スティーブ・カレル「ジ・オフィス」日本風パロディコントが物議 ─ 2008年放送、16年越しでスタッフが苦言
スティーブ・カレル主演のコメディドラマ「ジ・オフィス」(2005-2013)の“日本風パロディコント”がにわかに物議を醸している。2008年当時、このコントを放送した人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の元脚本家であるマイケル・シュアー氏が苦言を呈したのだ。
ポッドキャスト「」に登場したシュアー氏は、話題に挙がったコント『The Japanese Office』が歴史に耐えうるものかと問われると「ノー」と即答。「ジ・オフィス」で主演を務めたカレルがこのコントには出演したが、見たときには「イライラした」と語っている。
まずややこしいのは、このコントの構造だ。そもそもカレル主演のドラマ「ジ・オフィス」は、2001年~2022年にイギリスで製作・放送された同名ドラマのアメリカ版リメイク。日本風パロディコントの冒頭では、イギリスのオリジナル版を手がけたリッキー・ジャーヴェイスが登場し、「じつは僕も日本のテレビ番組『ジ・オフィス』から着想を得ていたのです」と言い、「それでは日本版をご覧ください」との言葉で本編が始まるのである。
コントの本編では、「ジ・オフィス」のキャラクターを日本風に(?)した人々が全編カタコトの日本語を話し、電話に出たり、おじぎをしたり、ラジオ体操をしたり、カラオケを歌ったりする──合間に挿入される“日本風CM”もかなり危険な仕上がりだ。演じているのはカレルをはじめ、ビル・ヘイダー、ジェイソン・サダイキス、クリステン・ウィグといった面々。コントの最後には、ふたたびジャーヴェイスが出てきて、「面白いですよね、差別的で」と締めくくる。
改めて記しておくと、このコントは2008年5月に放送されたのち、2013年にYouTubeにて公開されたもの。現在の価値観と風潮からすれば制作されない内容だが、日本文化をネタにしているのか、“トンデモ日本”を笑いにしようとしているのか、必死に演じる出演者たちを笑う構造なのかは紙一重だ。見る側の視点も問われることになるだろう。
もっともシュアー氏は、「サタデー・ナイト・ライブ」のかたわら「ジ・オフィス」のシーズン1~4にも脚本家・出演者として携わっていた人物。コント『Japanese Office』が放送された回ではカレルが司会を務めており、「それ自体はすごく大きなこと」だと認めながら、その内容を好ましく思わなかったことを明かしている。
「私はSNL(サタデー・ナイト・ライブ)の仕事をしていましたが、当時のSNLはある意味、“文化において大切なもの”を示す役割を担っていたと思います。彼(カレル)が『Japanese Office』を演じたときはイライラしました。[中略]僕が期待していた形で『ジ・オフィス』を反映するものではなかったのです。どう言っていいのかわかりませんが……。」
また、シュアー氏は前述した構造にも「よくわからない」と疑問を呈している。「(ジャーヴェイスは)“彼らは私の番組を盗んだ、だけど私も日本から盗んだ”というようなことを言いますが、その日本版は全員白人が演じている。筋が通っているようには思えません」。
ちなみにコントのオープニングでは、サダイキス演じるキャラクターに「マイク・シュアー」なる人物のクレジットが乗っているが、これは言うまでもなくシュアー氏本人ではない。
シュアー氏の指摘に先がけ、同ポッドキャストのでは、コントを監督したアキヴァ・シェイファーが「当時から懸念はありました」と語っている。アイデアを提案したのは脚本を共同執筆した日系アメリカ人のマリカ・ソーヤーで、シェイファーらはソーヤーの意向に従って制作を進めたとのこと。撮影現場では、ソーヤーが日本語のセリフにこだわり、自ら俳優陣を相手に練習を繰り返していたことが語られている。
Source: The Lonely Island and Seth Meyers Podcast(, ),