新川コシヒカリのおむすびに郷土料理みそかんぱや井戸水の水出しコーヒーも【cafe勘助】富山・朝日町の憩いカフェ
富山県の東端にあり、海と山に囲まれた朝日町。
世界的に珍しいヒスイが打ち上がる「ヒスイ海岸」や、残雪の北アルプスと桜並木、菜の花、チューリップのコントラストが美しい「春の四重奏」など、豊かな自然が織りなす景勝地が人気です。
そんな朝日町に2023年にオープンした「cafe勘助」。
米どころ・富山の中でも名水の里として知られる新川地域のコシヒカリを使ったおむすびランチや、朝日町に伝わる郷土料理を楽しめる憩いの場所です。
昭和の商店を改装した憩いのカフェ
「cafe勘助」があるのは朝日町の中でも山寄り、開湯400年を超える「小川温泉」に向かう道中です。
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地元の常連客も観光客も。さまざまな人が集まる空間
空き家となった実家を改装し、店主・宮腰二三代さんがカフェを始めたのは2023年。
「朝日町に、よそから人が集まる空間ができたら…と思ったんです」と宮腰さん。現在はその想いの通り、地元の常連客はもちろん、ドライブ旅の県外客や小川温泉に向かう観光客の憩いの場となっています。
空き家となる以前は、宮腰さんの母や祖母が生鮮食品から日用品まで幅広く扱う商店だったという建物。広い間口を活かしたガラス戸が開放的です。
ちなみに店名の由来は宮腰さんの曽祖父の名前で、この家の屋号でもあった「勘助」から。土地に馴染んだ自然体なスタイルで、さまざまな人をもてなしています。
具材が選べるほっこりおむすびランチ
店の代表的なメニューとなっているのが、にぎりたてのおむすび2つに具だくさんの豚汁、副菜、デザートまでセットになったランチ。
おむすびの具は梅や鮭、明太子など5種類の中から好きなものを選べます。
地場のコシヒカリや野菜で里山の恵みを楽しむごはん
米は朝日町のお隣、入善町で作られたコシヒカリ。秋のこの時期はもちろん新米で、みずみずしくしっかり粒が立った米を楽しめます。食べるとふわっとほどけるよう。
清流・黒部川の冷たい水と、地元で「あらせ」と呼ばれる朝晩の強い風を受けて育ったコシヒカリは、旨みがギュッと詰まっています。
あったかい豚汁には地元の野菜がたっぷり!
味噌は入善町の農家が海洋深層水で仕込んでいるもので、しょっぱすぎず、ほのかに甘みを感じます。
副菜もすべて手作り。この日はマカロニサラダときんぴらでした。
きんぴらには、味噌を仕入れている農家からお裾分けしてもらったという「マコモダケ」が。里山の恵みですね。やわらかいタケノコのような食感とクセのない味で、ピリ辛に味付けたきんぴらはおむすびとの相性もばっちり。
「田舎ならでは」を楽しめる伝承料理も
「cafe勘助」のランチはメインを選べるスタイル。おむすびのほか、「みそかんぱ」や「サバの押し寿司」があります。どちらも朝日町で古くから親しまれる郷土料理です。
「おしゃれなお店はたくさんあるけど、このお店ならではの特色として、朝日町に伝わる料理を楽しんでいただけたらなと」(宮腰さん)
「みそかんぱ」はやわらかく炊いたコシヒカリをほどよく潰して小判型に丸め、炭火で焼いたもの。長野や岐阜など、中部地方の山間部で広く親しまれる「五平餅」と似ていますが、朝日町の「みそかんぱ」は甘辛い黒ゴマ味噌を塗るのが伝統です。宮腰さんはさらに砕いたくるみも加えているそう。
単品注文もできて、テイクアウトもOK。ランチセットの場合は黒ゴマ味噌1本のほかに、ゆず味噌やふきのとう味噌などの味も楽しめます。
このほか、井戸水で8時間かけて水出しするコーヒーや毎日あずきを炊いて手作りするぜんざい、焼きたてのワッフルなども。手間暇かけた、あたたかみのある人気メニューです。
宮腰さんのほがらかな人柄もあって、ついつい長居したくなっちゃいます。
ゆくゆくは誰かに…憩いの場をつなぐ「後継者」を待ちながら
あたたかい手作り料理を楽しみながら、出会いやおしゃべりを楽しむ憩いの場。
実は宮腰さん、ゆくゆくはこの店を誰かに譲りたいと考えているそう。
「空き家をそのままにしておくよりは、お店ができるように改装して付加価値を付ければ、『田舎でお店をやってみたい!』という人にも興味を持ってもらえるかと思って」
と笑顔の宮腰さん。
「私の店はそれまでの“繋ぎ”のつもりなんです」
店舗だけでなく、住宅と畑のできる庭もあわせて譲るつもりだそう。
興味がある人は、一度「cafe勘助」を訪れてみて。
記事編集:nan-nan編集部
【cafe勘助】
住所 富山県下新川郡朝日町山崎1265
営業時間 11:00~17:00
定休日 水・木曜