火山防災の重要性知って 絵本「活火山 やけやま」発刊
新潟県糸魚川市と妙高市にまたがる新潟焼山(標高2400m)が水蒸気噴火し、登山者3人が亡くなった事故から2024年7月28日で50年を迎えた。妙高市の火山地質学者、早津賢二さん(80)らが、最新の研究結果を盛り込み、火山防災の重要性を子供から大人まで理解しやすいよう絵本という形態にした『活火山 やけやま─日本でいちばん若い火山─』を発刊した。
《画像:川崎さん(中央)が描いた原画を囲む早津さん(左)と樋口さん》
絵本としては、2020年に発刊した『火の山 みょうこう』に続く第2弾。焼山愛好会の代表を務める糸魚川市の樋口善栄さん(73)が地元の立場で執筆に加わり、前作と同様に上越市の日本画家、川崎日香浬さん(46)が水彩画で23枚全ての絵を描いた。出版にあたり、上越市で消防・安全用品、避難設備などを取り扱い、創業70周年を迎えた高坂防災(高坂光一社長)が、記念出版として全面協力した。
《画像:前半は絵本、後半に解説を入れた絵本「活火山 やけやま」》
早津さんは「最近、年代測定の精度が上がり、最新の研究にのっとった新しい火山防災の普及書が必要になってきた。だが一般書では買ってもらえても、なかなか内容を理解してもらえない。前作の刊行後、焼山についても絵本での刊行を望む声をたくさんもらった」と、絵本での出版を決めた。また、「火山防災という点からみると、焼山が火山灰を大量に出す噴火をすると、山に積もった火山灰が大雨とともに泥流となり、広い範囲に大きな被害を出すことが考えられる。糸魚川だけではなく、上越市や妙高市の人にも関心を持ってもらいたい」と話した。
樋口さんと早津さんの出会いは、2014年7月に開かれた火山防災講演会だった。その後、焼山の写真を撮り、変化を記録に残していたが「後世への伝え方が分からなかった」と話す。前作を見て「どうしても焼山の絵本を作ってほしい」と早津さんに出版を要請したという。
川崎さんは「私はまだ一度も見ていない景色だが、資料や写真を基に2年ほどかけて描いた。焼山はすごく身近にある山なのに、一面しか見ていなかった。子供たちに伝えたいという一心で描いた」と話した。
絵本は上越市、妙高市、糸魚川市の小中学校に寄贈するほか、書店などでも販売する。価格は2200円(税込み)。販売はフォッサマグナミュージアム(糸魚川市)、春陽館書店(上越市)、妙高高原ビジターセンター(妙高市)、志保屋書店(同)の予定。