旅するスパイスカレー 料理教室→家庭・店・地域食堂
市内極楽寺で、スパイスの輸入卸や販売を手がける(株)アナンのメタ・バラッツさん(39)が講師を務めるカレーのオンライン料理教室が、7月10日で50回を迎えた。家庭でも本格的なスパイスカレーを楽しんでもらおうと、新型コロナが流行した2020年に開始。オンラインで伝授する月替わりのカレーは、受講者の家庭だけでなく、飲食店や地域食堂にも広がっている。
毎月の教室は50回到達
オンライン料理教室は、毎月第2水曜に開催。参加者には事前にスパイスキットが送られ、会場のアナン邸(極楽寺)と各家庭の台所をオンラインでつなぎ、1時間の調理でカレーを仕上げていく。
記念すべき50回目の10日は、「夏野菜とエビのサローナカレー」。バラッツさんは、受講者に対し調理方法を丁寧に説明し、煮込みの時間を活用してスパイスの種類や歴史、背景などを紹介し、カレーに親しめるような工夫も凝らす。父がインド生まれのバラッツさんは、「スパイスは種類によってさまざまな文化や背景があり、毎回違うカレーを教えられるのが楽しい」と目を輝かす。50回目は、アーカイブを含めて県内外60人が受講した。
佐助カフェを営む島崎亮平さん(63)は、オンライン教室を休まず50回受講。スパイスカレーを極めたいと思っていた矢先、バラッツさんの教室を見つけ腕を磨き続けている。島崎さんは、「初心者でも気軽に楽しめて、バラッツさんの人柄にも魅せられている」と話す。
佐助カフェでは、島崎さんが教室で習得したカレーが今春からメニューに。7月は「ブナチキンカレー」と「キャベツとしらすのキーマカレー」の2種類で、ともに1500円。今後は月1回の頻度でメニューを替え、50種の提供を目指す。
オンライン教室は1日4回で4人分を調理。余ったカレーは当初から、子ども食堂を運営するふらっとカフェ鎌倉を通じて市内の困窮家庭や福祉施設に届けてきた。
5月からは、地域の居場所「chottoいなむら」への提供が始まり、地域食堂でカレーが振る舞われている。同所の渡邉公子代表(81)は、「今まで食べたことないカレーばかりで、みんなに喜ばれている」と感謝を口にする。
料理教室は、今度も続く。