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まるで離乳食。カゴメ「つぶより野菜」、下ごしらえを徹底する理由を開発担当に聞いた

OTEMOTO

発売から10年目を迎えたカゴメの「つぶより野菜」は、にんじん、トマト、セロリ、プチヴェール、レタス、ほうれんそうの6種の国産野菜などを使ったミックスジュース。大人もこどもも毎日飲み続けられるように、開発者は味にある工夫をしています。

2014年に発売した「つぶより野菜」。まるで野菜を食べているかのような食感がある
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

カゴメの通販「健康直送便」で2014年6月に発売された野菜ミックスジュース「つぶより野菜」。特徴的なのは、野菜の特性に合う製法でジュースの原料となるペーストやピューレをつくっている点。それぞれが単体でも商品として成立する「トマトピューレ」「トマトペースト」「にんじんピューレ」を合わせたうえで葉物野菜をブレンドするという、手間ひまかけた手法でつくられています。

開発を担当したのは、カゴメ飲料企画部の山口貴之さん。工場でトマトの加工を担当したのち、商品開発に携わり、販促も担当。原料の調達、製造、販売までを一貫して経験した山口さんに、長く愛されるジュースをつくるための譲れないポイントを聞きました。

山口貴之(やまぐち・たかゆき) / カゴメ飲料企画部 2グループ課長
2009年カゴメ株式会社入社。那須工場でトマト加工などの製造を経験したのち、カゴメトマトジュースやにんじんジュースの商品開発や商品企画・プロモーションに携わる。健康直送便の飲料の責任者を経て、現在は飲料企画部で「野菜生活100」などのブランド責任者を務める。自称Mr.トマト。趣味は、家庭菜園と海釣り。
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

素材に磨きをかける

私の出身の栃木県には、1937(昭和12)年創業の「栃木レザー」という皮革製造メーカーがあります。生き物の本来の姿に人の手で磨きをかけるという点で、革製品づくりと野菜の加工は似ている気がします。

もちろん生産者の力や素材の力はものすごく大事なのですが、おいしく食べるためには、野菜を丁寧に加工することも大事です。かといって食塩や砂糖などを加えると、野菜本来のおいしさからはかけ離れていく可能性もあります。

素材に敬意を表し、トマトの酸味やにんじんのつぶつぶ感を抑えることなく、それらがちゃんとおいしさにつながるような加工にこだわっています。

例えば離乳食をつくるとき、材料ごとに下ごしらえをしますよね。かぼちゃは蒸してつぶし、りんごはすりおろすなど、赤ちゃんが食べやすいように工夫します。野菜それぞれの特徴を理解し、適切な加工をすることで、おいしさを伝えることができるのです。

Akiko Kobayashi / OTEMOTO

記憶に残る味とは

野菜は生き物なので、私はよく野菜を擬人化するんです。

クラスメートに例えるなら、トマトはいつも溌剌(はつらつ)としている人気者。にんじんは穏やかで笑顔を絶やさない人。このイメージは、トマトは実を食べる野菜、にんじんは根を食べる野菜という特性にも由来しています。

トマトは鳥に食べられて種が拡散して繁殖することから、完熟を迎える夏に食べ頃を迎えます。このため収穫したての新鮮な状態で、熱を極力加えずにピューレ状にすることで、フレッシュな香りを楽しめます。

それだけではシンプルなので、ジュースにするときには強めにしぼってペースト状にしたトマトも混ぜてコクを加え、味を立体的にしています。

一方にんじんは、春に花が咲いて種ができるまで、根っこは土の下で寒い冬を耐え抜きます。生のままだと青臭さが気になるため、ジュースにするときは熱を与えてまろやかな味わいにしているんです。

写真提供:カゴメ株式会社

さらに、独特の苦味があるセロリやプチヴェールなどの葉野菜をあえて加え、ちょっとしたアクセントにしています。

例えばビールでも、香りのクセや苦味があると記憶に残り、「あの味をもう一度飲みたい」となりますよね。気候や体調によって毎日、味の感じ方は変わるので、毎日飲み続けてもらえる味にするには、口に入れるたびに「トマト、にんじん......これは葉野菜かな?」など、新しい発見があることを意識して味を整えています。

おいしい理由を言語化する

写真提供:カゴメ株式会社

私が恵まれていたのは、那須工場で2年ほど品質管理の業務を経験し、味覚が鍛えられたことです。そこには世界各国からトマトジュースの原料となる加工用トマトのロットのサンプルが送られてきていました。アメリカ、インド、オーストラリア、ポルトガル、トルコ、日本......テイスティングすると味の特徴から、産地の国や地域がわかるまでになりました。

なので商品開発では、「おいしい」という感覚を言語化できるように心がけています。「なぜおいしいんだろう」「何の成分や条件が、おいしいと思わせているんだろう」と常に考えていますね。

普段プライベートな食事をしているときであっても、気づいたらおいしさを因数分解しています。例えば「ワインなのにグレープフルーツっぽい香りがするのはなぜなのか」などと自問自答するんです。

試作をする日は、前日にお酒を飲まず、ランチも食べません。味覚のレベルを高め、自分の美学に合わせておいしさの高みを目指していきます。

Akiko Kobayashi / OTEMOTO

カゴメは1933年からトマトジュース用のトマトの開発を進めており、原料品種を統一して「凛々子(リリコ)」と名付けています。特に日本の凛々子は、高温多湿の気候でも丈夫に育ち、狭い田畑で手収穫しても楽にヘタがとれ、輸送に耐えられる皮の厚さで、リコピンが豊富に含まれています。

そうした品種づくりから取り組んでいることが前提にあり、そのうえで開発者は原料のおいしさを最大限に引き出すことに注力できるのです。

Akiko Kobayashi / OTEMOTO

「つぶより野菜」の発売から10年。これからもおいしく飲んでいただくために、産地と品質を守り続けていかなければなりません。国内の生産者と二人三脚で、日本の農業を守り、成長させていく気概をもって取り組んでいます。その取り組みの一つとして、新たに国産トマト100%ジュース「日本のトマト」を開発しました。(関連記事に続く)

【関連記事】ひたすら真面目に、派手さもない。日本のトマト畑から生まれた「実直」なカゴメトマトジュースの意外な背景

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