器も味も手づくりで。たっぷりの愛情を感じられるお好み焼き 宇部市「くつろぎ菴」
「お好み焼き=庶民的でにぎやかな場所」。そんなイメージをやさしく覆してくれるのが、宇部市の住宅街に佇むお好み焼き店「くつろぎ菴(あん)」です。自家製野菜をふんだんに使った、身体にも心にもやさしい一枚がここにあります。しっとりと落ち着いた古民家でいただく、あたたかな食の時間をご紹介します。
18年間変わらない、やさしい味と価格
宇部市の常盤公園西側、住宅街にある「くつろぎ菴」がこの場所にオープンしたのは、今から18年前。味付けも値段も当初からほとんど変えずに、地元の人々に愛されてきました。
店内に一歩足を踏み入れると、まるでギャラリーのような雰囲気。陶芸品や絵画が飾られた空間は、実際にかつてギャラリーとして使われていたそうで、建物をそのまま活かしているのだそうです。
「好きだったお好み焼きを、せっかくならこの空間で出してみよう」そう店を始めたきっかけを話す手島慶子さん。今では、地元の人にとってなくてはならない一軒に育ちました。
自家栽培の野菜が主役。驚きのヘルシー感
くつろぎ菴のお好み焼きの最大の魅力は、なんといってもたっぷりの野菜。
キャベツにネギ、ブロッコリーにショウガ…そのほとんどが、店主ご夫婦が手塩にかけて育てた自家製野菜です。
「どこのお店でもあるようなメニューだけじゃ、つまらないでしょ?」そう話す手島さん。
家庭菜園をしていたことをきっかけに、お好み焼きに旬の野菜を取り入れるスタイルを確立しました。季節ごとに違った味わいが楽しめるのも嬉しいポイントですね。
具材をたっぷりとのせたら、鉄板の上でじっくりと焼き上げていきます。焼き加減をはかるのは、なんと砂時計。こんな遊び心もまた、このお店のあたたかさの一つです。
ふわっと香ばしい一枚に、心も満たされる
お好み焼きをひっくり返すと、きつね色の焼き色が食欲をそそるお好み焼きに。仕上げにソース、削り節、青のりをかけて、あつあつの状態で提供されます。
お好み焼きオリジナル 700円
驚くのはそのやさしい甘さ。野菜の甘みがしっかりと感じられ、生地はふわもち。
ブロッコリーやネギの存在感がしっかりとありながらも、お肉の旨みと一体となって、食べ応えは十分。しかもこのボリュームで700円というのだから、思わず二度見してしまう価格設定です。
さらに嬉しいのは、お皿がほんのり温かいこと。鉄板の上に置いて温めてから出しているそうで、「できるだけ温かい状態で食べてほしい」という思いやりが感じられます。
自分で焼く楽しさも。「うどん入り」アレンジに注目
くつろぎ菴では、鉄板付きの席で自分でお好み焼きを焼くこともできます。今回挑戦したのは、ネギと生姜がたっぷり入った「うどん入り」のお好み焼き。
お好み焼きネギ・ショウガ 700円うどんトッピング 100円
具材の中には、自家製のネギやショウガに加え、あらかじめソースと削り節で味付けされたうどんが1玉分。具材を流し込み、うどんをのせてさらに生地をかけるという工程は、ちょっとしたお料理気分。鉄板の上でじゅわっと焼ける音と香りに包まれながら、表面がこんがりと色づいたところでひっくり返す瞬間はドキドキ。
ふわっと焼き上がったお好み焼きは、ショウガがしっかり効いていて、体の中からぽかぽか温まる感覚に。うどんが入っていることで、さらに生地のもちもち感が増し、しっかりした食べ応えがありながら、後味はすっきり。
食後のひとときに、器から感じるやさしさ
食事の最後には、食後のコーヒーと生クリームで作ったムースもいかがですか?
コーヒー(デザート 生クリームのムース) 500円
注目はこちらのカップで、店主であるご主人が自ら作ったもの。なんと、島根県の窯元で修業し、数々の美術展で入賞経験があるそうなんです!
「持ちやすくて飲みやすい器を」との思いから生まれたハート型のカップは、見た目のかわいらしさ以上に、口当たりの良さが印象的。料理を引き立てる器のひとつひとつにも、ご夫婦のこだわりが込められています。
“幸せの形”を感じる場所
野菜のやさしい甘み、温かな手作りの器、居心地の良い空間。すべてに共通しているのは、ご夫婦のたっぷりの愛情です。
食べてほっとする、また行きたくなる。そんなやさしい時間を求めて、「くつろぎ菴」を訪れてみませんか?
★今回の内容は、2025年3月18日放送、yab山口朝日放送『You!どきっ』のコーナーを記事化したものです。