身近なものがキャンバスに、Snow Man阿部亮平も没入した展覧会『モネ&フレンズ』は遊び方が無限大!
モネ&フレンズ・アライブ 2025.1.4(SAT)~3.30(SUN)
デザイン・クリエイティブセンター神戸 1F KIITOホール
2025年1月4日(土)から、デザイン・クリエイティブセンター神戸にて、没入型展覧会『モネ&フレンズ・アライブ』が開催中だ。1874年にフランス・パリで開催された『第一回印象派展』から150年を迎えた昨年、7〜9月に東京・日本橋三井ホールで行われた東京展に続き、神戸展は国内2カ所目となる。同イベントは世界中で愛される「フランス印象派」の歴史を紐解きながら、クラシック音楽と最新イマーシブ技術で芸術に没入できるエンタメ性の高い展覧会で、光・色・音・香りの中で、モネやピサロ、ルノワール、セザンヌ、ドガら印象派の画家たちの大胆な筆遣いを巨大スクリーンで楽しむことができる。
1月9日(木)にはメディアセッションが行われ、展覧会のアンバサダーをつとめるSnow Manの阿部亮平と、制作・プロデュースを行ったグランデ・エクスペリエンセズのロブ・カーク グローバルツアー責任者が登壇。『モネ&フレンズ・アライブ』の見どころを語った。今回SPICEではその様子とあわせて、編集部独自の視点で同展をより楽しむためのアイデアを提案。撮影OKの展覧会なので、五感で楽しむのはもちろん、写真や動画を使って自分らしい表現を見つけてほしい(周りへの思いやりは忘れずに!)。
●カジュアルで、気軽に楽しめる展覧会。日常を忘れて楽しんで
東京展ぶりに再会を果たしたロブ責任者と阿部。阿部は「アンバサダーとして、またロブさんの隣に立てることを非常に光栄に思います。I'm glad to see you again.」と英語を交えて喜びを語り、ロブ責任者は「今回も会うことができて本当に嬉しく思ってます。東京展も阿部さんにPRを色々助けていただいて大成功だったので、神戸展もそうなるように期待しています」と笑顔を見せる。
続けてフランス印象派の歴史を語り始める。フランス印象派が誕生した150年前のアート界で、印象派は全く受け入れられなかったという。アカデミックな絵が主流の中、光を描こうとした印象派はとても過激で、議論を引き起こすような存在だったからだ。その後、印象派のビジョンや世界観は次第に受け入れられ、今では後世に多大な影響を及ぼす主流派のひとつとなった。当の印象派の画家たちは、浮世絵など日本美術から大きな影響を受けたため、印象派と日本には強い関わりがあるのだ。「神戸の街がいかに自然に恵まれて、活気溢れた都市であるかを感じ、ここで展覧会が行われるというのはただの偶然ではないな」と語った。
今年は阪神淡路大震災から30年。「不屈の精神を持って現在の神戸の繁栄まで復興させたことは、感慨深いものがあります。印象派の絵の中にも、当時のパリの活気溢れた姿があり、それと重なる部分があります。幅広いお客様に、絵の世界に浸っていただくような体験をしていただき、日常を忘れて楽しんでいただければと思います」と矜持を述べた。
神戸展を体験した阿部は「神戸の街や会場のKIITOの雰囲気と『モネ&フレンズ・アライブ』の雰囲気がすごくマッチしているなと感じました。美術作品を観るだけにとどまらず、光や音や香りなど、五感の全てを使って作品に飛び込める展覧会になっていると思います。大迫力の大きいスクリーンでたくさんの絵画を観れる機会は他ではなかなかないですし、大画面で観ることによって、よりその作品に近づける。印象派の画家たちの筆遣いまではっきりと感じられるところが本当に魅力」と目を輝かせる。
お気に入りの画家や作品は足を運ぶたびに変わっているとして、「その時の自分の感じ方によって「この絵が良いな」と変わっていく自分もすごく楽しいです。前回東京で観た時は、確かスーラと言ったような。今回は改めてモネがすごく良いなと思いますね。この展覧会ならではで、床一面にもモネの筆遣いが表れたりして、モネが当時こう感じてたんじゃないかなというところに近づける。あとは先ほどロブさんもおっしゃっていましたが、印象派の画家たちは日本の浮世絵の影響を受けていて、モネが描いた「ラ・ジャポネーズ」という作品も好きですね。日本人としてすごく親近感を感じています」と美術好きの一面をのぞかせた。
また、『モネ&フレンズ・アライブ』にちなんで、Snow Manの「フレンズ」の中で1番芸術気質のメンバーは誰かという質問には「渡辺(翔太)がすごく独創的な絵を描くんですけど、アーティスティックという意味では、最年少のラウールかなと感じています。ラウールは自己プロデュースも上手くて、Instagramの撮影も自分でプロデュースして、アーティスティックな写真をあげていて。普段一緒にふざけたりしてるラウールとは全く違った面がたくさん並んでいて、毎回驚かされますね」と話していた。
そして最後に「とてもカジュアルで気軽に楽しめる展覧会。観る人によってそれぞれの楽しみ方ができると思います。1枚お気に入りの絵を見つけたり、画家たちの年表で学んだり。よりたくさんの方に楽しんでいただけたら嬉しいなと思っております」と締め括った。
