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【北海道】500円でかにめし!「売れば売るほど赤字」…知る人ぞ知る、幻のかに料理専門店/白老町・かに太郎

Sitakke

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WEBマガジンSitakkeで連載中の、ちょっと“距離感”がおかしい道民、白丸あすかが描く漫画『しろまるほっかいドライブ~白丸さんは距離感がおかしい~』から、寄り道スポットをご紹介します。

今回のドライブ日記:まずは肩慣らしに…札幌~地球岬(210キロ)をちょこっと日帰り(?)ドライブ!【しろまるほっかいドライブ第1話】

寄り道スポットNo.1 白老町「かに太郎」

Sitakke読者の皆さまこんにちは。
旅好き北海道民のしろまるです。

本コーナーは道内をドライブする連載企画『しろまるほっかいドライブ~白丸さんは距離感がおかしい~』の作中において登場したスポットを掘り下げて紹介する寄り道コーナーとなっております。ちょっとディープな北海道の世界へご案内♪

初回で取り上げるのは、ほっかいドライブ♯01「ちょこっと?日帰り地球岬」にて立ち寄った、白老町竹浦にある「かに太郎」さんです。

国道36号線沿いに佇む十二角形の特徴的な建物は、一見すると廃墟に見えなくもない謎の存在感を放っています。外壁に大きく書かれた「かに料理専門店」の文字によって、かろうじてここが飲食店であるのだと判断できます。

「かに太郎」をネット検索にかけると、どうやら営業開始は10時30分からのようです。しろまるが現地に到着したのは10時ちょうど頃だったので少しフライング気味でした。諦めムードで中の様子を窺うと……店内に何人かのお客さんの姿を確認!

たまたま早めにお店を開けていたようだったので、さっそく入店。

ガラリ。
(相変わらず凄いな、ここは……)## 混沌とした店内の様子に驚愕

実はしろまるが「かに太郎」を訪れたのは今回が2回目で、4年ほど前に一度お邪魔させていただいたことがありました。その時の経験からある程度耐性がついていたつもりだったのですが、改めて混沌とした店内の様子に驚愕してしまいます。その光景がこちら。

す、すごい……(ゴクリ)

建物の内部は物置部屋かと見間違うような散らかり具合で、お世辞にもインテリアとは言い難い品々がそこら中に散乱。一部分が小上がり席として綺麗に掃除されており、その一角だけが飲食店の様相を呈しています。お店にあるものすべてが(いい意味で)年季が入っているので、見方を変えれば昭和レトロの雰囲気を存分に味わえると言えるでしょう。

小上がり席から見た店内。
レジ?まわり。
窓から見えるのは海と……廃材の山。
廃材はストーブの燃料として有効活用されています。
お手洗いは地下にあります。

89歳の店主がふるまう、500円のかにめし

そんな異質な空間の真ん中にある厨房で作業をしているのは、今年(2025年)で89歳を迎えられた店主の山下敏男さんです。ご高齢なのにとっても元気!

頭上にはかつて提供されていたかに料理のメニューがズラリと書かれていますが、現在の「かに太郎」で食べられるメニューはたったひとつしかありません。それが…

500円の「かにめし」です!

こちらのかにめしは1日約20食の限定販売となっていて、日の調子によって多少提供数が上下するほか、食材の仕入状況によりレシピに若干の変動があります。山下さん曰く「たくさんの人に食べにきてほしいけど、すべて一人でやっているから品切れになってしまった時はごめんね」とのことです。(営業時間が曖昧なところも含めて、古き良き田舎の個人経営のお店って感じがして、しろまるは好きです。)

最近の「かに太郎」は独特の雰囲気と数量限定のプレミアム感が話題を呼び、幻のかにめし屋としてメディアに取り上げられた影響で道内外の観光客から人気を集めています。好調な日はお昼前に完売してしまうこともあるようなので、「絶対食べたい!」という方は早めに行きましょう。

2024年にはテレビ番組の企画で「かに太郎」の外壁修繕がおこなわれました。2021年訪問時の写真(左)と比べて、2025年(右)はだいぶ綺麗になっているのが分かります。(店内はほとんど変わっていませんでしたが……)

「売れば売るほど赤字」なのに続ける理由

ちなみに。

人気が出たと言ってもこの時世にたったワンコインでかにめしを販売しては利益が出るはずもなく、実際のところ売れば売るほど赤字が出ているそうです。それでも山下さんが「かに太郎」を続ける理由は、亡くなった奥様の料理とお店を継ぎ、一人でも多くのお客さんに提供することで社会奉仕がしたいとの想いが根底にあるからとのこと。

謎に包まれたお店で食べられるシンプルなかにめしの美味しさには、長年の歴史とあたたかい想いが詰まっています。36号線をドライブする際は、幻のかにめしを求めて「かに太郎」に寄り道してみてください。

今回のドライブコース

かに太郎

住所:北海道白老郡白老町竹浦116
TEL:0144-87-2993
営業時間:午前10時半~午後0時半(1日20食限定)(といいつつ、その日によるみたい)
定休日:用事があるときはお休み(お問合せください)

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文・絵:白丸あすか
編集:Sitakke編集部YASU子

※掲載の内容は取材時(2025年4月)の情報に基づきます

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