【自然界の神秘】植物の中にフィボナッチ数が見えてくる理由とは【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】
Q. 植物は数学を知っている?
A. フィボナッチ数の配置になっている植物がある
たとえば、 ロマネスコ(アブラナ科アブラナ属、カリフラワーの一種)という野菜は、見た目がまるでコンピュータ・グラフィックス(CG)で描かれたように、人工的で数学的な形をしています。小さなつぼみがたくさん積み重なって大きなつぼみができています。
大きなつぼみの中の小さなつぼみの並び方をよく見ると、らせん状に連なっています。そのらせんを数えると13本あることもわかります。これは、1、1、2、3、5、8……と続くフィボナッチ数列に出てくる数なのです。まさに数学の定理を植物が形に表したともいえます。
さらに小さなつぼみ自体をよく見ると、これも、もっと小さなつぼみがらせん状になってできていることがわかります。ある形の中に、相似なさらに小さな形があり、その小さな形の中にも、もっと小さな相似形が現れて、きりがないことを、数学ではフラクタルとよんでいます。フラクタル数学は、数学の1分野ですが、自然界に現れる形には、ロマネスコに限らず、多くの生物や自然造形にフラクタル状の形が隠れています。
フィボナッチ数は、松ぼっくりの実やオウムガイの殻の構造、花びらのつき方や枝のつき方、葉のつき方などにも見られます。自然界に見られるフィボナッチ数の例は、数限りなくあります。フィボナッチ数が現れるのは、それが生物にとって都合がよいからです。
フィボナッチ数には黄金比が隠れていて、360度を黄金比1.618……で割った答えを360から引くと、137.5度になり、これは葉が効率よく光を受ける角度です。植物だけでなく、動物にもフィボナッチ数は現れます。
1早わかりフィボナッチ数
フィボナッチ数列
フィボナッチ数列は、直前の2個の数を加えて次の数とすることによってできる。13世紀イタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチがウサギの増え方を例にして説明した数で、1202年に出版した『算盤の書』で紹介されている。
2自然界に現れるフィボナッチ数
ロマネスコ
オウムガイ(断面)
ロマネスコとオウムガイの断面。オウムガイのらせんは、フィボナッチ数列からできる黄金比でつくられているとされることが多い。
この見た目がすごい
ヒマワリの種の並び方は、ロマネスコと同じようにフィボナッチ数に従ってらせん状に並んでいる。植物だけでなく動物にもフィボナッチ数は現れる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