北海道余市町「ワインと美食の町」をアピール
今年2月にブルゴーニュの銘醸地ジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を締結した北海道余市町。世界に通用するワイン産地への成長を目指すと同時に、「美食の町」としての知名度も高めようと、東京や大阪などの大都市圏でワインと地域食材にフォーカスしたイベントを積極的に開催している。
text by Tomoko HONMA
関西初、リーデル大阪店でワインと料理のペアリング試食会
余市町は1月31日リーデル大阪店で、余市町産の食材を使った料理と町内ワイナリーのワインのペアリング試食会を開催、関西圏のワイン業界関係者やメディア約50人が参加した。余市町役場が関西でワインのプロモーションを手がけるのは初めてのことだ。
試食会では「平川ワイナリー」「ドメーヌ ユイ」「ニトリ果樹園」の白ワインが順番に供された。それぞれのワインの特徴や味わいについて、世界最年少のマスターソムリエで余市町地域おこし協力隊の高松亨氏が説明した。
さらに、余市町のワイン生産者を代表して、世界の美食レストランでそのワインが引っ張りだこの「ドメーヌ・タカヒコ」曽我貴彦氏が、『ナナ・ツ・モリ ピノ・ノワール 2021年』について説明。「果実味や酸味、アルコール感などのバランスが良く、複雑さが特徴のワインに仕上がっています。おだしのような旨味を味わうのにぴったりのリーデルのグラスで、“宝探し”のように味わってください」と笑顔で話した。
ワインに合わせる料理を担当したのは、大阪の「Restaurant La Cime(ラ シーム)」を率いるミシュラン・スターシェフの高田裕介氏。余市町の豊富な水産物の中から、高田シェフがチョイスした余市町産のニシンフィレとボタンエビ 、さらに現在、余市郡漁業協同組合が進めている新プロジェクト「余市さかなラボ」第一弾の商品「いくらワイン漬け」を使った、唯一無二の料理が振る舞われた。
齊藤啓輔(けいすけ)町長は「余市町はワインと美食の町への歩みを確かなものにするべく、ブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を締結しました。新興ワイン産地として成長を続ける北海道余市町と、世界的な銘醸地として名高いジュヴレ・シャンベルタン村が共同で築く未来にご期待ください」と力を込めて語った。
海産物の生産者たちが東京で試食会を開催
一方、1月27日には、東京・日比谷ミッドタウンのレストラン「Värmen(バーマン)」で余市町産海産物の試食会が開催された。主催は、余市町で地域おこし協力隊として活動する漁師の蔓木勇波(かぶらぎ・ゆうな)氏と、香りづけに余市町産のウイスキーを使う特産品「余市からすみ」の開発に携わる嶋田俊氏だ。
この日は、余市町産のブリ、タラ、アンコウなどの鮮魚に加えて、町内で製造している特産品の「余市からすみ」が紹介された。これらの食材を「Värmen」のオーナー・シェフ掛川哲司氏が、参加者の目の前で調理。臨場感溢れるパフォーマンスに参加者から何度も歓声が上がっていた。
「北琥珀」と名付けた余市町産のからすみの開発やPRに携わる嶋田氏は、「日本のからすみは九州の長崎が有名で、北日本ではほとんど作られていません」と説明。「江戸時代から続く漁業や水産加工業の歴史がある余市町で、一つひとつ丁寧に仕上げた余市からすみは、食味が強く、口に入れた時に魚卵の粒感が残っているのが特徴です」とその美味しさをアピールした。
東京と大阪、二大都市圏で開催された北海道余市町のワインと地域食材に焦点を当てたイベント。それぞれの参加者からは、世界基準のワインの生産地としての成長に期待すると同時に、ワインには欠かせない料理との相性を体験する「ガストロノミーツーリズム」を望む声も上がり、これからの余市町の動向に注目が集まる。
【問い合わせ】
余市町政策推進課政策調整係 < s.cyousei@town.yoichi.hokkaido.jp >