釣って、食べて、三陸を満喫! 今が旬のヤリイカメタル&3種イカの絶品レシピ!
3種のイカがねらえる三陸沿岸のイカメタルですが、秋冬のターゲットである「ヤリイカ」ねらいの釣りが始まりました。例年10月から12月いっぱい楽しめるヤリイカメタルの実釣模様と、スルメイカ、ケンサキイカ、ヤリイカそれぞれの絶品料理をご紹介したいと思います。
三陸秋イカメタルシーズン開幕
スルメイカもサイズアップ。秋冬シーズンも三陸のイカメタルは熱い
三陸のイカメタルのエリアは北から各地に点在しています。群れの移動などで釣れるエリアが変動することもよくあります。やはり、新鮮な情報をもとに釣行計画を立てたいものです。
そろそろヤリイカの第1陣が接岸してもよいシーズンだなとSNSでリサーチしていると、「ヤリイカ好調!」の情報を発見。さっそく釣りに出掛けてみました。
ヤリイカの繊細なアタリを堪能
当日お世話になった遊漁船は、岩手県宮古の「ゆたか丸」さん(澤口船長)です。
ゆたか丸さんは宮古の遊漁船のパイオニア的存在で、大型から小型まで4隻の遊漁船を運行しています。深海から近海まで宮古の海を知り尽くし、楽しい釣行をバックアップしてくれる頼れる船宿さんです。
ネットでの情報を澤口船長にたずねると、先日まで釣れていたスルメイカは数が釣れなくなっていること、代わりにヤリイカの群れが接岸して釣れ始めたことを確認。「コレはチャンスかも?」と思いながら、16:30港を出港しました。
30分ほどでポイントに到着し実釣開始。スタートこそ無反応の時間もありましたが、集魚灯が点灯する時間帯になると、徐々にイカの寄り付きも感じられるようになりました。竿先を鋭く弾くようなスルメイカのアタリと、モゾモゾと繊細なアタリのヤリイカが混在しているようです。
ヤリイカには定番の「ピカイチスティック 11cm ダブル(ハヤブサ)」ですが、この日はスッテのほうが好反応でした
序盤、イカからのシグナルは頻繁にあるのですが、なかなか掛けられずに苦戦しました。そこでロッドをティップの柔らかいものに持ち替えると、やっと掛けられるようになりました。どうも張りの強過ぎるロッドはスッテを長く抱かないようで、ノリが悪いようです…。
しかしロッドを持ち替えてからは、ときどき襲来する青物の影響を受けてイカのアタリがパタっと途切れる時間帯もあったものの、沖上がりの時間までコンスタントに釣れ続き、ヤリイカ60杯、スルメイカ6杯で終了。今季のヤリイカメタルの緒戦としてはまずまずの釣果となりました。
三陸沿岸のイカメタル
今後の展開は…
先の釣果を鑑みると、(当記事が公開されるころには)2025シーズンのヤリイカメタル開幕と言ってもよいのではないでしょうか。三陸沿岸のヤリイカは群れの接岸次第ですが、12月いっぱいまで楽しむことができます。年末に向けてヤリイカのサイズも徐々に大きくなっていきますので、数、型ともに楽しめると思います。
当日の釣果。ヤリイカの数が多くなってきました
一方、スルメイカも接岸すれば釣果を望めます。12月に入ってから釣れる大型スルメイカは「冬至スルメ」と呼ばれ、三陸では珍重されるほどの高級魚扱いです。寒さが厳しくなっていく季節ですが、これからも熱いイカ釣りシーズンが続きます。
釣ったあとは…絶品イカ料理!
さて、スルメイカの定番料理といえば「一夜干し」。軽く炙って七味とマヨネーズでいただけば、ビールが進む一品になります。
スルメイカの一夜干し。ゲソの一夜干しの香ばしさはスルメイカならではです
釣り上げた新鮮なイカを食べられるのもアングラーだからこそ。かといって、毎回お刺身ばかりじゃ飽きてしまいますね。今回はひと工夫して、釣り上げたイカを美味しくいただく4つのレシピをご紹介します。
スルメイカの「キリコミ」(塩辛)
肝と混ぜ合わせたキリコミ。濃厚な肝の旨みでご飯が進みます
【材料】
・スルメイカ 5杯
・塩 適量
材料はたったこれだけ。「キリコミ」とは東北地方の郷土料理で、簡潔にいえばスルメイカの「とも和え※」で、肝の濃厚な味わいと新鮮なイカの身を混ぜた料理です。
塩辛と同じものですが、イメージ的には塩辛はイカの身が肝と馴染んだもの、キリコミは馴染む前段階のものといえばいいでしょうか。スルメイカは大きなもので、肝がよく肥えていれば申し分ありません。
※同じ材料から取った素材で和えた料理
【作り方の手順】
①スルメイカの身をさばく
②イカの胴からゲソ、肝をはがします
③肝を頭部から切り離します
④開いた身に軽く塩を振り、ザルなどの容器に入れて冷蔵庫で一晩寝かせます
⑤肝は皿などの容器にキッチンペーパーを敷いた上に並べてキツめに塩を振り、冷蔵庫で一晩寝かします
⑥イカの身を細い短冊状に切り、容器に入れておきます
⑦肝は包まれた薄皮から搾り出します
⑧搾り出した肝は網などで裏ごしします
⑨身と裏ごしした肝を混ぜ合わせます
⑩塩加減を調整して出来上がりです
ポイントは塩でイカの水分を搾り出すこと(ピチッとシートなどで脱水するのもよいと思います)。出来上がったら、毎日1回はよく混ぜ合わせることです。容器に入れて冷蔵庫保存すれば1週間は保存がききます。出来上がりから徐々に馴染んで、塩辛になっていく過程を楽しんでください。
