保護者と信頼関係を築くためのコミュニケーションのコツとは?【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】
保護者と信頼関係を築くためのコミュニケーションのコツ
誠実さを大原則に、プラスの面を積極的に伝えて
保護者との関係づくりにおいて、日常的なコミュニケーションは極めて重要です。良好な間柄が築けているからこそ、ここぞというときにデリケートな話題にも踏み込めるもの。日頃から、子どもの素敵なところ、かわいらしい反応が見られた場面、心身の成長が感じられた出来事など、ポジティブな情報をたくさん伝えていきましょう。
逆に、相手の信頼を損なうような言動には、十分注意しなければなりません。何よりも大切なのは、誠実であること。たとえ相手を安心させたいという思いからであったとしても、真実でないことを伝えるのは、保護者の信頼を裏切ることにつながります。
もちろん、表現に工夫が必要なことはありますが、それが行きすぎて「嘘」にならないよう注意したいところです。その場しのぎで事を済ませようとせず、誠心誠意で対応するのだという心構えが何よりも大切です。
保護者を傷つけかねない言動には要注意!
気になる子の保護者とのコミュニケーションだからこそ、特に注意したいポイントもあります。
まずは、守秘義務について。その子の自宅での様子や困り事、最近の家庭環境の変化、場合によっては医療情報など、通常であれば他人に話さないような個人情報を耳にする可能性があります。ほかの保護者など関係者以外に話を漏らさないことはもちろん、メモを取った場合などの情報管理にも十分な配慮が求められます。
また、「この子はいつもこうだから仕方ない」と決め付けたり、「障害があるかもしれないから改善が難しい」といった態度を取ったりすることはNG。これらは保護者を傷つける言動であり、保育のプロとしてもふさわしくない姿勢といえます。気になる子自身も保護者も、困ったり悩んだりしているケースが多いことを忘れず、一緒に解決を図るイメージでコミュニケーションを取れるといいですね。
知っておきたい!保育者に求められる3つの要素
保育者である皆さんに、保護者はどんなことを求めているのでしょうか? その要素を整理すると、「知識」「技術」「予見性」の3つを挙げることができます。たとえ若くても、子育て経験がなくても、自信を失う必要はありません。
これら3つの要素について少しずつでも力を高めていくことが、保護者からの信頼感につながるのです。
【知識】
子どもの発達や、それを支援するために必要な情報を持っている
【技術】
実際に子どもや保護者と接し、状況に応じて、よりよい方向へ導くための行動が取れる
【予見性】
その子の成長について、より精度の高い見通しが立てられる
【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史