基地というより「街」のイメージ? グアンタナモ海軍基地とは?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、2月5日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。アメリカのトランプ大統領が不法移民の追加収用を想定しているという、グアンタナモ海軍基地について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「人権無視の動きといえると思うんですが、トランプ大統領は先月29日、キューバにあるグアンタナモ海軍基地に不法移民を収容する施設の増設を指示する覚書に署名をしました。およそ3万人の追加収用を想定しています。トランプさんは不法移民が凶悪犯罪を引き起こしている、と主張、グアンタナモに収容すれば脱出するのは難しい、とまで発言しています」
長野智子「(小倉さんは)実際に取材されているんですね」
小倉孝保「はい、2007年に。2001年が同時多発テロじゃないですか。アフガニスタンに侵攻して戦争になって。いよいよ2003年からイラク戦争ですけど、そのころ僕、中東の特派員をしていて。アラブ人が大量に、2002年以降、グアンタナモというところに収容されている、というのはもちろんニュースで知っていたんですね」
鈴木「ええ」
小倉「2007年に今度、ニューヨークへ行ったとき、アメリカ側でどういう対応がなされているのか、というのを知りたくて。いろいろ申請をしていたら、数限られているけど『今週はなん人』みたいな感じで。圧倒的多数はアメリカのメディアなんですけど、外国特派員も入(い)れますよ、というときがあって。何日にここに来て下さい、といって特別にチャーターしてもらった飛行機で連れていってくれて。そこで見せてもらえるんです」
鈴木「はい」
小倉「言うなればアメリカ側が見てほしいところ僕たちに見せてくれる、というやつです」
長野「はい」
小倉「イラク戦争のときもそうですけど、当時、捕虜を収容したところでものすごい人権侵害があるんじゃないか、と。後にそれがわかるんですけど、アメリカは相当神経質になっていたし、国際的な世論もすごく反アメリカ、というのが高まっていた。むしろ外国のジャーナリストを呼んで『俺たちはこんなにちゃんとやっているよ』というのを見せた。そこに僕が行ったから。たとえば収容所に図書館があるんですよ」
長野「はい」
小倉「図書館に行ったら『見て下さい。ディケンズ、ロシアの文学からハリー・ポッター……全部読めるんですよ』と。彼らは植物、花を植えることもできるんです、というので、連れていってもらったら、プランター1つしか植わっていなくて。『花に興味ある人が少ないみたいです』というやりとりがあって」
長野「収容されている場所にも行けたんですか?」
小倉「そう、収容場所です。グアンタナモの基地って僕らが考えているより、ものすごく大きい。もう街です、これ」
長野「そうですよね、マクドナルドもあると聞いています」
小倉「あらゆるものがあります。アメリカ軍の兵隊さんと家族も一緒に住んでいますから」
長野「米軍基地みたいな感じですか?」
小倉「そうそう。米軍基地って僕らが思うような、フェンスに囲まれた『ここが基地』というのではなく、街です。街全体が米軍の基地です」