スルメイカのお刺身を肝醤油でいただくのも絶品です「イカキムチ」
ダイコンの水分で徐々に味が馴染んできます。コチラもご飯が進む一品です
次に「イカキムチ」です。スルメイカを使ってもいいのですが、肝があればキリコミを作ってしまうので…、材料はヤリイカやケンサキイカを使います。
【材料】
・ヤリイカ、ケンサキイカなど 5杯
・ダイコン
・唐辛子粉(粗挽き)(細挽き) 少々
・ニンニク 2かけ
・砂糖
・塩
・ナンプラー
・水飴
【作り方の手順】
①イカをさばきます。ゲソは使いません
②イカの胴は細い短冊状に切ります
③ダイコンもイカと同じように短冊状に切ります
④容器に切ったイカとダイコンを入れておきます
⑤ニンニクをすりおろします
⑥唐辛子粉(粗挽き・細挽き)、塩、砂糖、ナンプラー少々、水飴少々を、イカの入った容器に入れて混ぜ合わせたら完成です
コツは混ぜ合わせたあとで味を調整すること。毎日かき混ぜてください。唐辛子粉(粗挽き)は辛味が強く、細挽きは辛味よりも色味のために使います。辛味の調整は粗挽きの唐辛子粉で調整するとよいでしょう。ダイコンが馴染んで柔らかくなった頃合いが食べごろです。
コチラはスルメイカの定番「沖漬け」。漬け上がったら、1杯ずつラップで包み冷凍しておくと、いつでもすぐに食べることができます「イカ団子」
ペーストにエビを混ぜても美味しい「イカ団子」。ゲソを混ぜてペーストを作ると食感も加わり、さらに美味しくなります
「イカ団子」は台湾で人気の料理「花枝丸(ホァズーワン)」をもとにしたレシピです。花枝丸はコウイカを使う料理ですが、スルメイカ、ケンサキイカ、ヤリイカでも作れます。ゲソを使わずに身だけでペーストを作れば白く、ゲソを混ぜて作ると赤みのついた団子になります。茹でた団子を油で揚げることで、香ばしさとカリッとした歯応えが絶品の料理になります。
【材料】
・イカ 5杯(300g程度)
・ラード 2個
・片栗粉
・卵 1個
・塩 少々
・砂糖 少々
・コショウ 少々
【作り方の手順】
①イカは胴を使います
②フードプロセッサーに全ての材料を入れてペースト状に混ぜ合わせます
③ペーストの硬さは、丸めたときに形が崩れない程度の硬さです
④ペーストを2本のスプーンを使って丸め、沸かした湯に投入して茹でます
⑤沈んでいた団子が浮き上がってきたら、ザルなどに取り上げて冷まします
(保存する場合は粗熱が取れたら、保存袋に入れて冷凍します。冷凍したものを食べる場合は凍ったまま団子を油で揚げます)
⑥150℃の油で茹でた団子を、そのまま表面がキツネ色になるまで揚げます
⑦マヨネーズや抹茶塩などを付けて食べてください
ペーストを丸めて団子にして茹でているところです。わが家ではたくさん作り置きして冷凍保存しています
冷凍したイカ団子を油で揚げています。団子自体はすでに火が通っていますので、キツネ色になれば出来上がりです
フードプロセッサーでペーストにするときは、硬さの調整がポイントです。柔らかくなり過ぎると団子にまとめにくいため、ハンペンや冷やご飯を少し加えて攪拌し硬さを調整しましょう。
また、団子は作り置きして冷凍保存しておくと、食べたいときにすぐ揚げられて便利です。さらに、ペーストにゲソを混ぜると、食感と旨みが増してより美味しく仕上がります。
「イカシュウマイ」
「イカシュウマイ」といえば、佐賀県呼子の名物として有名ですね。自宅でもかんたんに作れてとても美味しいので、ぜひ試してみてください。
【材料】
・ケンサキイカ 300g
・卵白 1個
・タマネギ 1/2個
・ショウガ 少々
・シュウマイの皮 50~60枚
・塩 少々
・酒 少々
・ごま油 少々
・片栗粉 適量
【作り方の手順】
①イカは皮を剥いて適当な大きさに切っておきます
②フードプロセッサーにイカ、タマネギ以外の、そのほかの材料を入れてペースト状にします
③タマネギはみじん切りにしてペーストに混ぜ合わせます
④シュウマイの皮は細く切っておきます
⑤タマネギと混ぜ合わせたペーストを適当な大きさに丸めて、シュウマイの皮で包んでいきます
⑥蒸し器にクッキングシートを敷き、シュウマイを並べて蒸します。強火で7~8分です
⑦皿に盛り付け練り辛子を添えたら出来上がりです
ペーストが硬いと出来上がりも硬くなります。丸めにくいくらいの柔らかさのある程度が美味しく作るコツです
蒸し上げたシュウマイを油で揚げて「揚げシュウマイ」にしても美味しいですよ。ケンサキイカのほかヤリイカもシュウマイにむいています。フワっとした食感とイカの旨みが最高に美味しいシュウマイです。
ヤリイカをはじめ、イカはクセが少なく料理のバリエーションも豊富。釣って楽しく、食べて美味しい魅力にあふれた食材です。
今回ご紹介したレシピのほかにも、イカならではの楽しみ方がまだまだあります。この秋冬は、ぜひ釣りたてのイカで、自分だけの“イカづくし”を楽しんでみてください。
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レポーター
プロフィール:堀籠 賢志
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