1週間に2回以上食べればOK!実は世界中で認知症予防の効果が知られている食材
大好きだった祖母が認知症を発症したことをきっかけに、認知症の予防法の普及に生涯をかける決心をしたという山根 一彦さん。医学博士として、認知症専門人材の育成、教材開発に携わってきました。これまで多数の認知症関連書籍の監修・執筆活動を行ってきた山根さんが、著書『OK食材、NG食材もズバリ!認知症を防ぐ最高の食べ方』(KADOKAWA)で伝授しているのは、認知症の最新情報や、認知症を予防、改善するための食材や食べ方です。今回はその中から、認知症リスクを減らすために毎日食べたい食材の食べ方と選び方をご紹介します。
※本記事は山根 一彦著の書籍「OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方」から一部抜粋・編集しました。
【OK食材】キノコ類
―――軽度認知障害のリスクが半減
キノコの認知症予防効果は世界的にも知られており、研究が進んでいます。シンガポール国立大学が行った60歳以上の663名を対象とした調査では、キノコを1週間に300グラム以上食べると、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクが50%低下する可能性があることがわかりました。
しかも、週1回未満しか食べなかった場合と比較し、週2回以上食べた人たちは、軽度認知障害になる割合が半分に減ったそうです。
ということは、週に2回以上の頻度で、1週間に300グラム以上のキノコを食べるとよいわけです。
キノコがどうして認知症予防に効果があるのかについては、アミノ酸の一種の「エルゴチオネイン」という物質が、大きく影響しているのではと推察されています。
エルゴチオネインは、抗酸化力、抗炎症力が非常に高い物質なのですが、体の中だけでなく、脳のバリアを通過して脳内にも蓄えられることがわかっています。つまり、脳内で抗酸化力、抗炎症力を発揮してくれているということです。
さらに、エルゴチオネインは脳の神経細胞を増やし、とくに海馬に働きかけることで記憶力の維持向上に寄与します。
このようにエルゴチオネインは脳に直接良い効果を与えるほか、腸内環境を整える役目も担います。認知症は脳の病気ですが、その発症には腸の状態が深く関係しています。
また、キノコには食物繊維が多く含まれており、この点でも腸内環境の改善が期待できます。ただし大量に食べると、不溶性食物繊維がかえって腸の働きを悪くするので、過剰摂取は控えましょう。
キノコの種類はなんでも構いません。エルゴチオネインという成分は毎日5ミリグラムほど摂るとよいのですが、この量を摂取するには、エリンギなら大きめのもの半分(約20
グラム)、しめじなら1パックの3分の1程度(約30グラム)、椎茸なら大きめのもの2枚(約50グラム)、エノキなら4分の1袋(約50グラム)が目安です。大量に食べる必要はなく、前述の1週間300グラムで余裕で摂取できそうです。毎日種類を変えたり、複数の種類を食べたりするのが理想です。
POINT!
キノコは週300グラムを目標にいろんな種類を食べるとよい。
脳にうれしい「エルゴチオネイン」を摂取できる。