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自宅で防音室を作るには?防音のプロが音の仕組みから詳しく解説

リブタイムズ

自宅で防音室を作るには?防音のプロが音の仕組みから詳しく解説

家で過ごす時間が増えた現在、自宅で防音室を取り入れたいと思う方も多いのではないでしょうか。

今回は自宅での防音について、防音材料を専門に取り扱う株式会社ピアリビングの室水社長にインタビュー!音の仕組みや防音の種類、自宅内での防音のコツなどを詳しくお聞きしました。

お話を伺った方

室水房子(むろみず ふさこ)さん

株式会社ピアリビング 代表取締役

【資格】二級施工管理技士

うるさいと感じる音とは?音の騒音レベルを知ろう

自宅で防音室をつくったり自宅の防音対策をする際、まずすべきことは音の種類について理解すること。そもそも「うるさい」と感じる音の基準とは何なのでしょうか。

音が発生する仕組みから、くわしく解説していただきました。

音は「空気」と「振動」で発生する

ー音が発生する仕組みを教えてください。

空気を介して伝わる空気音と、振動を介して伝わる固体音の2種類があり、「空気」と「振動」の2つで発生します。

ー空気音とは?

人の話し声や楽器、スピーカーから流れる音など、空気を通して伝わる音のことです。空気の通り道である隙間を埋めたり、防音材を追加することで軽減されます。

ー固体音とは?

スピーカーの底部やピアノのペダルなどが振動して床に伝わる音のことです。物質を通して振動が伝わるため、空気音よりも対策が難しいとされています。

音をあらわす単位はデシベルとヘルツ

ー発生した音をあらわす単位はなんですか?

音をあらわす単位はデシベルとヘルツの2種類あります。デシベル(dB)とは音の大きさや音圧を示し、ヘルツ(Hz)は音の高さを示す単位になります。

ー音程はヘルツ(Hz)の数値で決まるのですか?

そうですね。厳密には空気の振動数で音程が決まるため、一定時間の振動数が多ければ多いほど音は高くなります。

ー防ぎやすい音、防ぎにくい音などはありますか?

高い音のほうが低い音よりも防音しやすく、低くなればなるほど防音対策は難しくなります。

80デシベルからうるさいと感じるように

ー日常にある音は何デシベルですか?

呼吸音が20デシベル、ささやき声やエアコンの吹き出し音がおよそ40デシベル、ドアを開け閉めする音や洗面台で水を流す生活音が60デシベルです。

ーうるさいと感じる値はどれくらいですか?

電車に乗った際に聞こえる「がたがた」という音が80デシベルとされ、うるさいと感じる人が多い値となっています。

コロナ禍で防音のニーズは増えた?

コロナ禍で自宅にいる時間が増えた昨今、防音のニーズも増えたのでしょうか。

家にいる時間が増えたためニーズも激増

ー防音対策を始める方は増えましたか?

そうですね、コロナ禍で問い合わせの数が4倍にまで増えました。部活動がないため楽器の練習ができない方や新たに動画配信を始めた方など、自宅にいる時間が増えたからこそ、防音対策を意識する方が激増したのでしょう。

防音対策で用いられる用語って?違いを解説

一言で防音対策といっても、遮音、吸音など防音の種類はさまざま。防音対策の種類やそれぞれの特徴についてご紹介します。

「防音」とは音を対策することの総称

ー防音対策にはどのような種類があるのですか?

大きく分けて遮音・吸音・制振・防振の4種類あります。遮音と吸音は空気音への対策、制振や防振は固体音への対策であり、「防音」とはこれらの対策を含めた総称となります。

①遮音

ー遮音とはなんですか?

石膏ボードや鉛、遮音シートなどを用いて音を跳ね返すことです。発生した音を反射させることで外部に音を漏らさないようにする点が特徴です。

※遮音材「サンダムCZ-12」

ー反射した音は室内にかえってくるのですか?

そうですね。反射した音は室内に反響するため、室内に遮音対策ばかりしてしまうと部屋中あちこちで反響してしまいます。

②吸音

ー吸音とはなんですか?

スポンジのように音が繊維の中で拡散されてエネルギーが弱まることで音を吸収します。吸音はあくまでも音のエネルギーを抑えるものであり、音を止めるわけではない点がポイントです。

※吸音材「ロックウールボード」

③制振

ー制振とはなんですか?

カーペットなどを床に敷き、フローリングの発振を抑えることです。振動を短時間で止めながら音の発生を防いでいます。

※制振材「足音マット」

④防振

ー防振とはなんですか?

マンションなどの集合住宅は建物自体が音圧で揺れることによって音が発生します。この躯体の振動を止めるのが防振となります。

※防振材「P防振マット」

自宅内の防音対策で大切なこと

防音にはいろいろな種類の対策方法があるとわかりました。自宅での防音対策をする際はどんなことに目を向けて対策すべきなのでしょうか。

最近はリモートワークの悩みが多い

ー自宅での防音で多いお悩みはなんですか?

