【要注意!家庭で起こる電気火災が増加中】延長コードやスマホ、モバイルバッテリーの出火リスクを防ぐため今すぐやるべき事は?
消防局員が安全な使い方や予防策を徹底解説
近年、家庭内での火災事故が増えていますが、その原因として特に多いのが電気に関連する火災です。今回は、電気配線やバッテリーが関係する発火事故について、静岡市消防局消防部予防課の近江達彦さんに、SBSアナウンサー高田愛弓が聞きました。
<目次>
1.延長コードやプラグの火災リスクとは?
2.発火につながるリチウムイオン電池の注意点
3.発火した場合の対処法
4.アロマオイルや油汚れは乾燥機に要注意
5.鏡やペットボトルが引き起こす収れん火災とは?
高田:近年、増えている家庭での発火事故にはどのようなものがありますか?
近江:住宅火災の中で、電気が原因となる「電気火災」が増加しています。10年前と比べて約4割も増えており、特に家庭で使用されている延長コードの配線部分やプラグ部分での火災、リチウムイオン電池が普及したことによるバッテリーに起因する火災が多く見られます。
延長コードやプラグの火災リスクとは?
高田:延長コードやプラグのどの部分で火災が発生しやすいのでしょうか?
近江:延長コードでは、長さに余裕があるものを束ねていたことで束ねた部分が曲がって断線したり、発熱したりして出火することがあります。椅子や冷蔵庫の足に配線が踏まれて断線して出火することもあります。
近江:プラグ部分は長期間の挿しっぱなし、ほこりや水分の付着でショートする「トラッキング現象」で出火することもあります。気を付けなければいけないのは、踏みつけやトラッキングによる火災は電化製品を使用していなくてもコンセントにささって電気が流れているだけで出火してしまうことです。いつ発生してもおかしくないという危険性があります。
発火につながるリチウムイオン電池の注意点
高田:スマホがこれだけ普及しているとモバイルバッテリーも使いますから、バッテリー絡みの発火も怖いですね。
近江:そうですね。リチウムイオン電池に関する火災は、スマホやモバイルバッテリー、コードレス掃除機、電動アシスト自転車など、より身近な製品で発生していることが多いです。
出火の要因の一つは力が掛かることです。製品を落としたり、スマホならズボンの後ろポケットに入れて座る、バッグの中で他の物の下敷きになるなど力が掛かると、電池内部でショートします。雨に濡れたり水に浸かってしまったりした時に使い続けることも、侵入した水が影響して火災に至ることもあります。
使用環境も影響します。高温の車内にバッテリーを置きっぱなしにすると、出火する危険性があります。
発火した場合の対処法
高田:配線やバッテリー絡みの火災を防ぐにはどんな注意が必要ですか?
近江:製品を使わない時はプラグを抜くことや、定期的な清掃を心がけてください。また、配線が踏まれたり、曲がったりしていないか確認すること、決められた許容電力量を守って使用することが大切ですね。
バッテリーは衝撃を与えないようにし、高温や水濡れを避けるように気をつけましょう。使用中、製品が異常に熱くなってふくらんできた時は、劣化の可能性があります。使用をやめてメーカーに相談して下さい。
高田:もし発火してしまった場合、どう対処すればよいでしょうか?
近江:コンセントから電源プラグを抜くことが重要です。つながったまま水をかけると、ショートする可能性があります。リチウムイオン電池は可燃性の電解液が入っているため、一度火が付くとバーナーのように火が噴き出たり、ケースが破裂して飛んでくることもありますので消火時の二次被害に気を付けてください。
また、一度火が収まっても内部に電気が残って、再び発火する可能性があります。例えばスマホやモバイルバッテリーであれば、鍋や桶に水を張って浸水させると再発火を防げます。水を掛けて消火した時も火が収まった後、水に浸けておくと安全です。
高田:そういう対策が必要なんですね。
アロマオイルや油汚れは乾燥機に要注意
高田:ほかに、覚えておいてほしいことはありますか?
近江:例えばリラックスのために使われるアロマオイルは、染み込んだタオルを洗濯後、乾燥機にかけるとタオルから発火する危険があります。オイルが酸化発熱するため、洗濯で十分に落とし切れていない場合、乾燥機の熱が衣類に蓄熱して発火することがあります。
調理や自動車整備などで油が付着した衣類も同様のことが起こり得ます。対策として、自然乾燥にするとか、油を十分に除去できる洗剤を使う、乾燥後すぐに取り出すなどが大切になってきます。
高田:気を付けてほしいですね。
鏡やペットボトルが引き起こす収れん火災とは?
近江:ほかに珍しい火災として、「収れん」という現象があります。鏡やペットボトル、水槽などに太陽光が当たって光が集中することで、発火してしまう現象です。実は、冬から春先の空気が乾燥する時期の方が夏場より出火する確率が高いです。
高田:意外ですね。夏場より冬の方が収れん火災が起こりやすいんですか?
近江:特に寒い時期は、日光を採り入れようとカーテンを開けっ放しにする方も多いですが、直射日光が当たる窓際に光が反射・屈折しやすいものを置かないことが大切です。
高田:乾燥している冬場の方が注意が必要ですね。近江さん、ありがとうございました。
※2024年10月17日にSBSラジオ「IPPO」で放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……近江達彦さん
静岡市消防局消防部予防課。