就活の「お祈りメール」から内定獲得!?「売り手市場」の就活・最前線!
6月から就職活動が解禁されました。すでに内定を複数もらっている学生さんもいるようですが、就活につきものなのが「お祈りメール」です。「お祈りメール」とは、不採用を知らせるメールのこと。不採用のメールには「ますますのご活躍をお祈りしています」とよく書かれていることから、「お祈りメール」と呼ばれています。
最終面接で不採用「お祈りメール」がスカウトにつながる!?
この「お祈りメール」を人材スカウトに活用したあるサービスが注目を集めています。株式会社ABABA(アババ)の代表取締役・久保駿貴さんにお話を伺いました。
株式会社ABABA代表取締役 久保駿貴さん
「最終面接で惜しくもダメだったけれども、それまでの実績がABABA、弊社のサービスで評価されてスカウトが届くというサービスを提供しております。
登録方法が、当社の採用企業さんで、最終面接が惜しくも不採用だったときにお祈りメールのなかにうちのご案内をお願いしているのと、もうひとつが自己申告という登録がございまして、お祈りメールもございますし、最終面接へのご案内のメールが届いていたりすると思うので、それが最終まで進んだという証明として出していただくというパターンもあります。
この時期はやっぱり、企業さんも採用人数充足に向けて大詰めというか、「あと何人足りない!」っていう部分でABABAさんに助けられたとか、追加で母集団をつくるときに、最終面接までいっているというデータベースになるので、『書類選考・一次面接カットして、3次面接からでいいよ』みたいな、そういう形で弊社のサービス経由の学生さんは選考を進めていただいているので、『少ない工数で意欲的な学生さんと出会えてよかったです』という声はたくさんいただいています。」
「売り手市場」で、企業も学生を集めるのが大変なんです。人材サービス企業・キャリタスの5月の調査によると、新卒採用に【苦戦している】と答えた企業はなんと60%超え。少子化で応募者数が確保できない、「売り手市場」が鮮明になっています。
そのなかで、ABABAでは登録している学生が【どういう企業の最終面接までいった】という情報がわかるので、うちの会社にマッチしそう、最終面接まで残る実績がある、など判断して、効率的にスカウトができるとして重宝されています。
久保さんによると、来年度に卒業する就活生のおよそ1割にあたる人数が登録しています。そして、企業の方も1300社の登録があり、お祈りメールを出した企業側も「せっかくここまで頑張ってくれた」学生を応援したい気持ちもあるのが分かります。
自分を否定された気持ちになったけど・・・
では実際に「お祈りメール」を使った就活に学生さんはどう感じているのでしょう?ABABAを利用して内定を獲得した株式会社ヘルスベイシスの谷川ひとみさんに聞きました。
株式会社ヘルスベイシス 谷川ひとみさん
「エントリーしたのが20社くらいで、お祈りメールはそのうち半分くらいはもらったんじゃないですかね。最終までいって2通くらいですかね。
やっぱり最終のお祈りメールをもらったときが一番つらくて、ここまでめちゃくちゃ時間をかけたっていうことがあるので、それがすべて無駄になった感じ。そういう意味では自分を否定された感覚は最終(面接)ではよりあると思います。
採用担当の方に「最終まで残ってたし、これ使ってみない?」ってご紹介をいただいて。やっぱり最終までいって落ちたっていうところを使えないのもったいないなっていうのもやっぱりあって、いったんやってみようっていう感覚が大きかったです。
「就活やだなあ」っていう思いがあった中での、スカウトのお声がけだったので、しかも最初から何通も何通もくるっていうような感じだったので、企業からほしいと思われたっていうのがすごく自分のなかではうれしかったですね。」
最終面接でもらってしまったお祈りメールで『自分を否定された気持ち』になっていた谷川さんですが、ABABAに登録したらスカウトがたくさん届き、気持ちが前向きになれたということです。
また、谷川さんの場合は、スカウト後すぐに企業の代表と面談するなど、かなりスピーディーに選考が進んだのと、自分で探すよりも幅広い企業を知ることができたというメリットもあった、と話していました。
最終面接まで進んだ実績は、三年間有効!?
ここまでは就活生が「お祈りメール」で企業から採用を見送られるケースでしたが、逆に企業が内定を出しても、就活生の方が入社を見送るケースもあります。
そんな場合でも、企業の側も、その最終面接で合格を出した人材の確保につなげようという取り組みも始まっています。三井住友海上火災保険・人事部・採用チーム課長の加藤愛子さんに伺いました。
三井住友海上火災保険人事部 採用チーム課長 加藤愛子さん
「『ファストパス』という制度なんですけれども、最終面接で合格・採用となった学生さんのなかで今回は当社をファーストステップに選ばれなかった学生さんに対して、キャリア採用でもう一度チャレンジしてみたいなとなった際には、3年間は最終面接のみで選考ができるというような中身となっています。
転職っていうのは今では当たり前だと思っていて、だいたい3年目くらいにこの転職活動が1回くるかなと思っているんですけれども、やはり当社と1回マッチングをしている学生さんというところもあって、お互いカルチャーとしては合っているのかなと思っています。
もちろんやる側の効率化というのもあると思うんですけども、逆にですね、入社を考えてくださっている方にとっても効率化したいというのがあるのかなと思っていますので、双方の効率化につながればいいなあという風に思っています。 」
最終面接に合格した実績は、向こう3年間有効ですよ、ということ!!
三井住友海上はもともと新卒入社から続ける社員が多い会社で、イノベーションを生み出すために、社外で経験を積んだ人材を重要視していて、新卒採用でも種をまいているんです。
この制度は2022年から始まって、もうすぐこの3年の期限が切れる内定辞退者が出るタイミングなのですが、実際に、話を聞きたい、という問い合わせもきているそうです。
少子化などで人材確保に悩む企業の姿が見えてくる一方、効率化を進めることは、就活や転職活動をしている人にとっても長期化せずにありがたいですよね。
こうした就活生や転職したい人側のニーズにどれだけ応えられるかが、これからの採用活動において重要なポイントなのかもしれませんね。