東京女子流の新井ひとみが語る!卒論のテーマは松田聖子【昭和アニソン大合唱 vol.1】
12月5日開催【昭和アニソン大合唱 vol.1】⑤
「昭和アニソン大合唱 vol.1」のゲストは平成生まれの昭和好きアイドル
2025年12月5日(金)、東京・渋谷のLOFT9 Shibuyaで開催される参加型イベント『昭和アニソン大合唱 vol.1』は、1970年代のアニメソングを特集する。このイベントに “昭和カルチャー研修生” として参加する、新井ひとみ(東京女子流)のインタビュー企画、後編をお届けしよう。
15年以上活動を続ける実力派グループの副リーダーは、子どもの頃から『キャンディ♡キャンディ』の主題歌を歌い、ソロとして『魔法の天使クリィミーマミ』主題歌をカバーするなど、昭和のアニメソングと縁が深い。今回はアニソンも含む昭和ポップスへの想い、イベントへの期待、そして自身のこれからを語ってもらった。
ソロプロジェクトとして昭和楽曲をカバー
ーー “80年代風アイドル” というコンセプトでソロデビューした新井ひとみは、ますます昭和愛を深め、アニメ関連曲も含めた昭和ソングをカバーする機会が増えている。自分の生まれる前の曲に思いを馳せ、丁寧に向き合ってきた。
新井ひとみ(以下:新井):昭和歌謡、昭和ポップスといわれる曲を探っていくなかで、“あ、この曲も知ってる、これもおばあちゃんが歌っていた曲だ” と、どんどんつながっていったんです。目の前が広がっていくような感覚でした。「デリケートに好きして」の後も、ソロプロジェクトとして昭和楽曲のカバーに取り組みました。
いくつかの候補を実際に歌ってみて、直感的に “これだ!” と思ったのが中森明菜さんの「少女A」で、それがソロとしてのセカンドシングルになりました。サードシングルはシティポップをイメージしたオリジナル曲「恋のミラージュ」で、4枚目は加藤登紀子さんの「時には昔の話を」を歌いました。これはスタジオジブリの『紅の豚』のエンディング曲でもあるので、アニメソングとも言えますよね。「デリケートに好きして」はスタッフさんの選曲でしたが、「少女A」と「時には昔の話を」は私から “これをやりたい!” と提案して決めました。
松田聖子をテーマとした卒論を書いたほど大好き
ーー ソロライブでも昭和ソングのカバーに挑み、“80年代風アイドル” というコンセプトの解像度を上げている。
新井:CDでリリースした曲以外にも、ソロのライブではいろいろな昭和楽曲をカバーしました。中森明菜さんの「飾りじゃないのよ涙は」、松本伊代さんの「センチメンタル・ジャーニー」、アニメソングでもある、うしろゆびさされ組さんの「渚の『・・・・・』」(*1)、酒井法子さんの「夢冒険」(*2)などです。
*1:テレビアニメ『ハイスクール!奇面組』(フジテレビ系)オープニングテーマ
*2:テレビアニメ『アニメ三銃士』(NHK)主題歌
ーー そして、昭和アイドルの探求を続ける新井ひとみには特別な存在がいる。なんと、そのアイドルを卒業論文のテーマにしたというのだから驚きである。
新井:特に大好きなのが松田聖子さんです! “80年代風アイドル" というコンセプトでソロデビューするにあたって、自分でいろいろ調べていくなかで、聖子さんに心を奪われました。ライブ映像を見て、胸を締め付けられるというか、可愛らしさがありながら、“頑張って!” と応援したくなる、助けたくなるような儚さもあって…。もう聖子さんは別格で、一番グッと来る方だったんです。私は大学に通っていたのですが、大好きな気持ちをかたちにしようと思って、聖子さんをテーマとした卒論を書いたほどですから。山口百恵さんと中森明菜さんを登場させ、聖子さんがなぜアイドル界のトップに立つことができたのかをまとめました。
ーー 新井ひとみが昭和のアイドル楽曲について掘り下げる際に重視するのは、メロディや衣装、振り付けだけではない。
新井:SHOWROOMのライブ配信では聖子さんの「瑠璃色の地球」も歌いました。ゆったりした曲で、いろいろ考えさせられる歌詞ですよね。私、歌詞重視派なんです。東京女子流の曲もそうなんですが、歌詞の意味を噛み砕いて感情移入するのが好きなんです。だから、昭和の楽曲を聴いたときも、その歌詞についてじっくり考えます。
名前が同じ “ひとみ” ということもあって、石川ひとみさんの「まちぶせ」もカラオケでよく歌うんですね。たとえばあの曲なら、「♪好きだったのよ あなた」という部分では主人公が過去の思い出に浸っています。一方で「♪あなたをふりむかせる」という部分では、今でも好きなんだという気持ちが強く表現されているように感じます。それでいて、「♪あなたをふりむかせる」とひらがな表記なのは、そこに弱さや自信のなさが表現されているのでは? そんなふうに思いを巡らせます。
