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女性だけでブランド牛の「遠藤牛」を飼育する「遠藤ファーム」。

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女性だけでブランド牛の「遠藤牛」を飼育する「遠藤ファーム」。

お歳暮の贈り物や年末年始のごちそうを探している方におすすめなのが、胎内市の「遠藤ファーム」で飼育販売されている「遠藤牛」です。広範囲に流通しているわけではないので、耳馴染みのない方も多いかもしれません。今年の夏に会長が亡くなり、現在は代表を受け継いだ娘さんとお母さんを中心に女性4〜5人で営業しています。その娘さんを訪ねてみると、以前「Things」で紹介させていただいた「café Dal(カフェ・ダル)」のオーナー・遠藤さんだったのでした。

株式会社 遠藤ファーム

遠藤 真由美 Mayumi Endo

1970年胎内市生まれ。神奈川県の看護学校を卒業。看護師として20年働いた後、2014年に胎内市で「café Dal」をオープン。2020年に両親の経営する「遠藤ファーム」が株式会社になったタイミングで代表に就任。

株式会社 遠藤ファーム

遠藤 マサ子 Masako Endo

1947年胎内市(旧黒川村)生まれ。結婚前は実家の農業を手伝っていた。22歳で仏壇職人の金一さんとお見合い結婚をし、30歳からは畜産農家に転向した金一さんを支えてきた。持っているギターをいつか弾けるようになりたいと思っている。

オリジナルブランド「遠藤牛」が生まれたわけ。

——どうもご無沙汰しております。「café Dal」の取材ではお世話になりました。

真由美さん:こちらこそ、お世話になりました。まさか、また取材していただけるとは思いませんでした(笑)

——私もです(笑)。お母さんには初めてお目にかかります。まずは「遠藤ファーム」の歴史から教えていただけますか。

マサ子さん:お父さんは若い頃、仏壇や建具をつくる職人だったんですけど、仕事が減ってきたので転職することになったんです。もともと脚に軽い障がいがあって他の人より給料が少なかったので「会社勤めではなく自分で商売したら?」と勧めました。

——それで畜産農家になったんですね。牛を選んだのはどうしてなんでしょう?

マサ子さん:牛と豚のどっちがいいかと相談されたので「牛だばいいよ」と答えました(笑)。牛は瞳が可愛いから、愛情を持って育てられると思ったんです。

真由美さん:みんな好奇心旺盛で可愛いんですよ(笑)

——確かにみんな私に注目してくれていますね(笑)。こちらにいるのは、みんな和牛なんですか?

マサ子さん:今は黒毛和牛をオリジナルブランドの「遠藤牛」として、100頭くらい飼育しています。

——このあたりだと「村上牛」が多そうですけど、そのなかでオリジナルブランドにしたのはどうしてなんでしょう?

マサ子さん:自分たちのやりたいように牛を育てて売りたかったので、JAを離れて法人化したんですけど、JAを通して売る牛しか「村上牛」とは呼べないんですよ。そこで直売所のオープンに合わせて「遠藤牛」として販売するようになりました。

真由美さん:問屋さんや焼肉屋さんから「遠藤牛は美味しい」と喜んでいただけることも多いので、私たちも嬉しいです。

——直売所をはじめられたのはどうしてなんですか?

マサ子さん:最初はハネものの野菜を売るために直売所をはじめようと思っていたんだけど、それなら牛肉の販売もしようということになったんです。

真由美さん:それからは冷凍庫やショーケースをばんばん買って、あっという間にパック肉の販売がはじまりました(笑)

——直売所をやる上で心掛けていることがあったら教えてください。

真由美さん:美味しい調理方法を伝えたり、おすすめの商品をお知らせしたりすることで、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。商品のリクエストにレスポンス良くお応えできるのも、小さいお店ならではのメリットだと思います。

頑張って育てた分、牛が応えてくれる。

——牛舎は明るくて綺麗ですね。

マサ子さん:柱とか梁とか、ステンレスの餌箱とかは全部お父さんと一緒に手作りしたんです。気温の低いときは牛も寒いと思って窓を閉めていたんですけど、お父さんは全部開けておくように言うんですよ。風通しを良くすることで衛生的な環境をつくって、温度変化に対応できる強い牛を育てていたんだと思います。

——手づくりの牛舎には、木工職人だったお父さんの経験が生きているんですね。やっぱり飼料にも工夫があるんでしょうか?

マサ子さん:約10年かけて集めたデータを参考にしながら配合した飼料や、コシヒカリの稲藁を与えています。

——他にも畜産農家としての苦労があったら教えてください。

マサ子さん:生きもの相手の仕事だから休みなしですよね。牛が好きじゃないとできない仕事だと思います。

真由美さん:言葉を話さない相手なので、よく観察することが大切だと学びました。毎日観察しているうちに、ちょっとした変化にも気づけるようになるんですよ。健康状態のチェックには気をつけているせいか、病死する牛はほとんどいないんです。

——生きものを相手にするお仕事って大変ですよね。

真由美さん:身体の大きい生きものですから、足を踏まれたり蹴られたりしてケガをしないように気をつけています。

——悪気はなくても、あの大きさですからね……。いろいろなことに気をつけながら飼育しているんですね。

真由美さん:そのおかげもあって「遠藤牛」はA5ランクの12番が多いんですよ。頑張って育てた分、牛も応えてくれるんだと思います。

——ところで「遠藤牛」ってどんな特徴があるんですか?

真由美さん:きめ細かい霜降りが特徴で、口に入れると甘みのある脂や溶けるような肉質を味わえます。あっさりでもこってりでもない、ちょうどいいバランスの味わいですね。臭みもまったく感じません。

マサ子さん:牛肉自身の脂で焼けるので、油は使わずそのまま焼くことをおすすめしています。軽く焼いてミディアムレアで召し上がっていただくのがいちばん美味しいと思いますね。肉本来のうま味を味わっていただきたいので、塩こしょうだけのシンプルな味付けで召し上がっていただきたいです。

父の意志と牛を受け継いで、大切に育てていきたい。

——お父さんが亡くなってから、しばらくは大変だったんじゃないですか?

真由美さん:父にしか分からないことが多かったので大変でしたね。周りの人たちからアドバイスをいただきながら、なんとかやってきました。今は私と母、従妹やそのお友達など、女5人で頑張っています(笑)

——今後はどのように続けていこうと思っているんでしょうか。

真由美さん:まずは父の育ててきた牛たちを大切に育て上げたいと思っています。その後は跡を継いでくれる方に託すのか、経営譲渡するのか、じっくり考えて結論を出したいと思っています。

——これからの季節、お歳暮の贈り物や年末年始のごちそうにぴったりですよね。

マサ子さん:丹誠込めて育てた「遠藤牛」をぜひ味わってみてください。

えんどうファーム直売所

胎内市草野643

080-7587-5163

10:00-15:00

日火木金曜,年末年始休

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