世界が絶賛する新たな才能、パヤル・カパーリヤー監督初長編ドキュメンタリー『何も知らない夜』待望の劇場公開
「第77回カンヌ国際映画祭」でグランプリを受賞した『私たちが光と想うすべて』(7月25日より公開)の公開を記念して、同作品の監督パヤル・カパーリヤーが手がけた初長編ドキュメンタリー『何も知らない夜』が、8月8日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか期間限定で全国順次公開が決定。映画のポスタービジュアルと予告編、場面写真9点、監督のコメントがこの度解禁されました。
パヤル・カパーリヤー監督初長編ドキュメンタリー
世界から熱い注目を集めているインド・ムンバイ生まれの新鋭監督パヤル・カパーリヤ-。『私たちが光と想うすべて』は初の劇映画監督作品でありながら、100以上の映画祭・映画賞にノミネート、25以上の賞を受賞し、70カ国以上で公開。カパーリヤー監督は、2021年に完成させた『何も知らない夜』でも、「驚くべきデビュー作」「きらめく詩的なエッセイ・ドキュメンタリー」「目の前に歴史が展開していくかのようで、時間を超越する」と世界のメディアからも絶賛を浴びている。第74回カンヌ国際映画祭監督週間に選出、ベスト・ドキュメンタリーを受賞し、山形国際ドキュメンタリー映画祭2023でも大賞を受賞するなど、ドキュメンタリー作家としても高く評価され、溢れる才能を見いだされていた。
本作『何も知らない夜』は、カパーリヤー監督がインド映画テレビ技術研究所の学生であった自身の体験を元に映画化した作品。映画大学の学生寮から学生L(エル)の恋文が入った小箱が発見され、Lの手紙が語るカースト制度によって阻まれた恋人たちの苦難を背景に、2016年に実際に起こった政府への抗議運動、極右政党とヒンドゥー至上主義者による学生運動の弾圧事件の真実が描き出される。
予告編では、ダンスを踊り、ベッドに横たわりうたた寝をする大学生の若者たち、家族との食事会や婚礼などの日常の映像が、次第に学生たちの路上デモや警官たちとの緊迫した衝突シーンなどリアルな闘争の様子へ変化し、モノクロームと淡いカラーの映像が混ざり合い、フィクションと現実の境界線が失われていく様子が捉えられている。
カパーリヤー監督は2017年頃から自分たちの身の回りや友人たちを撮影し、大学で友人たちが撮影した映像や古い家族のアーカイブ、ネット上の投稿画像などを収集した。記憶のアーカイブともいえる映像群からイメージを発見し、そこに架空のラブストーリーを加え、映像を再構築し生まれたのが本作『何も知らない夜』である。叶わぬ愛の物語と記録映像を通じて、インドの社会の問題を炙り出す。変革を望む学生たちの情熱や信念、映画への愛が、闇の中で光り深く心に迫る。
『何も知らない夜』は、インドの公立大学制度への讃歌です。何世紀もの間、社会の特定の層は教育を受けることを否定されてきました。インドの公立大学制度は、こうした歴史的な過ちを正すために作られたのです。いまだにカーストやその他の差別がその固有の構造の中に存在しているため、必ずしも成功しているとは言えないかもしれません。それでも公立大学は今もなお、物理的にも知的にも真の自由――何ものも神聖視することなく、どんなことでも疑うことのできる自由――をもたらす空間になりうるでしょう。これこそが、私たちが目指すべき未来の世代の自由であり、この自由を手にした若者たちが、自分たちを縛り付ける社会から自由になれるようにするためのものです。この映画は、優しく女性的な声という視点から語られる、長い夢なのです。
(パヤル・カパーリヤー監督)
『何も知らない夜』は8月8日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか期間限定で全国公開