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希少がんを生きるシンガーソングライター「笑える日を作る生き方を」歌に込める思い

Sitakke

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“がんサバイバー”という言葉をご存知でしょうか。がんを体験し、不安を乗り越えながら、今を前向きに生きる人たちのことです。

症例が少なく治療法も確立されていない稀ながん、希少がんと向き合いながら活躍する、シンガーソングライターのメッセージです。

【連載】こう生きたっていい

おなかを触ったら「コロン」と当たった

シンガーソングライター・佐脇由佳(さわき・ゆか)さん42歳。

札幌と帯広を拠点に、自らつくった歌を北海道各地に届ける活動をしています。

歌で、同じ苦しみを抱える人の力になりたい。
歌は自分が生きている「実感」でもあります。

身体の異変を感じたのは、2017年のことでした。

「お腹触ってたらコロンって指に当たって。近くの産婦人科に行って診てもらったら、『女性は結構子宮筋腫を持っている人が多くて、大体は良性だから、半年後診せにおいで』みたいな感じで」

子宮筋腫―。

30代女性の3人に1人、40代で2人に1人という割合で発症する、婦人科の疾患です。

しかし、半年が経って、再び診察を受けに産婦人科を訪ねると、思いもよらない言葉を告げられます。

「2個並べて画像を見せてもらって『こっちはあなた、こっちは亡くなった患者さんなんだけれど、あなた放っていたら、亡くなるよ』みたいなことを結構、バシッて言われて」

体を蝕んでいたのは、子宮内膜間質肉腫でした。

どう一緒に生きていくか

人口10万人あたり6例未満の稀ながん、希少がんの一つです。
患者数が少なく、治療法も確立されていません。

「希少がんなので、症例数が少なくて、先もあまりわからないみたいで。ダメになっちゃう可能性が高い、転移もあるから」

手術の後、体の内側から、曲が湧きあがる感覚になったという佐脇さん。

そんなオリジナルソングをファーストアルバム『心に太陽 くちびるに歌を』にまとめました。

オリジナル曲のひとつで演奏のバイオリンを務めたのは、長女の花奈実(かなみ)さん17歳です。
母のがんが見つかった時、小学校6年生でした。

「小さかったのでよくわからないのもありましたけど、今後もいろんなところで一緒に演奏したりとかしていければいいなと思います」

佐脇さんの家族は、家で過ごす時間のほとんどを一緒にリビングで過ごすようになりました。

長男の遼亮さん(15)は「治るに越したことはないんですけど難しいこともあるので、 どう一緒に生きていくかを考えることが大事かなって思っています。みんなで楽しく生活出来たらなって」と話します。


全身にがん細胞が

希少がんのひとつ、子宮内膜間質肉腫を患った佐脇由佳さん(42)。
手術から3年、がんが再発します。

「進行が早かったみたいで『今回は子宮は残せません、付属器官ごと全部切除です』って言われて。初めて泣き崩れるっていう経験をしたのを今でも覚えている」

がんは、肺にも転移していました。

「大動脈を通じて、全身にがん細胞がまわっているってその時に説明を受けて。だからもう…全身どこからがんが出てくるかわからない、ダメなのかもしれないっていう、絶望を見た」

札幌を中心に活動していた由佳さん。
手術の後、「自然に囲まれた開放的な場所に居たい」という思いから、出身地の帯広を新たな活動拠点に加えました。

翌年“命”をテーマにつくった曲『今を生きる』。

プロモーションビデオは、自然が豊かな浦幌町で撮影し、“心の不安”や“生きる思い”を歌詞に込めました。

♪「今を生きる 弱さを抱えながら もがき苦しみながら 願いたいの この涙のあとに虹がかかる明日を」


今を、どう生きるか

佐脇さんが3週間に一度足を運ぶ先は、南富良野町の幾寅です。

クリニックの心理カウンセラーとの面談で、心の持ちようを知り、免疫力をあげるため針治療や漢方薬の処方を受けています。

「負けないように戦わなきゃって気張って頑張っていたことが、勝とうとしなくても病気が体の元気さに抑えられていれば、平和に共存できるんだよってことを学んだ」

大学時代は、ミュージカル俳優を目指していた佐脇さん。
自宅では、ボイストレーナーとしても活動しています。

生徒は3歳から70代まで…佐脇さんの明るさに、みんなが元気を貰っています。

「私のモットーなんです、泣いて、笑って、歌って、生きてっていうの…」

佐脇さんはそう話します。

「命が循環する感じがするんですよね…歌っていると。それをみんなにも体験してもらいたいし、私も全力でやるよっていうのが、今後の活動かな」

佐脇さんのオリジナル曲『今を生きる』には、こんな歌詞があります。

♪「このトンネル抜けたら晴れるのかな 一緒に笑えるかな」

転移で手術ができず、副作用がつらいため漢方や訪問ケアなどで緩和治療を受けている佐脇さん。
そこには「笑える日をつくる生き方をしたい」との思いが込められています。

「人としての強さ」が伝わってくる歌詞や言葉には、精力的に活動できることが何よりも楽しいと実感する佐脇さんの思いがこもっています。

トンネルの先に待っているのは「猛吹雪」なのか、「晴れ」なのか。
経験が紡ぎだす佐脇さんの歌は「今をどう生きるか」は、自分で選べますよ…と語りかけています。

【連載】こう生きたっていい

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年1月24日)の情報に基づきます。

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