MADMED[ライブレポート]7者7様の極彩色に狂わされ惑わされたツアーファイナル「ずっと見届けてくれたら後悔は絶対させません」
MADMEDが、4月7日(月)にSHIBUYA Veatsでグループ初の東名阪ツアー<MAGiCAL×MEDiCAL>ファイナル公演を開催した。
2025年1月にMAD MEDiCiNEを継承する形で活動をスタートし、約2ヵ月。那月邪夢を中心に結成された7人は、予測不能なサウンドと圧巻のパフォーマンスで、唯一無二の世界観を体現。ステージには“狂気”と“覚悟”が交差し、観る者を容赦なく飲み込んでいった。
“バグ”すら武器に変え、7者7様の個性が激しくぶつかり合う中で、確かに浮かび上がった“現在のMADMED”。その姿を鮮やかにステージに刻んだ同公演の模様をお届けする。
撮影:ミヤタショウタ
“みんな、偉いっ!”
那月邪夢はアンコールで嬉しそうにそう口を開いた。それは自分が“MAD MEDiCiNEを引き継ぐ”という決意に対し、さまざまなプレッシャーがある中で、懸命に闘い続けた6人のメンバーに対する素直な感謝の言葉であり、ツアーを通してその手応えをしっかりと感じ取れた充実感があってこその言葉だろう。彼女の言葉とその満足げな表情が現在のMADMEDと、さらにはこれからのMADMEDの希望を表していた。
MADMEDがグループ初となる東名阪ツアー<MAGiCAL×MEDiCAL>ファイナルを4月7日(月)にSHIBUYA Veatsにて、ソールドアウトで迎えた。今年2025年1月27日(月)にMAD MEDiCiNEを継承する形で活動を開始してから約2ヵ月。まだ2ヵ月なのか、もう2ヵ月なのか……、捉え方は人それぞれだと思うが、強力な7人による強靭なグループになったことは間違いない。それをまざまざと証明してくれたライブだった。
ツアータイトル通り、目玉や病室を想起させるオブジェがステージをはじめ、会場至るところに吊るされ飾られている。まさに“MAGiAL”で“MEDiCAL”の、不気味な空間を創り上げている。
不穏な心音に重ねられる、けたたましく鳴り響くSE「Gauze」。妖気で陽気な空気に包まれながら7人が登場する。
“診察を開始します……”
最後にステージに登場した邪夢がそっと呟くと、「MAD DOCTOR」で診察(ライブ)がスタートした。天噛ミ妖メの妖艶な歌い出し、猿馬虎が精悍な顔つきで歌い継いでいく。《痛いのトんでいけ》と、怪しさを帯びながらも明るい響きが唐突にぶち込まれていく楽曲展開は、何度聴いても狂っている。本ツアーに向けてのオフィシャルソロインタビューでの邪夢の言葉を借りれば“バグ”だ。MADMEDワールドの至るところにバグが発生している。しかしそれが強烈なインパクトを放ち、比類なき個性になっている。そんな楽曲を歌い踊る、色鮮やかな7色7様のマッドサイエンティストにオーディエンスは狂わされ惑わされていく。
“せーので、ばっきゅん!”
愛嬌と同時に狂気で撃ち抜くように凸のキメ台詞&ポーズで始まった「インスタントアイドル」。打ち鳴らされるキックのビートがフロアを揺らしていき、架空使てんるがべっとりとした歌声で人を喰ったように吠えれば、深ゐ沼が凛々しくクールに立ち振る舞う。邪夢が《期待はずれ 加工厨》と捲し立てれば、おなかぺこが《アイドル気取りの量産型》と冷ややかに歌う。予測不能の難解な楽曲が想像以上のステージングへと導いていく。邪夢が《つまらない物差しステータス ぶち壊してあげる》と高らかに声を上げ、歌い閉じると大きな歓声が湧き上がった。
“全員踊れぇぇ!!”
