『グリーン・ランタン』監督、後悔を語る ─ 「ライアン・レイノルズが脚本書いていれば」
2011年公開のDC映画『グリーン・ランタン』は、様々な場面で“黒歴史”として語れることの多い作品だ。主演のライアン・レイノルズは後にマーベル映画『』内で、この映画へ出演したことを自虐ネタとしてさんざんに扱った。
監督を務めたのは、当時すでに『007 ゴールデンアイ』(1995)や『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)でスリリングなボンド映画を撮っていたニュージーランドの名匠マーティン・キャンベルだ。この度は米にて、『グリーン・ランタン』にまつわる“後悔”を打ち明けている。
「僕は『グリーン・ランタン』が大好きです」と切り出したインタビュワーが、同作についてライアン・レイノルズが『デッドプール』劇中で自虐ネタにしていたことについて尋ねると、キャンベルは「(レイノルズとは)話していません」と答え、「ライアンは素晴らしい人で、僕たちはあの映画でとても楽しい時間を過ごしました」と称える。
続けて、「彼とブレイク・ライブリーと一緒の仕事は最高でしたよ」とキャンベル。ハル・ジョーダン役のレイノルズとキャロル・フェリス役のライブリーは本作での共演をきっかけに交際・結婚しているから、この映画は彼らにとって祝福すべき作品でもあるのだ。
さらにキャンベルは、レイノルズについて「すごく機知に富んだ人。彼に脚本を書いてもらえば良かったと思います。そうすれば素晴らしい仕事をしてくれたはず」と惜しむ。レイノルズは『デッドプール』シリーズで脚本執筆にも加わっており、そのウィットに富んだ才覚は映画本編や興収成績を見れば明らかだ。もっとも、レイノルズの得意とするコメディ要素は『グリーン・ランタン』とどこまでマッチしただろう。
キャンベルは『グリーン・ランタン』について「難しい映画だった」と話し、「あの映画のおかしなところは、全キャラクターがコミックにいることです」と、コミック映画製作の難しさを語る。「今にして思えば」と挙げたのは、「パララックスの物語」だ。「結局のところ、パララックスは顔のついた雲でしたよね」。
映画のヴィランとして登場するパララックスは、生命エネルギーを吸い取る黒雲のような存在として、クライマックスでは地球に襲来してハル・ジョーダンと死闘を繰り広げる。声を務めたのは、名バイブレイヤーのクランシー・ブラウンだ。退屈なヒーロー映画はしばしば悪役が魅力を欠くことが多いが、キャンベルは『グリーン・ランタン』もその例の一つであると考えているようだ。
続けてキャンベルが「かなり前のことなので、思い出せないのですが……、大きな頭の彼です」と挙げたのは、おそらくピーター・サースガードが演じたヘクター・ハモンド博士のことだろう。「彼もコミックにたくさん登場していますね。あのキャラクターが作品の悪役に関係することを、なんとなく望んでしまう。彼らは相互に繋がっているべきだったのですが、それは脚本には書かれていなかった」と、踏み込みが甘かったことを認めるキャンベル。「あのキャラクターたちは皆、コミックではとても存在感がある。シネストロやキロウォグとか……」。今となっては、より深い形でキャラクターを描き込むべきだったと、キャンベルは悔やんでいるようだ。
「結局、あれは失敗しました」とキャンベルは認めている。「とても悲しかったですけど、仕方ない」。
『グリーン・ランタン』は不遇となったが、これを経てワーナー・ブラザースは脚本とストーリーテリングの重要性を学んでいる。『ダークナイト』3部作の方針への確信をより深めるようにして、その後の『マン・オブ・スティール』(2013)では、よりシリアスで深みのあるストーリー展開へとシフトし、熱狂的なファンを獲得する。
同作以降、グリーン・ランタンはDC実写作品でほぼフィーチャーされなかったが、長い休眠期間を経てついに再登場を果たすことになる。ミステリードラマ「ランタンズ(原題)」として2026年に米HBOデビューを控えているのだ。
キャンベルは『グリーン・ランタン』脚本の甘さを悔やんだが、今度はかなり描きこまれている模様。ドラマ版出演者の一人は、「これまで読んだなかで最高のSF脚本」と。「とても身近に感じられたし、SFの世界を知らない私にも、この世界のすべてが理解できたんです」。
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