資産形成に超初心者のあなたへ! 50代でも間に合うオトナのための「金育(きんいく)」
今までお金について真剣に勉強する機会をもったことはありましたか? 私たちの生活においてお金は欠かせない存在です。せっかく手にしたお金を減らさない工夫や、将来に向けて計画的に使う知識がとても大切です。
『NHK趣味どきっ! MOOK 50代でも間に合う! オトナの“金育(きんいく)”』(塚本俊太郎著)から、お金にまつわる疑問、家計管理、投資について一部抜粋してご紹介します。
みんなの疑問
老後に2000万円必要って本当?
老後資金は実際にいくら必要?
2019年6月、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」で、老後資金は約2000万円不足すると報告されました。夫婦高齢者無職世帯の実際の収入が平均で20万9198円、支出が月26万3718円であることから、差額の5万4520円が毎月赤字に。これが30年続いた場合、約1980万円が不足する計算です。これが「年金では足りない」と、「老後2000万円問題」として話題になりました。でも実は、この世帯の平均貯蓄額は2500万円。貯蓄がある人たちが取り崩して生活をしていただけで、すべての人が2000万円不足するということではありません。
自分の年金額や実際にかかる生活費から、実態に即した目標を立てることが大切です。
お金の管理をしよう!
まずは現状を把握する! 家計の「見える化」をしてみる
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◎まずは、1か月分でもいいので家計を把握することが大切
◎簡単に家計管理をしたいなら、家計簿アプリがおすすめ
家計管理の第一歩は、自分のお金の流れを把握すること。そのために、まずは家計の「見える化」に挑戦しませんか。1か月分の支出を整理して、確認することからスタートです。まずは、1か月分のクレジットカードの明細や通帳、レシートを集めて、次の家計簿に記入してみましょう。
お金を運用してみよう!
投資を始めるならぜひ使おう! NISAを始める
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◎NISAは最大で1800万円まで投資でき、運用益が非課税になる
◎NISAは必要なものをそろえ、専用口座を開設すれば始められる
NISAとは、少額で投資を行う人が対象の税制優遇制度で、専用の口座を利用し、18歳以上で日本在住であれば誰でも開設できます。通常、金融商品の運用益には約20%の税金がかかりますが、NISAを使えば非課税になります。
NISAは年間で360万円、生涯で1800万円まで利用できます。運用できる期間に制限はなく、自分のペースで使えるところが魅力の一つです。
NISA口座には2種類の投資枠があります。「つみたて投資枠」は、文字どおり積立投資のための枠です。購入できる商品は、金融庁の基準を満たした投資信託など。長期投資に適した商品が多く、初心者でも使いやすい投資枠といえるでしょう。「成長投資枠」は、積立投資と一括投資ができる枠です。国内外の株式やETFも購入できる、自由度の高い枠といえます。
老後の生活ってどうなる?
定年後も働いたほうがいい?
答: 働くことのメリットはお金だけじゃない
人間関係を広げ、社会貢献するチャンス
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◎老後も働き続けると、経済的にも精神的にも健やかに過ごせる
◎定年後に楽しく働くために、現役世代の頃から準備しておく
定年後には「出世」や「会社の評価」といったプレッシャーから解放されるので、現役時代よりも精神的にゆとりをもって働けるでしょう。
働くことのメリットはお金だけではありません。同僚との交流や社会貢献は、老後の生きがいの一つになりえます。
定年後の働き方としては、今の仕事を続けるだけでなく、やりたかったことや別の仕事に挑戦するという選択肢もあります。ここで、新たな挑戦を考えているなら、定年前から準備しておきましょう。資格を取得したり、書くことが好きならSNSを始めたりなど、今からできることがあるはずです。
塚本俊太郎(つかもと・しゅんたろう)
外資系運用会社において、ファンドマネジャーやプロダクトスペシャリストとして20年以上従事。その後、金融庁に入庁し、金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や小学生向け『うんこお金ドリル』の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として、金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。YouTube「塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル」配信中。慶應義塾大学総合政策学部、シラキュース大学大学院国際関係論卒業。
■『NHK趣味どきっ! MOOK 50代でも間に合う! オトナの“金育(きんいく)”』
■著 塚本俊太郎
■イラスト Hama-House