魔王・邪夢の咆哮を合図に「黒猫のダンス」に傾れ込む。MAD MEDiCiNEから引き継いだどこか童謡的なメロディを持った曲だが、キックの強調されたエレクトロビートによって、MADな世界を浮き彫りにする楽曲に生まれ変わった。リアレンジというよりリミックス、いや、マッドサイエンス的にいうならば“改造された”という表現が正しいのかもしれない。そんな引き継ぎ曲の楽しみ方もMADMEDの大きな魅力になっている。
自己紹介を挟み、“いけるかぁぁぁー!!”と邪夢の煽りを合図にエレクトロなボディビートが鼓動を刻んだ。「らぶぎみ」だ。こちらも引き継ぎ曲であり、キャッチーなメロディを持ったポップスを、あたかも海外アーティストの手によってEBMチューンに生まれ変わった趣がある。飛び交うレーザーの中、極彩色の7人がV字に並ぶフォーメーション然り、歌い踊るそのド派手なステージとともに、MADMEDのライブにおける凄味をぶちかますキラーチューンに変貌した。
そして、高速カッティングギターから叩きこまれる「ときめきオーバードーズ」。エッジィにキメていく邪夢、吐き捨てるような虎、詞(ことば)によって声色を自在に操っていくてんる……MADMEDのボーカリゼーションが愉しい。妖メがありったけの声を注ぐようにロングトーンで歌い締めるも、語尾とオケが止むタイミングがぴったりと合ったブレイクによる一瞬の静寂が時を止め、皆が息を呑んだ。
そして本ツアーにおける初の試み、動画撮影OKタイムである。邪夢の狂ったタングトリルが誘う「まじかるはっぴえんど」へ。ソリッドなエレクトロから淡々としたゲームミュージックサウンドが錯綜していく。飄々ながら不敵な笑みを浮かべる凸、魅惑的な妖メ……邪悪で混沌としたMADMEDの猟奇的世界がくり広げられる。カオティックなサウンドとともに壮麗さを帯びていき、邪夢、てんる、妖メ、沼、凸、ぺこ、虎……と次々と折り重なっていく大サビへ。そしてようやく辿り着いたゲームクリア、と思えば《ばっどえんど》を迎える。7人に弄ばれているような楽曲である。
悲壮感のあるメロディが恨み節としてジリジリと侵食する「私ノ人生、台無シ」、そして7人による狂騒が猛り狂う「狂躁シェイプシフター」を叩き込んだ。ギシギシに歪んだギターサウンドに乗って、邪夢の邪悪な雄叫びと、ぺこのあっけらかんとした《咲いて》の対比がオーディエンスの“狂躁”を誘い、砲弾の嵐のように乱れ打たれるバスドラのブレイクダウンが“ヴォイ!ヴォイ!”と喚声を引き起こす。てんるが奇異の目でトドメを刺すと、8ビットの誘惑がフロアを襲った。「MAD GAME」だ。アッパーなトラックに合わせて狂い咲く7人。ボルテージがこれでもかというほどに上がっていき、後半にいくにつれBPMが加速しているような気分になっていく。それほどまでに7人のパフォーマンスから生み出されるグルーヴがすさまじい。
“それでは、これがラストの曲です……”
邪夢がラスト曲のタイトルを告げるとフロアから大歓声が上がる。MAD MEDiCiNEからの引き継ぎ曲、初披露となる「眠罪」である。原曲イメージそのままに“バグ”が加えられたMADMED仕様にアップデートされた同曲。刹那メロディがラストへ向かって加速していき、生バンドのごとくのグルーヴとエネルギーが会場を包み込み、本編を終えた。
ここにいる全員が幸せになってほしい
7大都市ツアー<劇毒ケミカルトリップ>発表からのアンコールで、再びステージに登場した7人。沼が“遠征してくれること、こうやって集まっていただけることは当たり前じゃない”と感謝し、てんるは“デビューして2ヵ月、毎日レッスンのような日々を送り、前体制への尊敬の念を抱きながら活動してきた”と口にする。デビュー時は知らない顔だらけだったと語る妖メは、“この2ヵ月でみんなと成長できた”と続けた。“私もみんなもすごく偉くて頑張りました”と誇らしげな表情を見せた凸。“無事完走できたことが1番嬉しい”というぺこは、結果を出せた本ツアーを糧に7大都市ツアーも完走したいと展望を語った。
