港に咲く大輪! 「釜石納涼花火」2年ぶり開催 迫力の水中花火に観客大喜び
釜石市の夏を盛り上げる「釜石納涼花火2025」(市、釜石観光物産協会主催)は11日夜、釜石港で開かれた。東日本大震災犠牲者の慰霊、まちの活性化を願う花火、約3千発が夜空や海上を彩った。港周辺に設けられた4つの観覧場所には、市民や帰省客、観光客ら約1万4千人が繰り出し、色とりどりの光の競演を楽しんだ。昨夏の同花火は台風の接近により中止されたため、2年ぶりの開催となった。
震災復興支援で同市とつながる秋田県大仙市の「大曲の花火協同組合」が打ち上げを担当した。午後7時、震災犠牲者を追悼する「白菊」(タイトル:鎮魂と平和への祈り)を皮切りにスタート。「釜石湾に希望のファンファーレ」「夕映の釜石湾」「光る汗と笑顔 釜石よいさ」など、ご当地ならではのタイトルが付けられたスターマイン、水中花火のほか、3~8号玉の各連発花火など31のプログラムで楽しませた。
埼玉県から帰省した秋穂亜佳里さん(34)は親族11人で魚市場会場から観覧。2年ぶりの釜石花火に「見られるのはやはりうれしいですよね。都内とかだとこんなに近くで、しかもシートを敷いてゆっくり座って見ることができる花火はなかなかないので」と笑顔満開。「お盆中は父方の祖母の家に行ったり、海に行ったりしてみんなで楽しみたい」と話し、古里での休暇に気分を高揚させた。
盛岡市の髙橋弘幸さん(62)、尚子さん(61)夫妻は「一番前で見たくて」と、午後1時ごろから魚市場会場の岸壁で待機。釜石の花火は「目の前で広がる水中花火が圧巻」と、ここ数年、毎年足を運ぶ。花火フリークで、大曲の花火をはじめ、各地の花火大会に出向くのが夏の楽しみ。「昨日は宮古の花火を見て、今日は釜石。花火を見ると胸が躍る。(何かと忙しくなる)お盆の前にやってくれるのもいいですね」と喜んだ。
釜石の夏の花火打ち上げは震災後2年間、「LIGHT UP NIPPON(ライトアップ日本)」の被災地支援で実施。その後、港湾復旧工事のため休止し、2015年に地元主催で再開された。20年から2年間は新型コロナ感染症の影響で再び休止を余儀なくされ、22年から通常開催となった。震災後しばらくは約1千発の打ち上げだったが、今は震災前と同様の約3千発となっている。震災後、主催者は安全上の観点から港周辺の観覧場所を指定。4カ所となった22年以降の人出は1万人以上で推移し、今年は最多となった。