【柔道】阿部詩「もう一度世界一になりたい」パリ五輪の号泣敗戦乗り越え、いざ再スタート
14日開幕グランドスラム・バクーに出場
柔道の国際大会「2025グランドスラム・バクー」が14日からアゼルバイジャンのバクーで開催される。女子52kg級に出場する東京オリンピック金メダリストの阿部詩(パーク24)が5日、オンライン会見に出席し、意気込みを語った。
実戦は2024年パリオリンピック2回戦で敗れて以来、約半年ぶり。「試合は久しぶりなのでいつもより緊張するかもしれませんが、いつも通りの阿部詩をお見せできればなと思います」と笑顔を見せた。
今でこそ敗戦のショックは感じられないが、パリで敗れた直後は柔道に向き合えなかったという。しゃがみ込んで号泣したシーンをご記憶の方も多いだろう。金メダリストとして連覇を逃したショックは大きかった。
きっかけは昨年10月から再開した稽古。パリオリンピック後は9月まで休養していたため、まず体作りから始めると、心の奥底から湧き出る感情があったという。
「それまで、また世界一になりたいという気持ちが湧かなかったんですが、10月頃に基礎的な練習をやっている時に“畳の上が自分の居場所なんだ”と感じたんです。私にはこれしかない、もう一度世界一になりたいという気持ちが芽生えました」
心機一転した阿部詩は、11月から本格的な稽古を再開。12月は稽古量を増やし、1月はさらに自分を追い込んだ。
6月13日からハンガリー・ブダペストで開催される世界選手権に向け、グランドスラム・バクーは「勝ち切ることが目標」と断言。2028年ロサンゼルスオリンピックでもう一度頂点に立つために「挑戦者として一からスタートしたい」と瞳を輝かせた。
新ルール対策も万全
国際柔道連盟(IJF)は「有効」の復活や、寝技では5秒の抑え込みで有効などとする新ルールを1月に発表。今大会に出場する選手たちはその対応も求められる。
阿部詩は「今までと変わらず、自分自身の柔道を貫いて優勝したい」と意に介さないが、対戦相手がこれまでと違う攻め方をしてくる可能性も十分にあるため、対策はしている。
「ゴールデンスコアの時とか競り合いの場面で、5秒で有効を取れるのは有利。プラスに捉えて、競り合った場面では意識して臨みたい」と話す一方、新ルールではベアハグ(抱きつく行為)も緩和されるため「捨て身の技とか全体重を預ける技が増えるんじゃないかと思う。男子の選手に入ってもらって、しっかり受ける練習をしてきました」と明かした。
パリの悔し涙をロスの嬉し涙につなげることができるか。どん底を味わった阿部詩の再挑戦がいよいよ始まる。
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記事:SPAIA編集部