米スタバで堆肥化可能なカップを導入 2030年までに100%展開を目指す
カリフォルニア・ハワイなど全米14州で開始
米スターバックスコーヒーでは、冷たい飲み物の提供にプラスチック製のカップが使われていたが、2月より一部店舗で、カップと蓋が堆肥化可能な素材になった。対象となるのは、カリフォルニア州、ハワイ州、ワシントン州、マサチューセッツ州など、全米14州の店舗。
同ブランドでは、店内での飲食時やテイクアウト時にマイカップを利用できる制度を始めるなど、廃棄物やプラスチック使用量を削減する取り組みを行ってきた。
だが世界中に展開するスターバックスコーヒーでは、使用するカップの量が膨大になる。2024年12月のCBSの報道によると、アメリカのスターバックスコーヒーだけでも1日約600万杯の冷たいドリンクが販売され、使用されるプラスチック製カップは年間およそ22億個にものぼるとみられる。
そのため、環境活動団体がスターバックスコーヒーなどのコーヒーチェーンに、プラスチック製カップや使い捨てカップからの脱却を呼びかけてきた。今回の米スターバックスの堆肥化可能なカップの導入は、そのような背景もあっての動きと考えられる。
米スターバックスでは、2030年までに使用するカップをすべて、堆肥化またはリサイクル・リユース可能なものに変更し、バージン化石由来の原料の使用を50%削減する目標を掲げている。今回の堆肥化可能なカップでは、プラスチック使用量が10~20%削減できているという。また、30以上の市場において再利用可能なカップの試験運用も行われている。
中身が見えない「映えないカップ」に賛否両論
これまで使われていたプラスチック製カップは透明だったのに対して、今回導入された堆肥化可能なカップは中身が見えないタイプだ。スターバックスコーヒーの冷たいドリンクには、鮮やかな色が美しいメニューも多く、従来のプラスチック製カップの方が写真映えする。
そのため、「もうTikTokでドリンクは見せられない」と、堆肥化可能なカップの使用を嘆く声も一部あるようだ。だが「これでプラスチックカップが減るなら、みんな喜ぶべき」というコメントもあるなど、捉え方はさまざまだ。
米スターバックスでは、店内利用ならマグカップまたはグラスでの提供が可能であるし、マイカップを持参してそれに入れることもできると、代替案を提案している。
ちなみに堆肥化可能なカップのフタは、平らなタイプとドーム型の2種類が用意され、フラペチーノのようなこんもりと盛り上がったドリンクにも対応している。
今回の堆肥化可能なカップが導入されたのは、全米に約17,000あるスターバックスの店舗のうち、わずか3%にあたる約580店舗のみだ。だが、グローバルで展開するコーヒーチェーンの大手がこのような動きを示したことで、米国のみならず、日本や世界のコーヒーショップでも、同様の取り組みが当たり前になっていくことに期待したい。
そして、「写真に撮りたい」「友だちに見せたい」といった一時的かつ個人的な欲求だけに左右されるのではなく、私たちの一つひとつの選択が、未来の地球につながっていくことを改めて考えていくべきではないだろうか。
※参考
Starbucks takes a step toward sustainability with new compostable cups|Fast Company