佐藤錦の収穫スタート!旬を味わい尽くす、さくらんぼ狩りのライフハックとは!? 【山形県天童市】
山形県の初夏の風物詩、さくらんぼ狩りがいよいよ本格化する季節がやってきた。中でも最も人気の高い品種「佐藤錦」の収穫が、いよいよスタートする。
6月9日、筆者が天童市の元祖 天童観光果樹園を訪れたところ、現地スタッフから「今年の佐藤錦は例年並みのタイミングで熟してきており、来週6月16日(月)頃から味わっていただけそうです」との情報を得た。昨年のように極端に早まることもなく、今年は計画通りに観光を楽しめる年となりそうである。
なお、天童市内には複数の観光果樹園があり、園ごとに生育状況や開園時期が異なるため、訪問・予約の際は事前に最新の情報を確認することが望ましい。
冷やして味わうと、さらに美味。通が実践する「アイスボックスのすすめ」
さくらんぼ狩りは、ただ摘んで食べるだけでなく、“おいしさを引き出す”ちょっとした工夫でもっと楽しめる。そのひとつが、アイスボックスを持参してその場で冷やして食べるという方法である。
果樹園では収穫後すぐに食べられるため、新鮮な甘さはもちろんだが、実は冷やした方が果肉の張りと酸味のバランスが際立ち、味わいが格段に上がる。現地で出会ったリピーターの中には、氷水を仕込んだ保冷バッグを持参し、冷やしながら食べる「佐藤錦のひんやり体験」を毎年の楽しみにしているという声もあった。
元祖 天童観光果樹園では、園内でゆっくりと狩りが楽しめるほか、木陰のベンチや休憩スペースも充実しており、アイスボックスを活用して「冷やし佐藤錦」を堪能するには絶好の環境である。
旬の味覚を楽しめる果樹王国
天童市は果樹栽培の名所であり、さくらんぼをはじめとした多彩な果物が季節ごとに実を結ぶ。特にさくらんぼの栽培面積は約472ヘクタールと県内でも最大級の規模を誇り、山形県内第2位の産出額を誇る一大産地である。
6月はさくらんぼが主役の季節だが、7月以降には桃やブドウ、秋にはラ・フランスやりんごと、年間を通して果物狩りが楽しめるのが天童の大きな魅力だ。
各果樹園では、品種ごとの収穫カレンダーに合わせて様々な体験型観光が提供されており、旬の味覚を“採れたて”の状態で味わうことができる。果実を知ることは、その土地の気候や風土に触れることでもある。天童を訪れるということは、四季の恵みを五感で楽しむ旅そのものでもあるのだ。
山寺・垂水遺跡など、夏に訪れたい観光地も点在
天童市周辺には、さくらんぼ狩りとあわせて訪れたい観光地が点在している。なかでも、俳人・松尾芭蕉の句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」で知られる「山寺(立石寺)」は、東北屈指の名所として広く知られている。千段を超える石段を登れば、新緑と歴史が織りなす圧巻の風景に出会える。
その「山寺」のさらに奥地には、“裏山寺”と呼ばれる静謐(せいひつ)なスポットが広がっている。正式名称は「峯の浦(みねのうら)」。山寺の開山者である慈覚大師・円仁が、その構想を練ったとされる由緒ある場所だ。
中でも注目したいのが、「垂水遺跡(たるみずいせき)」である。山道の入口から徒歩15分ほどの場所にあり、深い自然に包まれたその地に突如現れるのは、蜂の巣状の無数の穴が刻まれた巨大な岩肌と、鳥居の造形美が際立つ空間である。岩の割れ目には不動明王が祀られ、修験道の跡や五輪塔窟といった信仰の遺構が今も残っている。大正時代まで山伏が修行していたとされる神聖な場所であり、自然と信仰が交わる幻想的な空気に包まれている。
垂水遺跡は積雪により冬季は閉鎖されるため、新緑がまぶしい今の季節こそが、最も訪問に適した時期である。観光地としての知名度は決して高くないが、その分、喧騒を離れた静けさと発見に満ちた旅が待っている。
山形の「旬」は一瞬。迷ったら、今年こそ行こう
佐藤錦のさくらんぼ狩りは、シーズンが短く、1〜2週間の“旬の一瞬”を逃すと来年まで待たなければならない。その貴重な時期が、いよいよ来週から始まる。
冷やしながら味わうライフハックを試してみたり、歴史ある名所を併せて巡ったり。
小さな非日常を感じられる山形の旅は、忙しい日々に疲れた心と体をリセットするにはうってつけだ。
関連情報
天童市観光情報サイト:https://www.city.tendo.yamagata.jp/tourism/fruit/tourism-fruit-garden.html
元祖 天童観光果樹園:https://samidare.jp/tendofruit/note?p=profile
峯の浦・垂水遺跡:https://keikan.pref.yamagata.jp/vp_066/
※写真は全て筆者が撮影(2025.06.09)