キーボードを叩くと家が出現!文書に「町」を作るフォント「Shuffle Town」が面白い
手書き風の文字だったり、ホラー風の文字だったり、一風変わった文字を簡単に使用することができるデジタルフォントの世界。
そんなさまざまな種類がある中でも特に変わった、「町」が入力できるデジタルフォント「Shuffle Town」が誕生しました。
■ キーボードを叩くだけで「町」を作ることができるフォント「Shuffle Town」
デザイナー・イラストレーターとして活躍するオザワタクヤさんがこのほど発表したのは、キーボードを叩くだけで「町」を作ることができるユニークなフォント「Shuffle Town」。
町を作るフォント?何かの比喩?聞いただけでは全く意味が理解できない方も多いかと思いますが、「Shuffle Town」という“フォント”でできることは、正真正銘「町を作る」で間違いありません。
通常のフォント同様、キーボードを使って文字入力することで、そのアルファベットや記号に対応した「家」や「木」や「人」が文書上に出現するのです。何かの単語や文章を打つのも良し、適当にタイピングするのも良し。キーボードを打つだけで、自分だけの「町」を文書の上に作り出すことができます。
収録されているのはアルファベット26文字、0から9までの数字、!?や()など使用頻度の高い記号42種類。PC環境で欧文書体と同じように使用することができ、PowerPointやWordにも対応しています。
アルファベットは小文字が家、大文字が家とそれにまつわる人々というデザイン。数字は木や街灯、記号は人々という作りになっています。
フォントは無料版と有料版の2種類を用意。無料版では「大文字以外の文字」を扱うことが可能。有料版はショッピングサイトBOOTHにて、980円で販売されています。
そんな不思議フォント「Shuffle Town」について、オザワさんに詳しくお話をうかがってみました。
■ 5年前に同様のアイデアをツイート!「Shuffle Town」誕生のきっかけ
――Shuffle Townを着想したきっかけについてお聞かせください
<オザワさん>
町を俯瞰するような高密度なイラストは、作るのにも時間がかかるし、クリエイターに頼むとかなりの費用がかかりますが、一つひとつの作業は意外と単純で、根気の勝負だったりもします。
そこで、「フォント化してランダムに並べれば、手軽に、統一感のある町の俯瞰イラストを作れるのでは」と思ったのがきっかけです。
着想自体はかなり前で、約5年前に同様のアイデアをツイートしていました。
――5年も前から……!
<オザワさん>
私は普段イラストやデザインの仕事をしていて、フォントづくりは息抜きのつもりで始めたのですが、“家をアイソメトリック図法で描く”という作業が実務に近くてまったく気分転換にはならず(笑)、結果的に作り切るまで5年かかってしまいました。
――アイソメトリック図法というのはなんでしょう?
<オザワさん>
近くのものも遠くのものも同じ大きさで描ける手法のことです。そのため絵文字を改行しても不自然な歪みが起きません。
――なるほど。漠然と「見やすいなあ」と思っていたのですが、そういう手法が使われていたのですね。そのほか「文字を家にする」にあたってこだわった点があればお聞かせください。
<オザワさん>
屋根の形や植物のパターンなど、似ているけれど異なる要素を見分けられるように描き分けました。
――ちなみにアルファベットと家に関連性はあるのでしょうか?aに対応する家はaから始まる何らかの単語に関連するものだったり……みたいな
<オザワさん>
それはしてないです!完全にランダムです
――「Shuffle Town」はどのように使ってもらいたいですか?
<オザワさん>
当初は装飾的な用途を想定しており、家に関する事業の資料などで少し使ってもらえたら嬉しいなと思っていました。
ですが、SNSで拡散される中で「ゲームに使えそう」「子どもの遊びになっている」といった声をいただき、思いもよらない使われ方を拝見してとても面白く感じています。
――たしかにお子さんの遊びとかにはよさそうですね!この町は今後も拡大していくのでしょうか?
<オザワさん>
「Shuffle Town」は、今後ビルや公園などのシリーズを追加し、より自由度の高い“まちづくり”ができるようにしていきたいと考えています。
――その他、今後チャレンジしたいフォントはありますか?
<オザワさん>
以前制作した文鳥が密集する絵文字フォント「ぎゅうぎゅう文鳥」のように、“高密度にぎゅっと集まると楽しげになる”モチーフを探して、新しい絵文字フォントを制作していきたいと思います。
――高密度に集まるフォント、かわいいです笑 今後の発表も楽しみにしています!
* * *
フォント「Shuffle Town」は商用・個人利用ともに可能で、使用報告やクレジット表記も不要。デザインソフトで改変し、着色したりアニメーション化したりしても問題ありません。キーボード1つで簡単に、日々の書類やデザインに、可愛さやおしゃれさを追加することができます。
なお、フォントデータそのものの複製・改変・再配布などは禁止です。詳細はオザワさんが代表を務める「可視化研究所」の公式HPにて確認してください。
筆者も実際に「Shuffle Town」をダウンロードして試してみましたが、キーボードを叩くたびに文書上にぽこぽこと家や人が現れる様子は、かなり可愛くて楽しめました。
<記事化協力>
オザワタクヤ さん(@ozawa_takuya1)
可視化研究所公式HP「Shuffle Town」
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025110704.html