それから、昭和の楽曲を聴くと今では使われないワードが出てきますよね。たとえば “ルージュ” とか。それを、どんな意味があるんだろう? と調べるのも楽しい。だから今回の『昭和アニソン大合唱』では、いろいろなアニメソングの歌詞を探求したいという気持ちがあります。
新井ひとみと “昭和好き” アイドル群像
ーー 近年、昭和好きを表明する女性アイドルが目立っている。そうしたアイドルを集めたイベントやコンサートも増えてきた。
新井:10月18日には、神奈川県・よこすか芸術劇場で行われる『昭和100周年企画!コンサート アイドルたちの昭和歌謡』に出演します。フィロソフィーのダンスの奥津マリリさん、元乃木坂46の真洋さん、wqwq(わくわく)さん、そして私—— 昭和歌謡を愛するアイドルたちが集まるコンサートです。
昭和に関するイベントに呼んでいただく機会が増えているのは嬉しいですね。 9月には、『昭和アイドルアーカイブス』という、元CoCoの宮前真樹さんがMCを務めるイベントに出演させていただきました。作曲家であり編曲家の山川恵津子さんをクローズアップしたスペシャル回で、山川さんや元おニャン子クラブの新田恵利さんにもお会いできました。
ーー 新田恵利はテレビアニメ『愛の若草物語』(フジテレビ系)の主題歌「若草の招待状」を歌った実績がある。山川恵津子は『魔法のスターマジカルエミ』(日本テレビ系)の主題歌『不思議色ハピネス』をはじめ、数多くのアニソンも手掛けている作家だ。CoCoのデビュー曲「EQUALロマンス」はギリ平成だが、『らんま1/2』(フジテレビ系)のエンディング曲でもある。新井ひとみは、往年のアニメソングのエッセンスを少しずつ摂取しているのである。
新井:『昭和アニソン大合唱』はアイドルイベントではなく、アニメソングのイベント。しかも、トークで参加+合唱ということで、自分の新しい扉が開くような気がします。きっと会場には1970年代のアニメに詳しい方も多いと思いますが、“昭和カルチャー研修生” として、謙虚にいろいろ学んでいきたいです。
新井ひとみの「昭和アニソン大合唱」への期待
ーー『昭和アニソン大合唱』の具体的なプログラムに、新井ひとみの好奇心はふくらむ。スマートフォンとともに育ち、ストリーミングと動画配信の時代に20代を過ごす世代は、1970年代アニメをリアルタイムで体感した層とは異なる視点で作品や楽曲に触れるのだろう。
新井:「セツナ系エンディング曲」を深掘りするプログラムも興味深いですよね。エンディングに切ない曲が多いのは、なぜなんでしょう? 番組の終わりを伝えるため? 言われてみれば『魔法の天使クリィミーマミ』のエンディング曲「LOVEさりげなく」も切ない曲ですよね。主人公の優ちゃんの好きな男の子への想い—— “好きって気づいてほしい!” という気持ちを歌っているんです。もしかすると、主人公の違った面を見せるため? う〜ん、面白いなあ。理由を知りたいですね。
ーー『ルパン三世』峰不二子への小さな疑問 。
新井:『ルパン三世』の上映会もワクワクします。私は峰不二子さんの名言BOTをじっくり読んだことがあるんですけど、不二子さんとルパンの関係って不思議で… そのあたりも、もっと知りたいですし、曲も楽しみですね。昭和のアニメソングには “なるほど!” と思うことがたくさんありそうで、それを楽しむ機会にしたいです。
東京女子流と新井ひとみのこれから
ーー 近い将来、新井ひとみには大きな転機が訪れる。その日に向けて、今はラストスパートの最中だ。
新井:2010年にデビューした東京女子流は、2026年3月31日にお台場のダイバーシティ東京でのライブを最後に解散することが決まっています。今は残された時間を大切に、グループとして完全燃焼を目指しています。それだけに、4月以降のことは、まだ何かを言える段階ではないのですが、昭和探訪はこれからも続けていきたいですし、歌もやっていきたい。そこにつながる活動として、12月5日には渋谷のLOFT9 Shibuyaで、皆さんと一緒に昭和のアニソンを思いっきり楽しみたいですね。
《公演概要》
昭和アニソン大合唱 vol.1
▶ 開催日時:12月5日(金)18:00 OPEN / 19:00 START
▶ 出演者:新井ひとみ(東京女子流)、コスプレ声ちゃん、DJ BLUE ほか
▶ チケット:ライブポケットにて抽選販売受付中(10/1 18:00〜10/14 23:59)
▶ 料金:前売 ¥4,980 / 当日 ¥6,000(税込み)*ワンドリンクオーダー要
▶ 会場:LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)
▶ 主催:Re:minder club(昭和アニソン大合唱実行委員会)