ロシアがどうしても手に入れたいモノ!?価値観や文化の違いよりも浮き彫りになる国家間の争いが起こる理由とは?【図解 地理と経済の話】
国の対立は「貿易しやすい土地」をめぐって起こる【図解 地理と経済の話】
ロシアは凍らない海運ルートがほしかった!?
国家間の争いの理由は、価値観や文化の違いなどさまざまですが、資源ルートの確保をめぐって対立することがあります。
たとえば、2022年から戦争状態が始まったロシアとウクライナです。両国の争いの発端としては歴史観やイデオロギーの対立もありますが、地理的な視点を踏まえると、資源ルートをめぐる争いが浮き彫りになってきます。
一般的に広大な土地を持つロシアという国は、石油や天然ガス、石炭をはじめとしたエネルギー資源を多く持っているうえ、森林や鉱物などの天然資源も豊富な大国として知られています。しかしながら、冬になると北極海とオホーツク海が凍って、ロシアは海運が使えなくなってしまうのです。
2014年、ロシアが国際世論を無視してウクライナのクリミア半島を併合したのは、冬でも凍ることのない黒海を手にすることで、海運ルートを確保したかったためといわれています。
ちなみに、ウクライナにはチェルノーゼムと呼ばれる肥沃な穀倉地帯があり、小麦の生産量はロシアよりも勝っています。隣り合う国なのに生産量に違いが生じるのは、ロシアが寒冷地だから。ロシアは広く大きな国土を持ってはいるものの、なかには農地に適さない土地も多く含まれているというわけです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』