韓国史上“最悪の政治裁判”を「ほぼ事実」に基づき描いた『大統領暗殺裁判 16日間の真実』監督インタビュー
『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チュ・チャンミン監督が語る
韓国現代史に題材を取った『大統領暗殺裁判 16日間の真実』が、8月22日(金)より日本で公開される。
本作のモチーフは1979年、朴正煕大統領が韓国中央情報部(KCIA)部長のキム・ジェギュに暗殺された事件の裁判だ。
逮捕されたキム部長の側近と、彼の弁護を引き受けた弁護士の実話にフィクションを交えた骨太のヒューマンストーリー。2023年末に亡くなったイ・ソンギュンの最後の公開作品ともなった。
そんな本作の日本公開に合わせ、チュ・チャンミン監督にオンラインで話を聞いた。
「家族との関係や家庭内の出来事は95%が事実」
――監督が韓国現代史を扱う映画を演出するのは初めてです。朴正煕大統領暗殺事件(10.26事件)そのものを描いた作品には『ユゴ 大統領有故』(イム・サンス監督、2005年)や『KCIA 南山の部長たち』(ウ・ミンホ監督、2020年)などがありますが、事件後の裁判をテーマに選んだ理由は何でしょうか。また、このテーマにどのようにアプローチしましたか。
10.26事件そのものは映画や小説で何度も扱われてきましたが、(本作でイ・ソンギュンが演じた)朴興柱(パク・フンジュ)について触れたものはほとんどありません。私は歴史そのものよりも人物にまつわる物語を描きたいと思っています。混乱に満ちた歴史的事件の中で個人がどのように犠牲になっていくのかを描こうと考え、この事件を選びました。
――韓国でも映画監督がドラマの演出をするケースが増えていますが、コンテンツ産業の変化についてはどのように感じていらっしゃいますか。
時代の流れだと思います。私たちが作る物が世界中で見られるわけです。日本のドラマやアニメも配信プラットフォームを通じて韓国で多く見られていますが、こういう流れは良いと思います。交流も生まれますし、互いが作った作品を互いにより多くの人に見せることができますからね。
もちろん、より大衆的に作らなければいけないというデメリットはありますが、よくできた作品を多くの人に見せることができ、選んでもらえることは大きなメリットだと考えます。
取材・文:芳賀 恵
『大統領暗殺裁判 16日間の真実』は8月22日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開