交雑オオサンショウウオが特定外来生物に 飼育中の名張市どうする
市役所で人気「秘書」、郷土資料館で150匹以上
環境省は5月28日、オオサンショウウオ属のうち、中国から持ち込まれたチュウゴクオオサンショウウオとその交雑種を、原則として駆除される「特定外来生物」に指定すると発表した。三重県名張市では交雑種を市役所で1匹、市郷土資料館(安部田)で150匹以上飼育しているが、今後どうなるのか。
同省によると、チュウゴクオオサンショウウオは寿命が長く活発で、日本固有種で国の特別天然記念物のオオサンショウウオとの交雑により保全に悪影響を及ぼしていた。指定は7月1日からで、外来生物法に基づいて飼育や移動、譲渡、野外への放出などが原則禁止される。
同市では昨年5月、オオサンショウウオを観光資源として活用しようと、市役所2階秘書室前の水槽で交雑種の飼育展示を開始。市役所の地下食堂を営む企業とネーミングライツの覚書を交わし、「弥助」の愛称で来庁者や職員の間で人気になっていた。秘書室の所属を示す専用の名刺も配布している。
小学校跡地を活用した市郷土資料館では2015年から、在来種を保護するために川などで捕獲した交雑種を敷地内のプールや2階などで飼育。エサ代と水道代で年間約50万円の費用がかかっている。
発表を受け、市の担当者は「国や有識者などと相談しながら今後の方向性を検討したい」と話した。
同省外来生物対策室によると、指定から6か月以内に申請し、目的や場所の基準などを満たして許可の下に飼育することもできる。自治体が防除事業を実施することも可能になるという。