飼い主が高齢でも犬を飼えるの?起こりうるトラブルや注意すべき点をご紹介
飼い主が高齢でも犬を飼える?
仕事を引退したり時間に余裕ができたりして、高齢になってから犬を飼いたいと考える人は少なくありません。
しかし、健康上の理由や終身飼育への不安から、飼うことを諦めている人も非常に多くいるのが現状です。
確かに、犬のお世話はある程度時間も体力も必要で、簡単なことではありません。飼いきれない可能性を考えて、犬の飼育を諦めるということは、犬のことを思った素晴らしい決断だと思います。
とは言え、この高齢化社会で「高齢者は犬を飼えない」と一律に区切ってしまうことが本当に正しいのでしょうか。
最近では国内外でそうした議論や検証がおこなわれており、犬の命への責任を一個人が持つだけでなく、社会全体で責任を持つ、という考えも出てきています。
「ペット後見」という考えで、飼い主が入院や死亡することでペットを飼育できなくなった場合、その後の譲渡先や支援者を決めておき、ペットの生活が問題なく維持されるようにするものです。
日本ではまだまだ一般的ではありませんし、犬の気持ちを考えた場合の議論の余地などもありますが、こうした取り組みにも注目が集まっています。
しかしながら、現実的には飼い主が最後まで面倒を見続けられるか、ということが犬を飼う上での重要なポイントではあると思います。
飼い主が高齢の場合に考えるべきこと
犬を飼う際には、年齢を問わず多くのことを考え、覚悟を持って飼う必要があります。
しかし、高齢の方が飼育する場合は、特に意識して考えておいた方がいいことがいくつかあるので、ぜひ知っておいてください。
毎日の散歩やしつけができるか
どのような犬であっても、毎日散歩に行ったり遊んだり、しつけをしたりといったコミュニケーションはとても大切です。
元気なときであれば、犬との散歩もいい運動になると思いますが、体調があまりよくないときなどには負担になってしまうことも考えられます。
そのため、飼い主さん自身の健康や体力を考慮して、毎日犬の散歩に出ることやしつけをすることなどが負担にならないかをよく検討してみてください。
いざというとき犬を制御できるか
子犬や若く健康な犬は、とても活発です。走り回ったりいたずらをしたりすることもあると思いますが、何かあったときに犬を制御することは飼い主さんの役割です。
そのため、犬をつかまえるために走ったり、リードを引いてコントロールしたりするだけの体力や筋力は必要だと思います。
飼育する犬を決めるときにも、そうした観点で犬のサイズや犬種、年齢などを考えるといいでしょう。
飼いきれなくなった場合の譲渡先
どんな年齢の人であっても、怪我や病気で突然入院することになったり、死亡してしまったりすることは考えられます。
しかし、高齢であるほどその可能性は高くなると思います。
そのような状況になると、飼っていた犬の世話ができなくなってしまったり、犬が飼い主そのものや行き場を失ってしまったりします。
実際、高齢の飼い主さんの入院や死亡が原因で、保健所や動物愛護センターに持ち込まれる犬は少なくありません。
犬を飼う場合には、万が一の時に犬を引き取って育ててくれる相手や預けられる施設・団体を探しておくようにしましょう。
まとめ
犬を飼うことはとても楽しく、素晴らしいことだと思います。しかし、ひとつの命に責任を持つということでもあり、大変なこともあります。
特に飼育者が高齢者の場合、健康面や体力的な問題で、犬の飼育がむずかしくなってしまうケースも少なくありません。
高齢者が犬を飼う場合には、様々な状況を想定して、本当に無理なく飼育できるかよく考える必要があります。
家族や周囲の人としっかりと相談して、サポート体制を整えることが大切だと思います。
(獣医師監修:寺脇寛子)