スペースシャワーTV「夕陽のドラゴン」司会はトータス松本とユースケ・サンタマリア!
大河ドラマ『光る君へ』、安倍晴明を演じたユースケ・サンタマリア
間もなく最終回を迎えるNHK大河ドラマ『光る君へ』。ここに至るまでに、多くの登場人物が死去によって物語から退場していった。忘れ難い人物は数々いるが、なかでも特に強い印象を残したのが、ユースケ・サンタマリア演じる陰陽師・安倍晴明。貴族の頂点へと駆け上る藤原道長(柄本佑)を支え続け、死力を尽くした雨乞いの祈祷の後、満天の星が輝く夜に最期を迎えての退場となった。
それまで、“人知を超えた力を持つ神秘的な英雄” といったイメージで描かれることが多かった安倍晴明だが、『光る君へ』の晴明は胡散臭さ満載のオジサン。いろいろ言ってくる道長に対して、“めんどくせーな” って顔を見せることもあったし、皮肉めいたことも言う。呪術的なことを行う立場ゆえ、神聖さを持ちながらも俗っぽさもある。どんな人物かつかみきれないからこそ気になり、毎回の晴明の登場が楽しみだった。
キャスト発表があったときには “サンタマリアが陰陽師?” となったが、いやいや、おもしろくて新しい安倍晴明だった。『夕陽のドラゴン』のあのユースケがこんなすごい役者になるなんて、と勝手に感慨深くなる私。
トータス松本とコンビでスペースシャワーTV『夕陽のドラゴン』の司会
『夕陽のドラゴン』は、CS放送のスペースシャワーTV(以下:スペシャ)で1995年4月から97年3月まで放送されていた音楽バラエティ番組だ。司会は、当時まだ無名だったウルフルズのトータス松本とBINGO BONGOのユースケ・サンタマリア。初回放送は木曜日の夕方なのだが3回くらいリピート放送があるので、なんとなくスペシャをつけると2人が目に入り、なんとなく番組を観ることが習慣化していった。
トータスもユースケも、まあ軽快に喋るし、ときにはコントもこなす。当初はお笑い芸人かな?と思っていたが、番組内で流れるミュージックビデオを観て2人がバンドのフロントマンであることを知った。ラテンサウンドのBINGO BONGOもいいが、私が惹かれたのはウルフルズ。6枚目のシングル曲「トコトンで行こう!」を聴いてファンになり、ブレイク前の日清パワーステーションでのライブにも足を運んだ。
そして95年12月にリリースした「ガッツだぜ!!」が大ヒットし、ウルフルズは一躍人気バンドの仲間入り。番組の知名度も高まり、公開生放送のサテライトスタジオがあった渋谷のCDショップ『WAVE』クアトロ店は毎回大混雑に。そのため、途中からスペースシャワーTV本社内のスタジオからの放送に変更になった。
人気バンドになったウルフルズ対してBINGO BONGOは…
さて、ウルフルズは売れたが、BINGO BONGOはいまひとつパッとしなかった。シングル曲「イェイイェイ女到来」が板チョコモナカのCMソングとなり、BINGO BONGOもCM出演していたが、ウルフルズ人気にはまったく及ばず。当時のユースケはちょっと寂しそうで、時々自虐的なことも言っていた記憶がある。失礼な言い方かもしれないが、大所帯ラテンバンドのBINGO BONGOは米米CLUBの二番煎じ感が拭えなかった。
だが、バンドとは別方向でユースケは人気者となるのだから、人生わからない。ちょっと頼りないキャリア組のお坊ちゃま刑事役で、フジテレビ系列の刑事ドラマ『踊る大捜査線』にレギュラー出演。その後の役者としての活躍はみなさんご存知の通りだ。重厚な大河ドラマのクレジットに “ユースケ・サンタマリア” というふざけた名前があるのは、なかなかのインパクト。芸名を変えるタイミングもあっただろうに、今でもこの名を名乗っていることに強い意思を感じる。
時々トーク番組やバラエティ番組に出演したときのチャラい喋りを耳にすると、“あぁ、『夕陽のドラゴン』のユースケだ” と、ちょっとうれしくなる。BINGO BONGOも、今再結成したら意外といけるんじゃないかと思うのだが、どうだろう。