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伊藤銀次とウルフルズ ⑮ 福岡風太プロデュースの野外コンサート「春一番 '95」に出演!

Re:minder

1995年05月04日 「春一番 '95」コンサート開催日(大阪城音楽堂)

大好評連載中:連載【90年代の伊藤銀次】vol.19

歴史的イベント「春一番」への出演依頼


先日、『春一番』という歴史的なイベントを50年以上プロデュースして、大阪のフォークとロックの音楽シーンを長い間リードしてきたプロデューサーの福岡風太が亡くなった。彼は僕が大阪時代に結成していた “ごまのはえ” のマネージャーで、僕たちも第2回の『春一番』に出演するなど、彼との出会いがなかったらまちがいなく僕は音楽の世界に入ることはなかった。

ちょうどウルフルズの「SUN SUN SUN '95」のレコーディングが始まるちょっと前に、しばらく会ってなかった風太から電話があり、久しぶりに『春一番』に出てくれないかという依頼が。それはとてもうれしいお誘いだったが、その1995年の時点での僕はもうアーティストとして活動する気はまったくなくて、ひたすらプロデューサーに専念する覚悟でいた。だから申し訳ないがとお断りしようと思ったのだが、そこではっとひらめいて “ウルフルズを出してくれるんなら一緒に出てもいいよ” という返事をした。

その時点で彼らの存在をまったく知らなかった風太は返事に窮したようで、ちょっと考えさせてくれと電話を切った。そしてその翌日、また電話があり、“ええよ、ウルフルズと一緒に出てくれるか” という好返事。“石やんに尋ねたら、ウルフルズはええグループやでゆうてたからなあ” という意外な展開‼ 石やんというのは、当時まだ存命で大阪を中心に活動しつつ、CHARと馬呆(BAHO)というユニットを組むなどしていた才気あふれるギタリストの石田長生君のこと。なんと石やんのおかげでOKに‼ Thank you so much!石やん‼

「大阪ストラット・パートII」はぜひともやろう


そして、春一番出演のことをメンバーとスタッフに話したところ、誰もがのってくれたのでさっそくトータスと内容についてミーティングをすることに。せっかくだから、故郷に錦を飾るという意味で「大阪ストラット・パートⅡ」はぜひともやろうとなって、そうなるとキーボードが必要になる。そこで僕が思いついたのは、『春一番』の常連出演者の1人、独自のポップワールドを持つパワフルピアニストのRIKUO君だった。うれしいことにウルフルズのメンバーも彼との交友があったので即RIKUO君に決定‼

僕はウルフルズをとにかく多くの人に見てもらいたかった。「大阪ストラット・パートⅡ」という大阪を代表するランドマーク的楽曲をリリースしたあとだっただけに、とにかく彼らを目立たせたかった。そこで思いついたのは、ちょうどゴレンジャーのように、全員が七色のカラフルな衣装で出演するというアイデア。もともと1969年のアメリカで開催された『ウッドストック・フェスティバル』に刺激、影響されて始まった『春一番』だから、出演者はGパンにTシャツやGジャンのようなファッションの出演者がほとんどなので、これでとにかく目立とうというわけなのだ。

キャンディーズの「春一番」をやりませんか?


結果、トータスが黄色、RIKUO君が紫、銀次が赤、ケイスケがピンク、ジョンBが青、サンコンが緑というように、ゴレンジャーならぬ “ロクレンジャー” での登場となった。そしていざ選曲となった時、トータスから “せっかく春一番に出るんだから、キャンディーズの「春一番」をやりませんか?” という意外な提案が。 ブルースや黒人R&Bフリークだとばかり思っていた彼の口から、まさかのキャンディーズの単語が出てくるとは。

僕は一瞬とまどったものの、なぜか僕の灰色の脳細胞にびびっと閃いたものがあった。キャンディーズの春一番をテンポを落として、ニール・ヤングの「Heart Of Gold」みたいな感じでやったらどうだろうというもの。頭の中で鳴らしてみるとこれは行けるかと思って、彼らとスタジオに入って合わせてみたらもうばっちりどころか想像以上のおもしろい出来に。結果、本番は僕達ロクレンジャーは浮きに浮いて目立った!目立った!実に印象的に故郷への錦を飾ることができたのだった。

この「春一番」のヴァージョンは東芝EMIのスタッフにも好評で、のちに「バンザイ 〜好きでよかった〜」のシングルのカップリングとして、「春一番(スタジオ・ライブ・ヴァージョン)」が収録されたのでご存知の方も多いかもしれないね。

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