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山田うんと池上高志が「記憶」をテーマにした『まだここ通ってない』をKAATで上演 ビジュアル・キャストなど公開

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KAAT×山田うん×池上高志 『まだここ通ってない』

2024年10月18日(金)~10月20日(日)KAAT 神奈川芸術劇場<ホール内特設会場>にて、KAAT×山田うん×池上高志『まだここ通ってない』が上演される。この度、ビジュアル・キャスト情報が公開された。

長塚圭史芸術監督のもと、4年目となる2024-2025年メインシーズンのシーズンタイトルは「某(なにがし)」。私でありあなたであるかもしれない某、意思を持ってあるいは意思をなくし正体を無くした某、大きな思想や金儲けのために生み出される某、今日も一日働いて誰にも褒められることもなく社会を支えている某。「某(なにがし)」のレンズを通すと、果たして何が見えてくるのか。2024-2025年度は、この「某(なにがし)」をシーズンタイトルに多様なプログラムを届けている。

10月にメインシーズンとして久しぶりのダンス作品として上演するのは、振付家・ダンサーの山田うんと人工生命研究者の池上高志がコンテンポラリーダンスと先端科学のコラボレーションにより、人間とサイエンスの関係を、またアートとサイエンスの関係を探す取り組み、『まだここ通ってない』。

2022年 山田うん × 池上高志『Shell of Time 時間の抜け殻〜群れと拡張される記憶と身体』      撮影:上原愛

本作品は2022年から二人が続けているプロジェクトの第二弾。池上高志と、彼が最高科学責任者を務めるオルタナティヴ・マシンによる<原始的なロボットやドローンといった人工生命の群れが、集団としての生命性・生態系を創り出すのではないか>というテーマに、ダンサーの身体が加わることで、人工生命の新たな可能性を探ろうというプロジェクト。ダンサーたちと原初的なロボットやドローンの群れとの共生、あるいは身体を持たないAIとの会話などを通して、ラベルを貼られていないむき出しの「生き物」あるいは「ひと」の存在を浮かび上がらせ、KAAT2024年メインシーズンのシーズンタイトルである「某」(なにがし)を照らす。

2023年 山田うん × 池上高志『Wild Wordless World』<ワークインプログレス>       撮影:HAL KUZUYA

今回のKAATでのプロジェクトテーマは“記憶”。
記憶について、池上高志と山田うんは、下記のように考えているそうだ。

「わたしたちの記憶は、脳の中だけではなくて、自分の身体に、服や食べ物に、空の色や風の匂いのところに、しまわれている。だから、プルーストの失われた時を求めて、のプルーストは至るところで起こりうる。それは忘れた記憶だけではなくて、まだ行ったことのない場所も気がつかせてくれる。新しい記憶は、記憶によって作られる。それは、AI の時代、大幅に忘れ去られてしまったかもしれない。でも、ダンサーは覚えている。この舞台を通してそのことにもう一度頭を巡らそう。常に人間のからだを使い創作する山田うんと、常に人工生命について考える池上高志。手段は違うが、どちらも人とは何かを探る長い旅の途中。この2人が今回の寄港地、KAAT 神奈川芸術劇場のホール内特設会場で“記憶”をテーマにスパークします。二人が続けてきたこのプロジェクトを、KAAT 神奈川芸術劇場で深化させ、より多くの皆さまと共に感じ考える観劇体験を実現します。はたして私たちは、AI やロボットと人とのアライメント(共存)により、明るい未来を手に入れることができるのでしょうか。もしかしたら私たちは、今まで誰も通ったことのない場所に行くことができるかもしれません」

2023年 山田うん × 池上高志『Wild Wordless World』<ワークインプログレス>      撮影:HAL KUZUYA

なお、なおこの取り組みに今回、音楽の高橋悠治が参加し、テーマである「記憶」を私たちに伝える一翼を担う、とのこと。

KAAT 神奈川芸術劇場 芸術監督 長塚圭史 コメント

舞踊家と科学者。空間とVR。身体と人工生命。ダンサーとドローン。言葉とコトバ。共生と発見のための未開の道のりに歩み出しますのがこのダンスエクスペリメント。山田うんさんと池上高志さんが、容易には噛み合うことのない激烈な理論を交わし合い、止揚しながら未知へと飛躍します。前人未到のハイパー・エンターテインメントをKAAT 神奈川芸術劇場で体感していただきたいと思います。

山田うん:構成・演出・振付 コメント

2022年からスタートした共同クリエイションで「人工知能(AI)」「人工生命(ALife)」と「人間」の世界を作ろうと、トライ&エラー&ディスカッションを重ねてきました。生命とは?感情とは?痛みとは?創作であり研究であり、池上さんとは常にたくさんの問いが生まれます。今回は「記憶」をテーマに高橋悠治さんに参加していただき、人間と機械の生み出す音楽の風景にも挑戦し、衣装はアルゼンチンのデザイナー、マルティン・チュルバさんのお力を得ます。この秋、KAA で次なる一歩として、これまでより先に進んだものをご覧いただけるかと思います。

池上高志:構成・演出・コンセプト コメント

2022年から2023年にロボットやAI、VRを使って山田うんさんと創作した作品がとても面白くて、研究で普段やっていることとは違い、人工知能を現実世界に降ろし、もっと AI やロボットの可能性を探究できると感じました。
今回のテーマについてですが、日常生活には常に新しい発見があり、AI、特に巨大な言語モデルのChatGPTやLLaMaを使うことで、一挙に人間の知覚や認識が広がり、同じ風景でも今まで見なかったことが見えてきます。そういうことをテーマに、新しい芸術作品や表現が作れるのではないかという期待をもっています。うんさんの身体表現や身体を使って世界を、動く空間をどう見ていくかということが、言葉だけに頼りがちなAIに欠如している部分を補えると考えられるので、その点に関しても、うんさんとの試みは非常に面白くなるだろうと期待しています。

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