“正直、歌うのが怖くなる時があるんです……”、思わず涙で言葉を詰まらせた虎。“こうやってたくさんの人がペンライトを持って、小さな光1つひとつのおかげで、ステージに立ってよかったなと思います”と感謝し、これからも大きくなっていくと決意を語った。
“みんな、偉いっ!”、邪夢は嬉しそうに口を開いた。“私がMAD MEDiCiNEの曲を引き継ぐ、マドメドをやりたいという気持ちでやってきたけど、みんなもホント、同じ熱量で闘ってきてくれて。ライブの合間、休みでもレッスン入れて頑張ってくれてたのね。本当に本当に偉いっ! ありがとうございます。この3大都市ツアーも完走できたし、これから7大都市ツアーも始まる。こんなに頑張れるメンバーがいることで、ずっと見届けてくれたら後悔は絶対させませんっ!”と力強く宣言。“ここにいる全員が幸せになってほしいという想いだけで、私は頑張れますので、本当にありがとうございます。みんなも受け入れてくれてありがとう”と感謝を述べると、大きな拍手に包まれた。
“今日は特別じゃないですか。とあるアイドルグループのカバーを!? 最近ポッと出て、パッと消えちゃったやつ”と虎の言葉から披露されたのは、エイプリルフールに突如登場したグループ、江戸眼奴(エドメド)の「心火、花と散れ」。咲き乱れる和楽器と轟音の調べに乗せて、7人は豪快に、粋に演舞した。
ラストを飾るのは、所属事務所MAD’S iNKの歴代グループに大切に引き継がれてきた、始まりの曲「完全犯罪※420」だ。ミステリアスでダンサブルなパフォーマンスで魅了し、エンディングを迎えた
2ヵ月前のお披露目ライブの際、私は“那月邪夢の牙城が崩れるのではないだろうか”、そう書き記した。そもそもMADMEDは“那月邪夢の牙城”ではなかったのだ、そう思った。7者7様の個性がせめぎ合う、それがMADMEDである。活動がスタートしてまだ2ヵ月余り、この先どんなグループになっていくのか、楽しみで仕方ない。
MADMED 東名阪ツアー<MAGiCAL×MEDiCAL>
2025年4月7日(月)
SHIBUYA Veats
1.MAD DOCTOR
2.インスタントアイドル
3.黒猫のダンス
4.らぶぎみ
5.ときめきオーバードーズ
6.まじかるはっぴえんど
7.私ノ人生、台無シ
8.狂躁シェイプシフター
9.MAD GAME
10.眠罪
〜アンコール〜
1.心火、花と散れ(江戸眼処)
2.完全犯罪※420
MADMED7大都市単独ツアー <劇毒ケミカルトリップ>
6月11日(水) 名古屋編
会場 : NAGOYA ReNY limited
開場 18:00 開演 19:00
6月21日(土) 仙台編
会場 : LIVE HOUSE enn 2nd
開場 18:30 開演 19:00
6月28日(土) 札幌編
会場 : PLANT
開場 14:00 開演 14:30
7月13日(日) 福岡編
会場 : Pocket
開場 12:30 開演 13:00
7月20日(日) 大阪編
会場 : 梅田amHALL
開場 18:00 開演 19:00
7月27日(日) 広島編
会場 : SIX ONE Live STAR
開場 18:30 開演 19:00
8月5日(火) ファイナル公演
会場 : 恵比寿LIQUIDROOM
開場 17:00 開演 18:00
[チケット発売]
先行抽選(全券種統一):4月8日(火)23:00〜5月10日(土)23:59
抽選発表 5月11日(日)12:00頃
一般先着
・名古屋編 5月12日(月) 20:00〜
・仙台編 5月12日((月) 20:30〜
・札幌編 5月12日((月) 21:00〜
・福岡編 5月12日((月) 21:30〜
・大阪編 5月12日((月) 22:00〜
・広島編 5月12日((月) 22:30〜
・ファイナル公演 5月13日(火) 20:00〜