猫に『本気噛み』されたら怖い3つの理由 たかが猫の傷…と甘くみてはダメ!
1.細菌が傷口から入りこむ
猫の歯は小さくて細いですが、鋭い針のような形をしています。噛まれると皮膚の奥深くまで傷が入り、そこに猫の口腔内の細菌が直接入りこんでしまいます。表面の傷は小さく見えても、中では細菌が繁殖し、膿がたまる状態になることもあります。
たとえば、猫に噛まれた数日後に指がパンパンに腫れた、というケースも珍しくありません。手など噛まれた部位や腫れ方によっては、指が動かなくなることもあります。痛みや熱が出てからでは治療が長引き、抗生物質が必要になったり、場合によっては手術が必要になることもあります。
「たかが猫の傷だから…」とあなどらず、すぐに洗浄・消毒することが大切です。異変を感じたら早めに病院へ行きましょう。
2.猫との関係が壊れる
愛猫に突然ガブッと本気噛みされると、驚きとショックで心が痛みますよね。
とくに「信頼関係ができている」と思っていたタイミングで噛まれると、まるで裏切られたような気持ちになる飼い主さんもいます。これは自分の中の「猫は自分を好きだ」というイメージと、噛まれたという現実が食い違い、混乱を生むからです。
その結果、「もう怖くて触れない」「嫌われているのかも」と距離を置いてしまい、猫との関係にひびが入ってしまうことも。
噛みつきの背景には恐怖やストレス、葛藤、突然触れられた不快感、体の不調や痛みなど、猫なりの理由があります。まずは感情的にならず、「なぜ噛んだのか?」に目を向けてみましょう。
3.感染症の重症化
猫の本気噛みは、大人でも痛くて腫れるほど強力ですが、体力や免疫力が弱い子どもや高齢者にとってはさらに深刻です。免疫が弱っていると、感染症が重症化しやすく、最悪の場合、全身に菌が回るおそれもあります。
たとえば、小さな子が猫を抱っこしようとして噛まれた結果、「高熱が出て数日入院」という話もあります。
動物とのふれあいはとても良い経験ですが、猫が不満な気持ちでいるときは行動や仕草に表れますので、危険な兆候を見逃さないようにしましょう。
「嫌がっているときは無理に触らない」「噛まれたらすぐ大人に知らせる」など、基本のルールを家族みんなで共有しておくと重大なトラブルを回避することができます。
まとめ
猫に本気で噛まれると、見た目以上に傷が深く、感染や精神的ダメージにつながる危険があります。「ちょっと痛かっただけ」で放っておくのではなく、正しく対処し、猫との信頼関係を守ることが大切です。
大事なのは「噛まれたこと」よりも「なぜ噛まれたのか」を理解しようとする姿勢です。猫も人間と同じように、不安や恐怖、嫌な気持ちを持っています。そのサインに気づいてあげることで、本気噛みのリスクは大きく減らすことができるのです。
猫の性格が攻撃的に急に変わった、気をつけていても噛みつきがひどいといった場合は、猫自身に病気が隠れている可能性や問題行動として治療が必要となる場合もあります。
まずは、猫がストレスの多い環境で過ごしていないか確認してみましょう。猫の性格や行動に明らかな異常を感じる場合は、動物病院に相談しましょう。愛猫と穏やかな関係を築くためにも、ぜひ「噛みつきの裏側」に目を向けたいですね。
(獣医師監修:唐野智美)