●フォトスポットで絵画の世界観に没入
ここからは実際の展覧会の様子をお伝えしつつ、編集部提案の楽しみ方を紹介していく。まず、壁面から床まで会場全体にプロジェクションが行われていることから、服装は全身白色がオススメ。服に映像が映り込んでより絵画に包まれる感覚になるし、写真を撮っても絵の一部分に入り込んだようになれる。
会場に足を踏み入れると、ふわりと良い香りが鼻をかすめる。19世紀に入り、チューブ入り絵の具が普及したことで、印象派の画家たちは外へと飛び出していったが、この香りは戸外制作の絵画にインスパイアされた、花々や柑橘類、木々の香りをイメージしたもの。印象派の世界への旅をより味わい深いものにしてくれる。
阿部が「年表で学ぶことができる」と話していたように、会場にはモネやモリゾ、マネ、ピサロ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、カイユボット、カサット、スーラ、シニャック、クロス、シスレー、ギヨマンといった、フランス印象派画家たちの略年表を紹介したパネルがずらり。これだけでもかなりのボリュームだ。
さらにフランス印象派が誕生する前後の美術史と、当時のフランスで起きた歴史的事実がピックアップされ、細かに記されている。写真付きでとてもわかりやすく、第一回から第八回まで開催された印象派展についての説明もあるため、より理解を深めた状態でメインギャラリーへと進むことができる。この会場内でしか聞けない、阿部からのスペシャルコメントも聞き逃さないようにしよう。
フランス・ジヴェルニーにある「モネの庭」をイメージしたフォトスポットでは、QRコードを読み込むとARで「モネさん」が飛び出すという仕掛けも。モネが愛した花と緑の中で、思い思いに写真を撮ってみよう。
続く「ブリッジルーム」には、より立体的な「睡蓮の池と日本の橋」のフォトスポットが出現。額縁の中におさまって、自分が絵画の中に入り込んだような写真が撮影できる。
床には睡蓮の池の水や花、トンボ、蝶、鯉など生き物の姿が動き続ける。例えば、フォトスポットでの写真撮影を待っている間に、100円ショップで売られている白いミニキャンバスや白いポストカードを手にして、そこに映像を映し、手の中に生き物を捕まえてみよう。ちょっと楽しいはずだ。
●巨大スクリーンで感じる、19世紀パリの空気と印象派の名作品
そしていよいよメインギャラリーへ。天井近くまで高くそびえたつ巨大スクリーンが部屋一面をぐるり覆う。クラシック音楽のリズムやメロディーに乗せて、上下左右からダイナミックな映像が大迫力で次々と映し出される。ロブ責任者が語ったように、前回の『ゴッホ・アライブ』展ではなかった床へのプロジェクションが、より一層没入感を高めてくれる。
本編はトータルで約50分。大迫力のオープニングを経て、19世紀、産業革命で技術革新や資本主義が進展したフランス・パリの賑やかな街の様子から、各画家たちがそれぞれ描いた主題、戸外制作で描かれた美しい四季の様子などなど。実写映像も交えながら、360°音楽と映像に包まれる。いつまでも見ていたくなるほどの充実した内容だ。3DCGを使った立体的な映像もあり、視界いっぱい目まぐるしく変化し続ける展開に、不思議な感覚に陥ることだろう。
阿部が「展覧会を見終わった後、モネが港町を描いた「印象・日の出」(1872年に『第一回印象派展』で発表)のような雰囲気が近くにあるんじゃないかと、すぐにでも探しに行きたくなる」と話していた作品も、もちろん大画面で味わうことができる。
モネが40代から晩年まで描き続けた睡蓮のパートでは、床に「睡蓮の池と日本の橋」が出現。まるで自分が橋の上を渡っているような気分に。
作品全体だけでなく作品の一部が拡大され、時にはアニメーションとなってスクリーンに表示されるので、普段見ることのできないアプローチで画家の筆致を感じられるのは、本展の醍醐味のひとつ。特に点描画は点の集まりなので、より興味深く楽しめるのではないだろうか。
ここでも白い小物を身につけていると、色々な楽しみ方ができる。例えばヘアアクセサリーや靴、ネクタイ、ショッパー。なるべく白い面が大きいものがオススメ。
また、自分からは見えないが、小さな鏡を床に向けると、手元に印象派のみずみずしく大胆な筆致をキャッチすることができる。くれぐれも周囲に配慮して、自分だけのキャンバスに空気を閉じ込めて遊んでほしい。
イープラスでは、オリジナルチョコレート付チケットを数量限定で販売中。神戸会場から徒歩7分の場所にある「felissimo chocolate museum」とコラボした、神戸展オリジナルパッケージのチョコレートドラジェ付きだ。また、2月限定のモネ&ラブペアチケットも販売がスタートする。ぜひどちらもお早めにゲットしよう。
『モネ&フレンズ・アライブ』は3月30日(日)までデザイン・クリエイティブセンター神戸 1F KIITOホールで開催中。
取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