以前は家族のいびきや子どもの足音がうるさいといったお悩みが多かったのですが、最近ではリモートワークが増えたため、自宅でも仕事に集中したいと考える方が多い印象です。このように働き方が急変したことで自宅での過ごし方も変わり、自宅の防音対策を施す方が増えています。

音の出どころを探し、家の構造をチェック

ー自宅の防音対策をする際にチェックすべきことはなんですか?

対策したい音が自宅から発生しているのか、外から聞こえてくるものかを確認しましょう。対策する音が決まったら、木造の戸建てかコンクリート造のマンションか、建物の構造を加味して対策方法を考えることが大切です。

建物の構造で対策は変わる

ー木造かコンクリート造かなど、自宅の建物の構造でかなり対策は変わってくるのですか?

そうですね。木造とコンクリート造では音の響き方が明らかに違うため、構造ごとに対策も大きく変わります。

ー木造とコンクリート造のどちらのほうが響きやすいのですか?

木造は木が軽いため、コンクリート造と比べるとどうしても足音や楽器の音が響きやすいです。もし自宅内でなにか楽器を演奏したいのであれば木造ではなくRⅭ造の建物に住むことをおすすめします。

また、小さな子どもがいる方は角部屋や1階に住んで足音を聞こえにくくするなど、構造だけでなく部屋の配置も意識するとよいですね。

自宅内で音が聞こえてくる場所を確認して対策を

ー具体的な対策方法はどのように決めていくのでしょうか。

隣の部屋からであれば壁、下からの音であればカーペットなどの床材、外からであればカーテンなど、どこから音が聞こえるかによって対策方法を決めます。

大切なのは、1つの対策方法だけでなく段階的にいろいろな方法で対策することです。

ー段階的に対策をするとはどういうことですか?

たとえば外から聞こえる音を防ぐために窓に防音対策を施したとします。音は空気の振動で発生するため、壁の面や通気口がある天井から入ってくることも。窓だけの対策で気になるようであれば壁、天井…というように、段階を踏んで少しずつ防音グッズを付け足していく方法が安価で簡単です。

ー防音グッズ以外での対策方法はなにかありますか?

隣の部屋からうるさいといわれたらテレビは隣の部屋に面した壁から離れたところに置くなど、ちょっとした工夫でもある程度音漏れを防げるでしょう。音は距離に比例するため、音源を隣の部屋から意識的に遠ざける方法でもある程度効果があるのです。

【シーン別】自宅内の防音対策

では、具体的に自宅のどの部分にどのような防音対策を施すべきなのでしょうか。シーン別に見ていきましょう。

テレワーク

ーテレワークでの防音対策を教えてください

パソコン裏にクッションを置いたり、カーテンなどなにか仕切りで囲ったりするだけでもかなり防音できます。広いウォークインクローゼットであればそこにデスクを置くのもよいでしょう。

ギターやピアノなどの音楽の趣味

ー楽器を演奏したい場合の防音対策を教えてください

ウクレレや電子ピアノであれば音は防ぎやすいのですが、グランドピアノや管楽器は響くため専用の個室があるとよいですね。グランドピアノは空気音とペダルなどを踏む固体音のどちらも発生させるため、振動がどうしても下に行きやすい傾向があります。

ー振動が出る楽器のほうが響きやすいということですか?

そうですね。ピアノやドラムなどは床に振動がくるため、床や壁を中心に防音対策を行いましょう。

子どもの足音

ー子どもの足音に対する防音対策を教えてください

床に防音材を敷くことがいちばんです。子どもに「走らないで」といってもなかなか難しいため、走っても防音できる状況をつくることが大切です。

防音室はDIYできる?

自宅の防音室を自分でつくることは可能なのでしょうか。流行りのDIYについてお聞きしました。

防音室を自分で作ることは可能

ー自宅の防音室は自分で作れますか?

通常の対策であれば十分可能です。材料はホームセンターで揃うものもあれば、専門店から購入するほうがよいものもあるため、お悩みに応じて使い分けるのがおすすめです。

簡易防音室の設置も

※同社開発の簡易防音室「おてがるーむ」

ー簡易防音室もあるとお聞きしました

そうですね、組み立て式の簡易防音室もつくっています。リモートワーク用やオフィス内で使用するために購入される方が多い印象です。対策したい音のお悩みや目的に合わせて対策方法を選んでいきましょう。

まとめ

今回は防音対策についてお聞きしました。音が発生する仕組みや防音対策をする際に気を付けることなど、プロならではのノウハウがたくさん詰まっていましたね!

自宅内の防音は快適な生活の第一歩。自分に合う防音対策を考えながら、楽しく家づくりをしていきましょう!

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