「夫があまり育児に参加してくれない…」積極的に子育てに取り組んでもらうためのコツは?【専門家監修】子育ての悩み(12)
「夫があまり育児に参加してくれない…」。夫婦で協力して育児をしていきたいという2歳の女の子のママからのお悩みです。
相良順子さん
聖徳大学 教育学部 児童学科 教授
人文科学博士。子どもの性役割の形成と発達を主に研究する他、夫婦の役割意識や関係満足度の調査なども行っている。
男性の育児参加は子どもの成長や夫婦関係に影響
共働き世帯が増加傾向にある昨今、子育てに夫の協力は不可欠であり、これまで妻の役割とされてきた家事や育児に対する意識も変化しているようです。しかし、そういった考え方が若い世代では進んでいるものの、日本人男性が家事育児に関わる時間は先進国の中で最低水準にとどまり、長時間労働の改善や育児参加しやすい社会風土への変革が求められています。
父親の育児参加は、幼児期の社会性を育み、思春期の心の健康に影響を及ぼすなど、子どもの成長に長期にわたって大きく関わるという研究結果が出ています。加えて、母親の不満や育児不安を解消し良好な夫婦関係につながるともいわれています。
家事育児への「門」を閉ざさず寛大な心で優しい声掛けを
家庭の役割分担に不慣れな男性も多い中、積極的に子育てに取り組んでもらうためには「夫のやる気を削がないこと」がポイントです。まずは「子どもと30分だけ遊ぶ」など小さいことから始めてみましょう。それから「1時間ごとに子どもの様子をチェックする」「15時までに洗濯物を取り込んで、畳む」など、具体的にタスクを伝えることで男性の意欲は増し、家事育児に対しての抵抗感も軽減されますので、試してみるのも一つの手。
気をつけたいのは、子どもの前で夫を非難したり、完璧を求めるあまり「あなたにはもう頼まない」と、育児参加や家事協力の「門」を閉ざしてしまうこと。そうなると妻の負担は増し、母子密着や過保護になりやすいなど、将来的に子どもの自立を阻む可能性があります。「門」は広く開放し、寛大な心で接するのがいいですね。
結婚後、早い段階から役割分担について話し合う姿勢を持つのもおすすめです。「母性」に代わる「親性」という概念が示すように、男性も子どもと接する時間が長くなるほど愛着が高まるという研究データがありますので、お互いの結びつきが強まれば、育児への協力度も増していくでしょう。子どもから「パパがいい」と求められたら成功です!