「『ザ・フラッシュ』は失敗した、なぜなら」監督が告白 ─ 「多くの人がキャラクターとしてのフラッシュを気にしていなかった」
DCユニバース集大成として鳴物入りで公開された2023年『ザ・フラッシュ』は、期待された成績をあげることができず、そのままユニバースは終了の運びとなっていた。高速ヒーロー、フラッシュがマルチバースを駆け抜け、過去のDC映画のヒーローやヴィランが再登場するこのお祭り映画は、2億ドルとされる製作費に対し、興行収入は2億7,140万ドルに終わっている。
「『ザ・フラッシュ』は失敗しました」。監督のアンディ・ムスキエティは、母国語のスペイン語で話すでそう語っている。「理由は様々ありますが、4象限全てにアピールできる映画ではなかったからです」。
4象限とは、25歳以上/以下の男性層/女性層の4つのデモグラフィックを指す用語。ハリウッド映画では作品の属性を“Four-quadrant movie(4象限映画)”と呼ぶことがあり、大予算が費やされる多くの映画はこれら4つの象限に戦略的な焦点を当てていると考えられている。
「映画製作に2億ドルも費やしてしまうと、(ワーナー・ブラザースとしては)"おばあちゃんまで映画館に連れてくる"ことを期待してしまいます」と話すムスキエティは、『ザ・フラッシュ』は特に女性層へのアピールが弱かったと認識しているようだ。「プライベートな会話で、たくさんの人がキャラクターとしてのフラッシュを気にしていないことがわかりました。4象限の半分にあたる、二つの女性層です。女性の多くは、キャラクターとしてのフラッシュを気にしていなかった」。
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確かに米が残している米公開初日の観客層は、25歳以上の女性層は17%、25歳以下の女性層はわずか7%にとどまっている。スーパーヒーロー映画は男性寄りの属性となることが多いが、ムスキエティはより女性にもアピールできる作品になっていれば、違った結果になった部分もあるのではないかと感じているようだ。
「本当に恐ろしかったのは、『ザ・フラッシュ』が本当に良い映画だったということです」。『キングスマン』シリーズの鬼才マシュー・ヴォーン監督も、『ザ・フラッシュ』の興行不振には。「どうしてだ?良い映画なのに。何がどうなってる?これがスーパーヒーロー映画疲れってやつなのか?わからない。あの映画は本当に、複雑で、難しくて、すごく特別で、ユニークな仕上がりだった。ムスキエティ監督は、もっと評価されるべきなんです」。
自身のスキャンダルもあり、公開当時のプロモーション活動に参加できる場面も限られていた主演エズラ・ミラーだが、彼が演じたバリー・アレンは劇中で共感を集められる独自の魅力を放っており、あらゆる世代に訴えかけられる感傷的な家族の物語を説いてもいる。『ザ・フラッシュ』後にDCユニバースはリブートを迎えることになるのだが、全ての属性の観客があらためて本作の魅力に気付く機会が訪れて欲しいものだ。
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