大きく言えば「埼玉うどん」だったっぽいのである。
そんな「かたい埼玉うどんで育った私」が、究極に柔らかいと噂の福岡ソウルフード「牧のうどん」を食べたらどう感じるのか? 福岡に行く機会があったので、生まれて初めて食べてみた!
・九州勢の知人たちから続々と熱い情報が集う
まず、あらかじめ九州勢の知人たちに、福岡で食べられるチェーン系のうどん店についての情報を聞いておいた。それぞれに特徴があるらしい。
うどんと同時に頼むべきサイドメニューなどもバッチリ予習。「うどんだけではない」ことを知る。具体的には「かしわ(ごはん / おにぎり)」は必須。
また、初体験なのであれば食べる順番も大切とのことで、食感や味の違いを楽しむなら「牧のうどん」 → 「資さんうどん」 → 「ウエスト」が良いとのこと。
ということで人生初の九州うどんは、福岡ソウルフードとの呼び声も高い「牧のうどん」に狙いを定め、博多駅近くの店舗に向かってみた!
到着。注文は食券とのこと。だが、何も福岡うどんの常識を知らない私にとって、“どのうどんを注文すれば良いのか” は重要な問題。
実は事前に、この界隈のマッサージ店のスタッフに「牧のうどんだったら、何を注文するのがポピュラーなのか」について聞いておいた。
店員さんは「え、うどんですか!」とビックリしたのち、「……とはいえ、これは好みの問題ですからね……」と真剣に悩み始めた。
しかし結論的には「やはり『ごぼ天』は外せない気が……」とのアンサーを頂戴した。ですよね! たしかに、ごぼ天が有名っぽいことは知っている……が!
食券機の左上には「肉・ごぼう天・かしわセット(930円)」が鎮座していた。食券機の左上といえば、大抵の場合「最もポピュラーな品」だと思われる。
ならば、これにするべき。「肉」も重要であると聞いた記憶もあるので、「ごぼう」と「肉」、さらに「かしわごはん」が一緒に食べられるならこれ以上ない選択と言える。
ちなみに、事前に聞いていた「ぼたもち」のボタンは、なかった。ああ、そうか、「ぼたもち」は、『資さんうどん』の話だったのかな……? それすら知らないくらい、私は初心者なのである。
店員さんに食券を渡すと、「うどんですか? そばですか?」と聞かれた。えっ、選べるの!? さらに「やわ? 中? かた?」と、麺のかたさも選択可能とのこと。
私は「うどん」の「やわ」をオーダー。そして注文から4分後(早い!)──
着どん。
と、ここで私は、さっそく混乱した。
この「やかん」は何なのか……? お茶のおかわり? もしくは、ひつまぶしみたいに、お茶漬け用のだし汁が入っていたり……?
すぐさま店員さんに聞いてみると、「継ぎ足し用のつゆ」であるとのこと。なんでも、うどんがみるみる汁を吸ってしまうので、別途つゆを用意してくれているらしい。
なんなんだそのうどん。まるで生き物のようではないか。しかも事前に「減らない」や「増えていく」との情報も聞いていた。どういうことなんだ。イリュージョンではないか。
ともあれ、緊張しながら食べてみると……
やわい!
マジでやわい!
が!
嫌いではない……!!!!!!
というか!
この食感、過去に味わったことがある。完全に、この「柔らかすぎるほど柔らかいうどん」と同じうどんを、遠い昔に東京で味わったことがある!
それは……
給食のうどん!
放っておくと、うどんがみるみる汁を吸っていくのも同じだし、やさしい味もよく似てる。好きだったなぁ、給食のうどん……! カレーうどんは絶品だった。
そんな思い出補正を無しにしても、私はこの「牧のうどん」のやわらかいうどん、かなり好きだ。これはこれで全然アリ。消化にも良さそうだし、汁の吸い具合が逆にナイス。味が染み込んでいるというか。
ごぼ天(ごぼう天)も、カリカリしていて実にうまい。
「肉」は東京人の私からすると、かなり甘めのチューニングだけど、それはそれでまた良し。このうどんなら、甘い方が絶対に合う。
かしわごはんも実においしい。このうどんなら、白米ではなく、かしわごはんが最適であろう。なるほどなぁ。よく考えられている。
そして、なによりもビックリしたのは、つゆの味。基本的には「甘め」なのだが、それよりなにより、かなりダシー(出汁が強い系)なつゆなのだ。
ベースは昆布か。しかし、リードギター的にステージ中央に踊り出すのは、カツオの味。だし汁だけでも飲んでみたが、かなりフルボディなカツオ風味。
「やわいうどん」「減らないうどん」「増えるうどん」に注目が行きがちだが、私としては、この超絶ストロングなつゆ(だし)に衝撃を受けた次第である。
なお、最後に、一口分だけあまったかしわごはんに、継ぎ足し用のつゆをかけてお茶漬けにしてみたが、出汁が強すぎて、かしわごはんとの調和は正直よくわからなかった。
かしわごはんは、お茶漬けではなく、ふつうに食べるのが良いのかも? いずれにしても、こんなに充実していて930円というのは嬉しい破格であり大満足。
かた〜い武蔵野うどんで育った東京人の私は、やわらか福岡ソウルフード「牧のうどん」を受け入れられるのか? そんな心配は杞憂に終わった。また食べたい。気に入った!
・今回訪問した店舗の情報
店名 牧のうどん 博多バスターミナル店
住所 福岡県福岡市博多区博多駅中央街2-1(博多バスターミナル) B1F
営業時間 10:00~23:00
定休日 不定休(ホームページを要チェック)
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24