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ボルドー初の日本人女性醸造家「シャトー・ジンコ」百合草梨紗さん来日セミナー

ワイン王国

セミナー当日は猛暑日。「まずは私たちのスパークリングで涼を取ってくださいね」と百合草さん

7月19日、(一社)葡萄酒技術研究会エノログ部会がワインセミナーを開催した。演題は「ボルドーにおけるシャトー・ジンコのワイン醸造について」。講師はボルドー初の日本人女性醸造家で、「シャトー・ジンコ」のオーナー兼ワインメーカーの百合草梨紗(ゆりぐさ・りさ)さんだ。

セミナー当日は猛暑日。「まずは私たちのスパークリングで涼を取ってくださいね」と百合草さん

百合草梨紗さんが「どうしてワインに惹かれたか?」というエピソードからセミナーがスタート。短大卒業後に何度かワインの試飲会に参加するうちに、お気に入りの1本に出合ったが「そのエチケットに書かれていたのが“サンテミリオン”の文字だったのです」。このワインに導かれるようにボルドーを訪れ、気づけばボルドー商工会議所が運営する専門学校に通い、栽培醸造技術やテイスティングを学んだそう。

この専門学校で出会ったのが、現在のご主人マチュー・クレスマン氏。2006年には彼とともに、日本人最年少(当時)でネゴシアンを設立した。ちなみにクレスマン氏は、大手ネゴシアン「クレスマン」のオーナー一族の出身である。

「やがて自分で美味しいワインを造ってみたいという思いが芽生えてきました。美容室で読んだマダム・ルロワ(ブルゴーニュを代表する銘醸「ルロワ」のラルー・ビーズ・ルロワさん)の記事にも刺激を受けたんですよ」と笑う。ワインに携わる前はファッション関係の仕事をしていたという百合草さんらしいエピソードである。

セミヨン100%、※メトード・アンセストラルで醸された『ペットナット ユリグサ』で乾杯 ※メトード・アンセストラルはスパークリングワインの製法の一つで、発酵途中のワインを瓶に詰め、王冠などで打栓して密封し、残りの発酵を瓶内で行う

2015年に入手した1.5ヘクタールの畑は、サンテミリオンから東へ車で10分ほどのエリアにある。サンテミリオンとは地続きで、土壌もほぼ同じ粘土石灰質。「シャトー・ペトリュス」の元醸造長ジャン・クロード・ベルエ氏に「素晴らしい場所」と言われて購入を決断したそうだ。
「この辺りにしては標高100メートルと高く、とても風通しのいい畑なんですよ」と百合草さん。

「偉大なワインを造るには、自然を大切にして造ることが重要」と考え、畑を購入した時から「農薬、除草剤、殺虫剤などを一切使用しないオーガニック栽培に取り組みました」。国際有機認証機関「エコサート」の厳格な審査をクリアし、2019年ヴィンテージからEUオーガニック認証やABオーガニック認証を表示できることとなった。

「ブドウが本来持っているピュアでクリアな果実味を得るために、2020年からビオディナミ農法を実践しています」

「シャトー・オーゾンヌ」などの著名なシャトーが集まる「プラトー」という台地に、シャトー・ジンコもある。「自然そのままに、体に心地よく沁みいってくるようなワインを造ってきたい」と百合草さん

テイスティングは、スパークリングワイン『ペットナット ユリグサ』からスタート。続けて、ボルドー白ワインの銘醸地グラーヴのワイナリーと提携しているセカンドレンジ『ジーバイ ユリグサ ブラン 2022年』、同じく自社畑近くのワイナリーと提携している『ジーバイ ユリグサ ルージュ2022年』を味わう。

そして最後に、メルロ100パーセントの『シャトー・ジンコ 2021年』。甘やかなスパイスの香り、柔らかなテクスチャーと長い余韻に、会場から感嘆の声が上がった。
「オーガニック認証以前の『シャトー・ジンコ 2018年』も試してみてください」と、サプライズのヴァーティカルテイスティングで締めくくった。

左から『ペットナット ユリグサ』『ジー バイ ユリグサ ブラン2022年』『ジー バイ ユリグサ ルージュ2022年』『シャトー・ジンコ2018年』『シャトー・ジンコ 2021年』

text & photographs by Atsushi TOGAMI

【問い合わせ先】㈱都光 TEL.03-3833-3541

※「シャトー・ジンコ」の詳しい情報は以下オフィシャルサイトから

[chateau-ginkgo-シャトージンコ-Bordeaux-ボルドー]

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